新刊出来!

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

Google Analytics

  • トラッキングコード

« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »

2007年7月30日 (月)

自民敗北で変わること

参議院選挙の結果が出ました。

自民の37議席というのは「大敗・惨敗」と言っていいんでしょうね。小選挙区制は得票率が少し違うだけで議席数が大きく開く傾向がありますが、前回衆院選とは逆に民主党が一人区を占めることで、大きな差がつきました。

********************************

党派別当選者数(読売 on line 20070730)
 
 当選 選挙区 比例 新勢力 公示前
民主 60  40  20  109  81
自民 37  23  14  83  110
公明 9  2   7  20  23
共産 3  0  3   7   9
社民 2  0   2   5   6
国民 2  1   1   4   4
日本 1   -  1   1   0
諸派 0   0   0  0   0
無所属7  7   -  13  7
  欠員2
合計 121  73  48  242  240
定数 121  73  48  242  242

********************************

私は「社会全体が保守化しつつあるから自民は言われているほど負けないんじゃないか」「批判票はどこに入るんだろう」と思っていましたが、すべての政党から民主に流れたようです。普通なら批判票の受け皿とされてきた共産党に加え、強固な組織票を持つ公明党まで議席を減らしたことは特徴的だと思います(新勢力-公示前)。

農村を回って「生活第一」と訴える民主の小沢さんの戦略も賢かったです。かつて自民の支持層だった人々を寝返らせたわけですから。かつて自民が得意とした戦略のお株を奪うあたりはさすがです。

 

これからはそれぞれの党内で、ちょっとした波乱が続くでしょう。というのも自民党は、「選挙で勝てるはず」と思った安倍さんで負けてしまったことで、次の衆院選に危機感を覚えた自民の議員が引きおろす動きに出るだろうからです。参議院と衆議院では有権者の行動も変わるでしょうが、クビのあたりが冷たい議員たちにとっては死活問題です。

安倍さんはすでに続投を表明していますが、少なくとも「安倍おろし」のためにがんばってきた北朝鮮系メディアは引っ込まないでしょう。将軍様はこの選挙結果に喜んでいるでしょうが、安倍さんを辞めさせないとまだ安心できませんから。

逆に北京・韓国系メディアは安倍首相を守る方向でしょうか。もしかしたら民主党も、「安倍のままなら衆院選まで勝てる!」と思って擁護するかもしれません(笑)。

 

で、勝手ながら安倍さんが次の選挙で勝つ方法を私が考えてみました。

  1. 閣僚を入れ替え、古い自民からの決別を宣言する。
     
    安倍さんは「自民党をぶっ壊す!」と言った小泉さんの後継者として指名されました。その通り、自民党の支持基盤と集票システムはぶっ壊れました(笑)。しかし安倍さんが保守派のプリンスとして首相になった後、「派閥による組閣の復活」「その中に怪しい大臣が混じってる」「郵政造反組の復党」などから、小泉さんの後継者だと期待していた人たちが疑念を抱くようになりました。
     
    小泉さんが言う「改革」もけっこう怪しげなものでしたが、将来への期待によって痛みをガマンさせるという意味では受け入れられていたわけです。そして改革への期待が薄れたとたん、痛みだけがクローズアップされてきたと。
     
    今の組閣人事は、小泉さん時代のツケを払っているということもあるでしょう。しかし本当に改革を進めたいのであれば、今回は怪しい大臣は避けて思うとおりにやるべきでしょう。
     
  2. 私は安倍さんが成立させた、教育基本法、日豪安保、防衛省昇格、海洋基本法、国民投票法、(天下り規制)などを支持しています。しかし何かを成し遂げるとき、一度に敵を増やしてはいけません。拉致なら拉致、憲法なら憲法、メディアならメディア、公務員制度なら公務員制度などと各個撃破したほうがベターです。同じ相手を別方向から攻めるのは良いですが、あまりに急ぎすぎて別々の相手を結束させるのは賢い方法とは言えません。
     
    小泉さんはひとつひとつ「片付けて」行きましたよ。政策はともかく、政敵は。
     
  3. 保守派のプリンスらしく振舞ってみる。
     
    安倍さんは親米保守なんでしょうが、これまでの動きからはホンマかいな?と思われるフシがあります。「米国より先に中国韓国にご挨拶」「靖国や油田では中国に譲歩」なんてことをやっていたら、アメリカからも国内保守派からも疑念を持たれます。もともと外交が得意分野なんでしょうから、マスコミを自分の土俵に引きずり込んでみると良いでしょう。
     
    手始めにひとつ、神社に参拝して厄落としなんてどうでしょう(笑)

 

佐々木敏さんの「アカシックレコード」では、安倍さんは中朝戦争反対派で、だから米民主党に叩かれるのだという説を述べています。私としては安倍さんの側に中国韓国がついていることには「なるほど」と思えます。しかし米民主党が北朝鮮を使って極東のパワーバランスを取ることを考えているだとか、福田さんが中朝戦争賛成派であることには少し違和感がありますね。ともあれ、仮説として面白いです。

安倍晋三 vs. 米民主党  ~シリーズ「中朝開戦」(7)~
http://www.akashic-record.com/y2007/avsusd.html

 

さて一方、民主党はどうなるんでしょうか?

マスコミは総じて好意的な報道を続けるでしょうが、次は衆院選となると国民の投票行動も慎重になります。これまでのように「何でも反対」という態度だと投票してもらえませんから、政策の議論が深まることと思います。

しかしまじめに政策論争を始めると、反自民で結束していたイデオロギーの違いが噴出する可能性もあります。「このままうまくやれば政権が手に入るかもしれない」というエサがちらついたところで、ケンカせずにいられるでしょうか? まあ自民党も雑多なイデオロギーを「政権与党」という求心力でまとめていますから、似たようなもんなんですけどね。

自分としてはこのまま議論が深まって、似たような政治思想を持った人々がいくつかの党にまとまってくれるとありがたいと思っています。

 

そう考えると、意外と面白くなってきたのかな?

