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2007年3月20日 (火)

祝・日豪安保(2)よみがえる3B政策

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前回、「安倍首相はいろいろ叩かれていますが、これまでの立法や外交を見ると私の評価はほぼ満点近いです」と評しましたが、よく考えてみたら褒めすぎたような気がしました。というのも、北にこだわりすぎて本当の敵を間違えているようにも見えるからです。したがって多少ダウングレードして、「よくやっていると思います」に改めます。================================

 

大陸国家(ランドパワー)
   vs
海洋国家(シーパワー)

と聞いてもピンと来ない人のために簡単に説明しましょう。

島国は海に囲まれていて敵が攻めにくいので、国を守るためのコストがそれほどかかりません。また内輪揉めのペナルティが大きいので民衆は合理的・民主的になりやすく、放っておいてもそれなりに豊かに、平和に暮らせます。さらに温帯にあれば資本の蓄積が進み、産業が発達して先進国になりやすいという特徴があります。日・英・米などがその代表格です。

逆に大陸国家は周囲が敵だらけで一度会ったら終わりという関係が多いので、「いかに相手を騙して叩きのめすか」という才能がモノを言います。その結果、軍隊(特に陸軍)が大きく、資源は軍隊に回され、政府は強権的・抑圧的で、民衆は密告を恐れて互いに協力せず、技術が育たず、放っておくとソ連や北朝鮮のようになります。

 

このように全く違った風土を持つ2つの勢力があることを念頭において、その勢力争いという観点から国際情勢を説明したのがマッキンダーのハートランド理論です。

wikiより抜粋
http://tinyurl.com/22jv7b
************************************
マッキンダーは第一次世界大戦を基本的にユーラシア大陸の心臓部(ハートランド)を制覇しようとするランドパワーと、これを制止しようとする海島国(イギリス、カナダ、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、日本)の連合およびフランスやイタリア等の半島国、言い換えればつまりシーパワー、との間の死活をかけた闘争であると見た。
************************************

 

私はもっと地政学を学びたいのですが、今のところ正式な学問ではなくネットで学んでいます。たとえば江田島孔明氏の文章は、世界史を知るものなら唸らざるをえないほど示唆に富んでいます。

脳みそが痺れるほど面白いです。
    ↓↓↓
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/edajima/post_152.html

 

「ランドパワー対シーパワー」という概念を聞いてから、私はこれまで疑問に思っていたことが次々と氷解してゆく感じがしました。

たとえば第一次世界大戦の原因となった

イギリス3C政策 vs ドイツ3B政策

も、はっきりと意味を持つようになります。

これまたwikiですまんが(リンク省略)
************************************
3C政策(さんしーせいさく)とは、19世紀後半から20世紀前半においてイギリスが推進した世界政策で、エジプトのカイロ(Cairo)、南アフリカのケープタウン(Capetown)、インドのカルカッタ(Calcutta)を結ぶ統治政策をいう。

3B政策(-せいさく)は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世によって主導された、ベルリン(Berlin)・ビザンティウム(Byzantium、イスタンブル)・バグダード(Baghdad)を鉄道で結ぶという19世紀末からのドイツ帝国の長期戦略。ドイツでは同時代的には「3B政策」という言葉は使われなかったため、後世になって一種の語呂合わせ的な言葉として生まれた言葉である。

鉄道建設と、それに付属する沿線の港湾整備や殖産興業を通じて近東に資本を投下し、自国の経済圏に組み込むことを目的とした政策であったが、イギリスの3C政策と対立することになった。イギリスはこの政策の延長線上に最重要拠点のインドが入ることを懸念し、ドイツとの対立を深めていった。
************************************

 

これを授業で聞いたとき、私は意味が理解できませんでした。なぜならイギリスがその方面に軍隊を進めているという話は聞いたことがなかったからです。特にカイロからケープタウンまでは他の欧州列強(フランス・オランダ・ベルギーetc)が押さえていて、イギリスが陸路でケープタウンに行くのだとしたら敵はドイツだけではなくなります。何よりも、どうしてそれら拠点を確保しようとしたのか理由がわからなかったので、受験のために言葉だけを丸覚えしました。

しかし今、ようやくそれがわかったような気がします。

ドイツはストレートにトルコを経由して陸路で中東を押さえる。それに対してイギリスはカイロ(つまりスエズ運河)、南ア、インドを確保して海路により中東を押さえる。という意味で解釈すれば、衝突したことも納得できます。陸上の経路がぶつかったわけではなく、同一の目標を異なるアプローチで達成しようとしたということですね。

  • 3C政策=海の道を使って中東を押さえる
  • 3B政策=陸の道を使って中東を押さえる
  •  

    このような観点から、最近の国際情勢とユーロの関係を考えても面白いでしょう。

    1. ユーロ圏が東へ東へと延びているが?
      東欧を取り込んでさらに東に進むのは欧州ランドパワーの宿命である。昔ドイツがやっていたことを、フランス主導でやっているだけ。トルコではもたついているが、中東まで延ばしたいところであろう。ドイツの3B政策と通じるものがある。
       