2007年7月29日 (日)

アジアカップが楽しみでしょうがない(3)

もはや、楽しくありません・・・。

韓国を見て「こいつら進歩しねえな」と思っていたのですが、日本はそれ以上に退化しておりました。「ジーコジャパンのほうが良かった」と思えるって、どういうことだ?

日本チームの航空券が確保されておらず移動に丸二日かかっただとか、宿が手配されずに雑魚寝したとか、水がないのでスタッフが買いに言ったとか、そりゃあいろいろ逆風はあったでしょうよ。しかしそれでも、ひとり少ないチームを相手にあいも変わらず点が取れないことは問題だと思います。

 

ジーコが名監督だったとは思いませんが、少なくともこの試合の日本代表よりはチームとして機能していたような気がします。

  1. (オシム)中村俊輔を中央で使い、サイドは加地と駒野。これだと精度の高いサイドへのパスは出るが、そこから精度の高い中央へのクロスは入らない。自力で突破できなければ、またボールを中に戻すだけ(相手はそこを狙って逆襲する)。俊輔は右サイドのほうが良いのでは?(ジーコ)サントスの左サイドの守備はいまいちでも、突破力とクロスの精度があるので相手は対応に追われていた。
  2. (オシム)ボランチに鈴木啓太。危険なゾーンを鋭い嗅覚でよくカバーしてくれるが、ロングパスやミドルシュートという意味では期待薄。ジーコ時代の稲本と福西が恋しく思える。
  3. (ジーコ)中田や小野は使いづらい選手かもしれないが、こういう試合で何とかしてくれる気持ちと実力があった。(オシム)今のチームにはそういった選手が見当たらない。

相手が少なくなってもワントップを続けるオシムの采配も疑問でしたけどね。まあ今回は采配もさることながら、選手選びの段階ですでに手詰まりになっていたような気がします。

もう少しオシムが構想するサッカーを見せてもらいたいのですが、どうなることやら。逆に「こんなチームじゃやってらんねえ」と辞めてしまうかもしれませんけどね。

ストレスが溜まる試合でした。

2007年7月27日 (金)

アジアカップが楽しみでしょうがない(2)

アジアカップ、本当に面白いですね。
日本が勝てばもっと良かったんですけど。

 

準決勝のサウジ戦では、ディフェンスが1対1で完敗してましたね。「あれ、日本の守備ってこんなに弱かったっけ?」と自分の認識を疑ってしまいました。少なくともアジアでは、堅いほうだと思っていたからです。

なんせ2人で詰めてもブチ抜かれるのですから、5人で守っているのに3人で攻められて失点してしまいます。サウジはいずれも見事な3得点で、日本の守備がダメだったのか、サウジが良すぎたのか判断に迷います(たぶん両方だったのでしょうが)。

攻めのほうは、これまでと変わらないポゼッションサッカーをやってました。私もそれでいいと思っていたのですが、その夜が涼しかったことと、日本が負けているのに時間潰しのようなパスを繰り返していたのは予想外でした(笑)。シュートを撃たないのでイライラした人も多いと思います。

サウジのほうも、それを読んで横パスカットを狙っていましたね。鈴木啓太、加地、駒野あたりはパスの精度が低いからと、露骨にフリーにされてましたな(笑)。

 

ではどうすれば勝てたのか?

自分が監督だったら迷うところですね。たとえばオシム監督が行った選手交代が良かったとも思いませんが、どうしたら結果を出せたのかなと。

私であれば、まず中盤にドリブラーを入れてスピードを上げることを考えるでしょう(オシムはそれっぽい選手を呼んでいませんが)。残り20分ぐらいになったら巻を引っ込めずに矢野も投入して高さで勝負させるとか、それぐらいですかね。

まあ実際、サウジ相手に3失点したら厳しいものがあります。やっぱり失点しないのが一番で、選手交代でそれを取り戻せるとは思いません。しかしリードされてからも「じっくりパサー」だけで試合を進めたことで、シュートの恐さがないままサウジにペースを握られっぱなしだったような気がします。

 

オシムの考えるサッカーは面白いと思います。ただゲームが思い通りに進まなかったときに備えて、快速ドリブラーだの狂犬ディフェンダーだのを用意しておいたほうが良いような気がします。今のままでは似たような選手が多くて、交代によって試合のレジームを変えることができないからです。

負けてしまったことは残念ですが、引き続き決勝と三位決定戦を楽しみましょう。

2007年7月25日 (水)

アジアカップが楽しみでしょうがない

久々のサッカー談義です。

日本代表が3連覇を目指すアジアカップは、準々決勝で強敵のオーストラリアをPKで下しベスト4に残りました。ワールドカップでは世界との差をわかっていながら応援しなければならないわけですが、アジアカップの場合はキッチリ仕事をすれば優勝できるので見ていて楽しいですよね。

 

オーストラリア戦はオシムジャパンのひとつの特徴を、厳しいコンディションの中でフルに発揮した試合だったと思います。

もともと相手は中2日と日本よりも休養が少なく、移動があって、なおかつ白人は高温多湿に弱いので、そういったアドバンテージがあってようやく互角の勝負だと思っていました。しかしフタを空けてみたら、「引いた相手に対する得点力」だとか「セットプレイへの対処」という課題は残したものの、思ったより早くオーストラリアの体力を奪って安全な戦いができたと思います。

今の日本代表を見ていると横バスやバックパスばっかりでつまらないかもしれないですが、高温多湿の中であのポゼッションサッカー(なるべくボールをキープしてチャンスを狙う戦法)をやられたら相手はきついですよ。サイドチェンジされたら全員でマークを修正しなければならないし、中村俊輔・中村憲剛・遠藤あたりがボールを持ったら決定的なパスを出されるから3人ぐらいで囲まなくてはならない。そこをスルリを横パスで逃げられたら、相手は3人分の体力が奪われるわけです。

で、日本の中盤3人の足が止まるころには、相手はほぼ全員の足が止まっているという(笑)。後半になると日本も消耗していましたが、オーストラリアはそれ以上でした。足が動かなくなれば踏ん張りが利かなくなってどうしても反則が増え、オーストラリアの荒っぽさが増幅されることになります。退場でひとり減ってしまったら、あとはフリーキック狙いの転倒だとか、PKまでの時間稼ぎしかありません。そういう意味では、オーストラリアもそれなりに良く戦ったと思います。

この戦法がどこでも通用するとは思いませんが、過酷な条件下であればアリでしょう。少なくとも私が他のチームに所属していたら、「日本のサッカーはいやらしいなあ。当たりたくねえよ」と感じるのではないでしょうか。だって、ひと月ぐらい体力が戻りそうにないんだもん(笑)。

PKで勝ったのは川口に負うところが大きかったかもしれませんが、試合そのものは全員がよく自分の役割を理解してチームとして機能していたと思います。ヒヤヒヤしながらも勝ち残るのは、「アジア限定ながら実力のある強豪」ということなんでしょうね。

 

結局、ベスト4は以下のようになりました。

日本 ---
             |---
サウジ -     |
                  |---
韓国 ---   |
             |-- |
イラク --

準決勝のサウジは難敵ですが、日本はまた移動なしで一日休みが多いですからこれまでどおりやれば6-7割の確率で勝てると思います。なるべく早く体力を奪って、カウンターとセットプレイを押さえ込むと。サウジはまだ若くて元気一杯ですが、同時に不必要なプレイをする時がありますからつけ込むスキは充分にあります。

反対側のブロックはイラクが強いでしょうね。決勝で当たれば日本と五分五分・・・もしかしたらやや上かもしれません。

韓国はイラン戦を見る限り古いアジアンサッカーでグダグダですけど、首の皮一枚で生き残ってきた相手はあなどれません。もし日本と当たればこれまで以上の力を出して善戦すると思います。しかしそれでも普通にやれば6-7割の確率で日本が勝つでしょう(審判次第という面はありますが)。

 

油断は禁物ですが、かなり期待していいと思います。

  目指せ3連覇、がんばれ日本!

今晩 22:20からいよいよ準決勝。

2007年7月24日 (火)

世界的水危機と日本の戦略(2)

環境問題だとか水危機だとかいう話になると。必ずこういうことを言い出す人がいます。

「こういった問題は人類共通の問題である。日本ができることがあるはずだ!」

まあ要するに、環境汚染や水不足に悩む中国様を助けろということです。

オーストラリアが水不足に苦しんでいても、彼らは助けようと言いません。だけど中国様が苦しんでいると、「日本は運命共同体なのだから助けるべき!そうしないと日本も損するぞ!」と言います。アメリカで狂牛病が発覚したときは「食の安全を確保するために、アメリカに技術と資金を援助しよう!」と言いませんでしたが、中国食品が危険と言われるとすぐに「援助しなければ!」と主張します。

彼らにとっては中国様を助けることがすべてであり、米豪が同じことで苦しんでも無視します。わかりやすい人たちですな(笑)。

これが、中東諸国への協力であれば話はわかります。日本は彼らに水や淡水化技術を提供する。彼らは日本に石油を提供する。これでお互いにハッピーです。今後も利権を確保したり、取り上げられたりの繰り返しかもしれませんが、相互依存という意味では理想的な組み合わせです。

 

しかし、「水は重要な資源」という意識を日本国内で共有しないと痛い目に会うでしょう。というのも水不足に苦しむ国は、防御の薄い日本の水資源を狙ってくるはずだからです。

たとえば水道を民営化したと仮定して、その流通ルートを海外勢にすべて抑えられてしまったら、外国人にカネを払っいながら自国の水を飲むことになります。もしかしたら経済的にはそのほうが安いのかもしれませんが、安全保障上は良いことだとは思えません。農業やマスメディアと同じように、国益とのバランスを考えることが重要と思います。

 

流通ルートもそうですが、水源についても同じです。

特に中国は、自国で住めないほど環境汚染が進んでいるため、日本を犠牲にして延命をたくらむと考えられます。台湾・沖縄は軍事拠点としても水源としても価値がありますから、何としても奪いに来るでしょうね。

中国の歴史は、一面では水の歴史とも言えます。そもそも四大文明は治水から始まりましたし、その後も誰が水(+食料)を支配するかで争った歴史とも言えます。戦後のドサクサにチベットを併合したのも、水源を確保して脅威を減らすためだったのではないかと私は考えています。

日本にしても、水を巡って村同士が争うということは昔から行われていました。それがふんだんにあるうちは争う必要もないですが、それが不足するようになると生きていけませんから殺し合いにまで発展する可能性があります。だから水を他人に奪われないように気を配る必要があるわけです。

 

ともあれ、日本にとってこの状況はチャンスですよ。「他国を助けなければならない!」というスパイは放っておいて、国益のためにフルに生かしたいですね。日本が自分でこのチャンスに気付かないのであれば、日本の水資源を使って他国がおいしい思いをするだけなんですから。

2007年7月23日 (月)

世界的水危機と日本の戦略(1)

ずっと前から気になっていたことを書きます。それは、世界的な水不足の問題です。

少なくとも3年前から「そのうち世界で水の奪い合いが始まる」ということは考えていました。3年前にジム・ロジャーズに対して、「中国は水や石油が決定的に不足しており、成長を続けるために他国から奪い取るしかない。そして中国の揺り戻しが多数の死者なしで済んだことはない」という質問をしました。