    2. なぜイギリスはユーロに参加しないのか?
      欧州ランドパワーに対抗するという宿命を理解しているのなら、通貨主権を放棄して参加するわけがない。中立を守っているスイスも同様。そういう意味ではユーロはランドパワー通貨と呼べるかもしれない。
       
    3. 石油代金をドルからユーロに切り替えたフセインはアングロサクソンが警戒する3B政策に加担したことになり、そのため「優先的に潰された」と考えることもできる。

     

    ユーロ圏の拡大を「現代によみがえる3B政策」と考えると、俄然トルコに注目が集まります。トルコには米軍基地があり、有数の親日国であり、古くはエルトゥール号遭難、田中寅二郎とケマルパシャから「イスラムの明治維新」であるトルコ革命、さらにはイラン・イラク戦争での日本人救出劇と、有力なシーパワー同盟の一員です。

    なぜトルコが親日か、理由を知らない人は長いですがどうぞ
        ↓↓↓
    世界史コンテンツより「ルリ先生の補習授業」
    http://maa999999.hp.infoseek.co.jp/ruri/gulfwar_02.html

     

    そのトルコが分断工作にまんまと引っかかって、アメリカに「基地使用をやめさせるぞ!」と言い出しています。

    トルコ猛反発 米のアルメニア人虐殺非難決議案 「穏健な日本」と対極 (産経新聞2007/03/11 )
    http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070311/wld070311000.htm

    ========================================
    【ワシントン=古森義久】米国議会の下院に90年前のアルメニア人虐殺でいまのトルコを非難する非拘束の決議案が出され、採択される見通しも生まれてきた。現在のトルコ政府は同決議案に猛烈に反対し、もし可決の場合にはトルコ国内の米軍による基地使用をも制限すると言明し、両国関係の危機までが語られ始めた。米議会民主党が日本の慰安婦問題糾弾の決議案を審議する状況と酷似しているが、トルコの対応は日本のそれとはまったく異なっている。(後略)
    ========================================

    お気づきの通り、これは「いわゆる従軍慰安婦を使った日米分断工作」と同じ手口です。アメリカ国内で同盟国を非難し、関係を悪化させて、ランドパワー陣営に取り込むということですね。日本はのらりくらりとかわしていますが、ぜひトルコも罠に嵌ることがないよう注意したいところです。

     

    このように、今回はフランスを中心とした欧州ランドパワーが100年後の3B政策を実現しようとしています。それと連動して、アジアンランドパワーである中国が70年後の大東亜共栄圏を実現しようとしています。70年前の日本がランドパワーに乗っ取られてシーパワーである米英豪と戦ったことを考えると、主役は変わってもやっていることは昔と同じということでしょう。

    そうであれば英国はシーパワーを結集して対抗するはずで、それが今回の日豪安保につながったと考えられます。

    それぞれのニュースは断片的に見えても、ちょっとした補助線を引いてみるだけで大きなピクチャが見えるものです。(続く)

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    コメント

    目からイクラがwww

    素晴らしい内容で勉強になります。


    拙文を引用いただきありがとうございます。
    また、一杯やりましょう!!

    投資はイギリスに学ぶ
    http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/d/20070301
    上はその証拠ですが最近の世界相場は操縦されているようです。地政学的な政治でしょうかね?

    参考までに

    泥酔論説委員の日経の読み方
    2007/03/24 (土) 10:43:15 「自由と繁栄の弧」か、「大東亜共栄圏」か
    http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=329372&log=20070324

    現在、江田島孔明様は当ブログで執筆しておられます。

    http://klingon.blog87.fc2.com/

    jijiさん
    そう言っていただけると励みになります。こちらも本業が忙しくなってきましたが、なるべく情報発信していきますね。

    参考にいただいたサイトですが、「自由と繁栄の弧」とはまさに「リムランド」ですよね。日本はランドパワーとシーパワーのせめぎあいから逃げられないという運命を、国民意識として共有できればいいのですが。


    江田島孔明さん
    こちらこそ。また情報交換させてください。

    投影さん
    むう…これは…?
    即座に判断できないですが、こういう考えもあるという意味では参考になります。
    ありがとうございました。

    三輪さん
    お知らせありがとうございます。
    「レッドアラート!」もROMらせていただいてますよ。

    いつもわかりやすい説明ありがとうございます。

    松村劭著「勝つための状況判断学」PHP新書

    に、ランドパワーとシーパワーについての記述がありとても有用でした。

    すでにご存知かもしれませんが、これのほかに参考になる本がありましたらぜひ、お教えいただきたいのですが。

    くまさん

    私もウェブ主体の耳学問(?)ですよ。松村さんところのデュピュイ戦略研は掲示板も面白いですよね。

    さて正式な著作を読んだことはないですが、マッキンダーやスパイクマンの名前はよく聞きます。あとは2ちゃんのリンクを辿ってちらほら。今後、おもしろいものがあったら逐次紹介いたします。

    あと地政学のど真ん中ではないですが、最近読んだ本では高坂正尭さんの「世界地図の中で考える」が面白かったですね。古い本ですが内容は今でも色褪せることなく、アメリカの強さと弱点が変わっていないことを認識しました。

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