NO.006 【ジム・ロジャーズに会って質問しました】2004/06/12
http://www.wildinvestors.com/info/006.html

そのときのフォーカスは中国だったのですが、それ以前から水が足りない地域が圧倒的に多くなるということは予測していました。自分がその予測をうまく投資に利用できたかというと、そうでもありません。しかし現実として、地球の気候変動とともに水が足りなくなる地域と、豊かな地域が二極化しつつあります。 

最近になってその問題がようやく世間にも認知されてきたようです。目ざとい人たちはそれ以前に水関連のファンドを作り、たとえば3年で倍になるような好成績をあげています。

ワールド・ウォーター・ファンド Bコース
http://www.nomura-am.co.jp/fund/funddetail.php?fundcd=140313

 

私がはじめて「水問題」を意識したのは、数年前に「ウォーター・マネー  石油から水へ、世界覇権戦争」浜田 和幸 (著)http://tinyurl.com/3yqtehを読んだことがきっかけでした。特に斬新だったのは仮想水(バーチャルウォーター)の考え方で、日本は野菜・穀物・肉類を通じて膨大な水を輸入しているとのこと。これからは水の奪い合いが起こるよという結論でした。

なるほどなと思いながら独立系投資顧問の社長などにその話をしたところ「水関連なら、とっくに欧米企業が買いあさってるよ」という返答が帰ってきました。さすがスゴ腕の人は良く知っています。

最近でも、週刊ダイヤモンドなどが食料・水問題を特集してましたね。世間で言われている以下のような問題意識には、まったく同意します。

  • 水が貴重になりその奪い合いが起こっている。しかし日本は水が豊かすぎて、世界的な水危機に対する意識が低い。
  • 水源を守るということは、山や田畑を守るということ。農林業の維持なくして水源の維持もない。
  • 外国の野菜を輸入するということは、その国の水を飲むことと同じ

特に3番目の点については、なるほどと思います。というのも最近になって中国野菜の危険性が報道されるようになって来ましたが、イコール「中国の水を飲んでいる」と考えれば納得が行くでしょう。中国野菜を食べている人は、あの有名な「7色に輝く水」を飲んでいるわけです。

中国の7色に輝く河川と食品
http://blog.livedoor.jp/safe_food_of_asia/archives/50010839.html

逆に言うと、日本のリンゴ1個が中国で千円以上するというのも納得できるでしょう。彼らにとって安全でおいしい水は得がたいものであり、リンゴを通じてそれを摂取しているわけです。

 

反対に、それらの報道で納得できないものもあります。

  1. 日本では意外と水資源は少ない。なぜなら雨や雪が大量に降っても、あっという間に海に流れ出てしまうから。だから水危機も他人事ではない。
  2. 日本は膨大な仮想水を輸入している。日本がカネを持っているうちはいいが、その水に関税をかけられたらこれまでの貯金が一気になくなって窮地に追い込まれる。

1.については本末転倒でしょう。雨や雪が大量に降るので、それをいちいち貯めなくてもフレッシュな淡水がいくらでも供給されるということです。もちろん地域差はあるでしょうが、ダムや溜池を作れば日本全体で水が足りなくなるということはないと思います。

2.も逆ですね。相手が仮想水に関税をかけて農産物を値上げするのであれば、国内で農産物を作ってしまえばいいんですよ。こちらには安全な水がふんだんにあるのですから、輸入できなくなれば自分で作るだけです。だいたい「日本の農業は補助金がないと成り立たない」というのは農家をナメ切った話で、日本が農産物を輸入しているのは工業製品を輸出するためでもあります。そんなことも知らずに仮想水に関税をかけたいのであれば、日本農業大躍進のきっかけになるでしょうからぜひともやっていただきたいところです。

 

そんなわけで、世界的な水危機は日本にとってチャンスです。それを「ピンチだ!」と騒いだほうがマスコミの売り上げは伸びるんでしょうが、これほどないチャンスに本当に気付いていないのだとしたら、そうとうマヌケな話ですね。(続く)

2007年7月17日 (火)

社会の保守化とメディア(3)階層の固定化から二大政党制へ

前回の記事は、「世代によって進歩的だったり保守的だったりするから、どの世代が社会を担うかによって社会全体も循環的に動いているのではないか」という話でした。良いとか悪いとかではなく、前の時代の反省も踏まえて揺り戻しが起こりやすいと。したがって、今後15年は保守化の動きが強まるのではないかと予想しました。

それに加えて、もうひとつ見過ごすことのできない構造的な変化があります。それは日本に階層が出現し、逆転が難しいほどの格差が広がりつつあることです。これは二大政党制の強化につながるのではないかと思っています。

 

実は私は、日本で二大政党制が定着するかどうかについて懐疑的な見方をしていました。というのも日本には「資本家vs労働者」といった明確な対立軸がなく、労働組合だって経営者となあなあでやっていたからです。だからこそ自民党のような「キャッチオール政党」が政権を担ってきたわけでした。

冷戦崩壊前の政治は比較的単純で、親米路線の中の微妙な違いによって自民党内で政権交代が行われるような形でした。北朝鮮労働党と友党であった社会党や、ソ連の支援を受けた共産党が大きな支持を得ることはなかったのです。自民党以外が政権を取るということはアメリカとの関係を見直すということで、ほとんど革命に近いことであったと思います。

しかし90年代の冷戦崩壊と経済のグローバル化によって、日本にも階層が出現し、固定化する気配が出てきました。貧しい家庭は教育を受ける機会に恵まれず、その子供たちも貧しくなってしまうというサイクルです。かつての日本はそうでなかったことが強みだったのですが、公教育が破壊されたことで貧しい秀才が成り上がる道が閉ざされようとしています。

逆に豊かな家庭は子供にも最上の教育を受けさせることができます。豊かさは豊かさを産み、貧しさは貧しさを生みます。同じ国民でありながら、片や半永久的な支配者、片や半永久的な奴隷・・・。日本国内に植民地が出現したと表現してもいいでしょう。

すると、それぞれの階層を支持層に持つ政党が出現するのが自然です。たとえばアメリカの「共和党 vs 民主党」のように、大企業にやさしい政党と、そうでない政党に二分されたりする可能性があるということです。

二極化
  ↓
階層の固定化
  ↓
階層の対立
  ↓
二大政党制の定着

 

ただし、今の「自民 vs 民主」の状態で二大政党制が定着するとも思えません。というのも自民党はもともと保守からリベラルまで雑多なグループの集まりですから、階層の上と下のどちらの代表にもなれないからです。同じように民主党は旧社会党が幅を利かせていますが、中にはゴリゴリの保守派がいますから一概には言えません。

自分としては、自民も民主もなく思想が近い議員同士で「保守とリベラル」ぐらいに分かれてほしいと思っています。そうでないと、選挙ではっきりと自分の意思を示すことができないからです。特に比例代表制だと、ある人を応援するつもりで投票したのに、同じ党内で全く考えの違う人が当選してしまったりしてストレスが溜まります。

 

2004年のアメリカ大統領選挙では、「大都市=ケリー(民主党)」「それ以外=ブッシュ(共和党)」にはっきりと分かれました。大都市では進歩的でマスメディアの力が強く、それゆえ民主党が強いのもわかります。逆に地方は保守的でコミュニティの力が強く、共和党が強いのもわかります。階層の固定化と社会の二極化が進む先は、このような形なのかもしれません。
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/000533.html

日本でも一時期、「大都市=民主」「農村=自民」という住み分けがありましたが、最近ではそうでもなくなってきています。二大政党制でも多党制でもいいんですが、今のごちゃまぜ政党とは違った形で有権者が選択できるようになってくれるのであれば歓迎します。

2007年7月16日 (月)

社会の保守化とメディア(2)世代のサンドイッチ

「これだけ国際交流や貿易が盛んになっているのに、ホントに保守化しているのかな?」と疑問を抱く方々もいると思います。

これは私が体感しているだけですから異論もあるでしょう。ただ、昨年の中ごろに「日本の出生率は回復しているのではないか」と思っていたところ、今年に入ってデータを確認したら確かに少し回復していました。今回もそれほど的を外してはいないと感じています。

(ここでの「保守」とは、簡単に「伝統的価値観--慣習、宗教、美徳、道徳、政治体制などを尊重すること」とさせてください) 

 

ワイルドインベスターズは「日本を投資大国にする!」というミッションを掲げていますが、「日本の伝統文化を世界に発信する」というサブミッションもあります。別にそれがトレンドになると考えていたわけではなく、むしろ孤独で長い戦いになると思っていました(好きでやっているのでストレスにはなりませんけど)。しかし世間が意外と早く保守化して、伝統的な日本の価値観を再評価するようになったことに若干の驚きを覚えています。「異文化との交流が増えた分、自分が何者かと自問自答する機会が増えたのかな」などと考えたりもします。

己を知るということは、大人になる上で重要なプロセスです。それをもたらすものは仕事であったり恋愛であったりスポーツであったりいろいろあるわけですが、中でも強烈なのは異文化との触れ合いです。海外に出てゆく日本人や、日本に入ってくる外国人が増えるに連れ、そういったきっかけが増えてきたのでしょう。

若いころは、「人類はみな同じ」というナイーブな世界観を持つ傾向があります。ところが実際に他人と交流してすれ違ったりケンカしたりなんかすると、相手のことと同時に自分のことを考えるようになります。

「あれ、この人は自分と違うぞ?何が違うんだろう。どうして相手はそう考えるのか、そして俺はどうしてそう考えるのか。そもそも、俺はいったい何者なんだ?どこから来て、どこへ行こうとしているんだ?」

こうして考えると、いちばん近いのは恋愛かもしれないですね。私の経験から言うと、失恋によって己を知り、人間として成長する過程にすごく似ています(笑)。

 

これまではグローバル化だとか、万民平等だとか、戦争のない平和な社会だとか、それら自体は「進歩的」で理想的なスローガンのもとに様々な試みがなされてきました。しかしグローバル化で移民が増えると犯罪も増えるし、平等なはずの社会でも格差はなくならないし、武器を捨てても戦争はなくなりそうにない。さらに親殺し・子殺しまで増えてきて、「何か大事なものを失くしてしまったのではないか」と考えるようになったのではないでしょうか。

逆に今まで恥ずかしいと思っていたマンガ・アニメなどといった文化が世界で大受けして、茶道・弓道などといった日本の伝統文化がジャパンクールなどと言ってもてはやされている。マスコミが「日本は孤立しているぞ!」と叫んでいたはずなのに、2年連続で世界に最も良い影響を与えている国のトップに選ばれた・・・。

こうなると「自分たちが古くから守ってきた伝統や価値観は、世界でも評価されるぐらい価値のあるもの」だったのではないかと考え直すに十分なきっかけとなります。理想から見たらダメダメな国だけど、現実的にはかなりマシなんだなと。で、日本に生まれたことに感謝しちゃったりするわけです。

 

そういった保守化の理由を私は、

  1. 国際交流の増加
  2. ネットの普及
  3. 極左自虐教育の反動

ぐらいに考えていました。ところがもうひとつ、保守的な世代が政治や社会の中枢を担うようになったという新しい仮説を目にしました。少し古くなりますが、先月の読売新聞に載っていた岡崎久彦さんの世代論です。

岡崎氏は「様々な人がいるはずなのに世代で区切るのは誤解を招く」という危険を承知の上で、以下のように各世代を特徴付けています。本文では年齢で表記してありましたが、時間が経つと換算しなおさなくてはならないので、私が追加で(何年から何年生まれ)と表記しました。

2007年時点の世代分け
(by岡崎久彦氏 読売新聞2007年6月24日)

  1. 94- 歳(    -1913) 戦前世代。軍国主義の前に教育が終わる。大正デモクラシー。戦争指導の中堅幹部。
  2. 81-94歳(1913-1926) 大正生まれ世代。下級軍人として苦労した層
  3. 73-81歳(1926-1934) 昭和一桁。戦前教育を受けた第一世代。戦後に活躍。
  4. 57-72歳(1935-1950) 戦後教育第一世代。60年安保、70年安保をすごした。後半はいわゆる団塊の世代。
  5. 40-56歳(1951-1967) 戦前教育第二世代。学生運動が沈静化した分、親の影響を受けた。保守的、新米的。安倍首相、独メルケル首相、仏サルコジ大統領。
  6. 25-39歳(1968-1982) 戦後教育第二世代。戦後の自虐史観の絶頂期に教育を受けるも、柔軟性があり個人差が大きい。親子とも戦前教育を受けていない。団塊第二世代を含む。バブルを知っている世代と、氷河期しか知らない世代で分かれる
  7. -24歳(1983-    ) 新しい世代。自虐史観が衰退し、経済回復期にめぐり合った。国や民族の自信を回復した。

面白いのは戦後教育を受けた人々(4と6)の間に戦前教育を受けた世代の子供(5)が挟まっており、その層は保守的・親米的であるということ。安倍首相、独メルケル首相、仏サルコジ大統領がここに入っているので、政治家として今後「旬」を迎える人々は親米保守が多いのではないかという仮説を立てても面白そうです。ということは単純計算で、この先15年ぐらいは世界中で保守反動が起こりうるのではないかと。

 

で、ここから先は1965年(昭和40)年生まれである私の経験から話をします。

自分は昭和一桁の両親を持っていますから、「戦前教育第二世代」の最後のほうですね。北斗神拳で言えば末弟のケンシロウです(自分で褒めすぎ・笑)。まさか安倍さんたちが同じ世代だとは思ってもいませんでしたが。

実は自分が中学生ぐらいのころから、少し下の世代と自分たちを含む上の世代に「潮目」があることは何となく感じていました。というのも、自分たちの世代ぐらいまでは「上下関係は絶対。部活でしごきは当たり前。言い訳無用、くやしかったら実力で見返せ。」のような文化があったからです。

その下の世代のことを良く知っているわけではないですが、先輩に対してタメ口を聞いたり、友達と同じ扱いをするような話でした。これは自分にとっては信じられないことでした。

ある先生は「戦前の教育の影響が本格的になくなった」と表現していました。そのときはピンと来ませんでしたが、おそらく本当だったのでしょう。ただし岡崎氏の考えだとそれまでずっと戦前教育が影響していたわけではなく、戦後教育第一、第二世代の間に我々が戦前教育第二世代としてサンドイッチのように挟まっていたことになります。先生は戦後教育第一世代の人も多かったでしょうから、私たちのほうが特殊に見えたかもしれませんね(笑)。

 

で、戦中派とその子供たちに親米が多いことにも理由があります。

ひとつには「国際社会は力の勝負」という現実のもとに完膚なきまでにアメリカに敗戦し、「ボスはアメリカ、日本は子分」という順位付けが確定したことです。サルでもニワトリでもそうですが、群れの中でより高い順位を目指して(特にオスは)争います。しかしいったん順位ができてしまったら、上位の個体には逆らわずに従ったほうが、自分も死なずにすみますし群れ全体の秩序が安定します。アメリカに負けた日本がアメリカを尊敬して手を組むのは、生物学的にも間違っていません。

日本はアメリカとの決勝戦に負けましたが、幸い生き残ることを許されて世界第二位の経済大国に返り咲きました。政治的・軍事的にはまだまだですが、日本がその面にまで力をつけるとアメリカの地位を脅かすのでほどほどで良いと思います。一度負けたにもかかわらず副長の座を許されている国がトップを狙って上を陥れるのは、自分がその権力を完全に引き継げる自信があって、100%確実なタイミングに限られます。失敗すれば完全に消されますから、無理をしてアメリカと対立する理由はありません。日米が手を組んでいる限り、たとえ残りの全世界が向かってきても敵ではありません。その現実がわかっているので、日本を滅ぼしたい連中の日米離間策に乗るのは愚の骨頂だと考えます。

 

ふたつ目の理由は、アメリカと協力して共産主義と戦ってみたら、思ったより居心地が良くて繁栄できたということ。アメリカとしてもソ連との対抗上、西側諸国に貿易の門戸を開いて意図的に繁栄させたという側面もあります。それでも自分は日本の高度成長により幸せな時代に育ったという思いがあります。世界が平和であることはひとときもありませんでしたが、自分が育った時代の日本に戦乱がなかったのは、日米安保のおかげです。「アメリカは汚ねえ!横暴だ!」と思いながら、「でも他の狂人国家よりはるかにマシ」という現実的な判断があります。

 

それに加えて、「アメリカ万歳。ソ連は悪魔」という西側プロパガンダの影響もあります。アメリカもスパイ工作やプロパガンダは積極的にやっており、日本もそれにやられちゃったということは大人になってから知るわけです。しかし「負けちゃったものはしょうがない。それよりもアメリカから学んで、同じ失敗をしないように」と考える傾向が強いと思います。

ちなみに「過ちは二度と繰り返しませんから」という石碑を見ると、「過ち=負け戦」と解釈します。戦争自体は過ちでも、悪でもない。負けたから悪者にされるだけ。だったら次は、負けなきゃいいんじゃないかと考えます。そこが「過ち=戦争=軍隊=平和憲法死守=武器を捨てれば攻められない」と考える人たちとの大きな違いです。

 

こうして考えると、どうして自分が「消去法だけど確信的親米保守」なのかという理由がわかるような気がしてきました。自分としては当然の論理的結論であったとしてもそれはこれまで育った時代背景や教育があるからで、別の人は違う考えを持っていたとしてもまったくおかしくありません。中国大陸に幻想を持つ人たちの考えはさっぱりわかりませんが、彼らには彼らなりの背景があってそう考えるのだろうということは想像できます。

(続く)

2007年7月12日 (木)

社会の保守化とメディア(1)カウンターメディアとしてのネット

あまりテレビを見ない私が言うのもなんですが、安倍政権叩きが加速しているようですね。今の政権に関係ないようなことでも材料にして、楽しそうにやっています。

閣僚がやっていることを見ると、確かに褒められたことではありません。ただ野党側の違法献金・不明朗支出・失言はあまり取り上げられず、自民だけが叩かれるのはフェアじゃないなあと感じています。まあ今月は参議院選挙がありますから、マスコミが政権を叩こうとするのはわかりますけどね。

  

メディアは本質的に反権力です。

もっと正確に言えば、国家権力を言論で攻撃する別の権力です。

そうでなければ「政府=マスコミ」となって、どこぞの独裁国家と同じになってしまいます。だからメディアは本質的にどうしても「保守的」より「進歩的」になるという事情はわかります。

自由主義諸国は「報道の自由」をある程度制限することはできますが、メディアを封じたり壊したりはできません。他のメディア(カウンターメディア)で対抗するしかないのです。しかし国民の判断が鈍っているときに巧妙にメディア操作されてしまうと、民主国家が一気に独裁国家になってしまうことはヒトラーが証明しています。民主主義は綱渡りのようなバランスで成り立っているということです。

 

日本のマスコミは「反権力」が過ぎて「反政府」「反日本人」になってしまい、首をかしげる報道をよく目にします。しかしそれは程度問題であって、先進国を見るとマスコミはほとんどリベラルであるような気がします。意地悪な言い方をするなら「統治する責任を持たない者の絵空事」が淘汰されず、生き残りやすい素地がある独特の世界ですね。その中でも日本が特別なのは、売国メディアという珍しいカテゴリが元気一杯ということです(笑)。

ところがネットによって民間の情報共有が進むと、「国民と政府を分断する」という全体主義国家の工作が効かなくなってきました。民衆がそれぞれブログなどを持ってプチメディアとなり、カウンターメディアとしてマスコミを牽制するようになったのです。

(ネット以前)
          -----------
  打倒      / 政府・権力者\
      ↑    /----------------       
分断工作← / ←マスメディア ←\←外国の干渉      
   ↓  /---------------------   
  洗脳 /    孤立した民衆       \
     /                    \
     -------------------------------

(ネット以降)
           -----------
支持→→→    / 政府・権力者\
↑  ↑    /----------------       
↑ 分断← / ←マスメディア ← \←外国の干渉      
↑ ↑↓ /-------------------   
チェック /    民衆プチメディア      \
     /   ネットで情報共有        \
     ---------------------------

(参考:独裁国家)
           -----------
 弾圧・支配  / 政府・権力者\
      ↓    /----------------       
  洗脳   /   マスメディア  \      
   ↓  /--------------------   
 奴隷化 /    孤立した民衆      \
     /                    \
    ----------------------------

* 不細工な絵ですみません

 

これは画期的な出来事と言えるでしょう。国民の判断力やバランス感覚が健全である限り、「民主主義は強化された」と言ってよいかもしれません。

それで最近感じるのは、マスコミ世論とネット世論の乖離です。それはしばしば、選挙予想と結果の違いになって表れます。

都知事選でいくら足を引っ張っても石原氏が勝つ。フランス大統領選でいくらロワイヤル氏に肩入れしても、サルコジ氏が勝つ。世界的に保守化してきたような風を感じるのです。

これはあくまでも自分の感触です。後述するように日本には「階層の固定化」→「階層の対立」→「二大政党制の定着」という可能性があります。そのような流れの中で極右政党が議席を伸ばす可能性があります。むしろこれまでなかったのが不思議で、遅いぐらいです。

 

今回の参議院選挙については、自民への批判票が民主にすんなり流れるとも思いません。なぜなら自民の支持者は「他よりもずいぶんマシ。選択肢ねえよなあ」と消去法的に入れている人が相当いるからです。マスコミの報道で態度を変える「浮動票」があるなら、とっくの昔に反自民になっているはずです。

それにマスコミの手口として、選挙直前まで延々と「反自民キャンペーン」をやり続けて、数日前から「与党が思わぬ善戦!」(だから手を抜かずに選挙に行って自民を落とせよ)と煽るパターンがあります。で、それがうまく行かないと「民主主義は死んだ!」と嘆いて見せます。いや、死んでたのはお前の予測力だって(笑)。

ですから、今の「自民惨敗」という予想をそのまま受け取る気にはなれません。自民が議席を減らすにしても、共産党とか、国民新党とか、もっとマイナーなところで新風などに票がどの程度流れるのかに注目しています。(続く)

2007年7月11日 (水)

大量格下げはなぜ起こったか?(値付けの問題、格付けの問題)

(会員レポートの一部と重なりますが、公共性が高いと判断して加筆修正のうえ掲載します)

ここのところ紙面を賑わせている問題に、アメリカで信用力の低い個人(サブプライム)向け高金利型住宅ローンを担保にした証券が大量格下げされたことがあります。たとえばこれまでAA格だった証券が、投資不適格であるB格に下げられたりするわけですね。

それら証券価格の急落がなにをもたらすかについてはマスメディアや他ブログで取り上げてくれています。だから私は「そもそも構造がどうなっていて、何でこんな問題が起こるのよ?」ということを書きます。

まずは、用語の確認から。

************************************

サブプライムローン

=低所得者やカード延滞者など、信用力の低い層を相手に貸し出す住宅ローン。リスクが高いので金利も高い。

************************************

RMBS (住宅ローン担保証券、Residential Mortgage Backed Securities)

=住宅ローンを担保として発行される証券。

************************************

CDO(Collateralized Debt Obligation)

社債や貸出債権(ローン)などから構成される資産を担保として発行される資産担保証券の一種 http://m-words.jp/w/CDO.html

************************************

 

証券化商品にはいろいろあるんですけど、基本的な構造は同じです。というのも資産側に社債やら債権やらを詰め込んだ会社を作って、返済順位が高い順番に切り分けて、投資家に売っているだけなんです。

 

証券化商品 (含むCDO・MBS・RMBS)の構造

-----------------------------
|             |シニアデットAA格   |   ↓高い
|              |---------------|    ↓
|              |サブデットBBB格  |    ↓ 
|    資産   |---------------|     ↓   返済順位
|              |サブデットC格      |   ↓
|              |---------------|    ↓
|              | E (エクイティ)      |   ↓低い
-----------------------------

こういったしくみの左側(資産)に住宅ローンを詰め込んだらRMBSになりますし、住宅ローンに限らず不動産を詰め込んだものはMBS(Mortgage Backed Securities不動産ローン担保証券)と呼ばれます。社債や貸出債権(ローン)だとCDOですかね。これらは広くABS(Asset Backed Securities資産担保証券)と呼ばれています。自分でもよくわからん部分があるんですが、懐かしい「含む記号⊃」を使って表現してみます。

ABS  ⊃ CDO ⊃ MBS ⊃ RMBS

************************************

 

余談になりますが、CDO(Collateralized Debt Obligation)というネーミングは昔から不思議でした。というものCollateralized(担保付き)と言いながら中に入っているものが無担保の社債だったり、ローンだったりすることがあるからです。さらにはDebt にもObligationにも「借金、負債」という意味があるので、どちらか一方で足りるのではないかと思ったものです。しかし、「シーディーオー」という言葉の響きがあまりにもカッコ良かったので、若かった私は許すことにしました。

それにそんなことを言い始めると、ABS(資産担保証券)についても「資産を担保にしない証券があるのか?」という禅問答にハマって眠れなくなります。だからあなたも深く考えすぎてはいけません。

************************************

 

この手法の賢いところは、どんなクズ資産を集めても返済順位が高ければ、それなりの格付けを得られるということです。極端な話、たとえば貸し金のうち20%しか戻って来る可能性のないクズ貸付債権の集合体であっても、返済順位が最も高い10%だけを切り取って評価すれば、さらに倍(10%)の余裕があるので返済の可能性が高いと考えることができます。返済順位の高いものをシニアデットと呼びますが、返済上位10% だけを切り取ればAAAという高格付けを得ることも可能なのです。

こうして切り分けられたそれぞれの部分(証券)を「トランシェ(フランス語で一切れの意)」「トランチ」、切り分けることを「トランチング」と呼びます。

これは別に魔法でも、インチキでもありません。ローリスク・ローリターンで良いと考える投資家はAAA格の上位債券(シニアデット)を買えばよいし、ハイリスク・ハイリターンを狙うならそれより返済順位が下の債券や株を安く買えば良いわけです。アメリカでは古くからある技術です。

そもそも普通の会社だって、「デット(債券・貸付)」と「エクイティ(株式)」という2種類のトランチングを行っています。金利にプレミアムを付けてもらうだけで良いと考える投資家はデットを買うし、リスクが高くても儲けを狙いたいと思う投資家がエクイティを買う。そして返済順位の低い株(エクイティ)で、大儲けしただの丸損しただのという話も同じです。

まあこのあたりはプロにとっては常識なんですけど、わかりやすく説明してくれる人がいないんですよね。「資産運用のカラクリ1」http://tinyurl.com/2oz6eqを読んだ人にはピンと来る話だと思いますが。

 

普通の会社(デットとエクイティの2種類にトランチング)

---------------------------
|               | デットAA格     |  ↓高い
|    資産    |-------------|    ↓       返済順位
|              | エクイティ       |   ↓低い
  ----------------------------

************************************

 

こういった構造を理解すれば、「サブプライムの低位CDOはレバレッジかけてジャンク債に投資しているのと同じ」ということがわかるでしょう。しかしそんなものは債務超過で破綻寸前の株を買うのと同じことなので、投資家のほうもそれを織り込んで安く買っていますからショックもありません。より問題となるのは、「通常の倒産確率であれば回収できると思って、格付け会社がAAA・AAなどの高格付けを与えた。しかし実際に倒産したら思ったより回収できなくて、高格付けにもかかわらず元本が戻って来なかった」というケースです。

サブプライムの借り手はワケアリで住宅ローンが借りられないため、高めの金利を払ってでも融資を受けたい低信用の人々です。金利が上がったり、ボーナスが減ったり、何よりも住宅価格が上がってくれないとすぐに飛んじゃいます。で、格付け会社はたとえば「不動産担保もあるし、いくらなんでも9割は戻って来るだろう」踏んで上位80% にAA格を付けました。しかし不動産市場が冷え込んで借り手が破産すると、担保不動産を売っても7割しか回収できなかった。そうなるとAA格だった債券が元本割れの可能性が出てきて、格下げせざるをえなくなります。

今回の大量格下げの原因には、不動産価格の上昇が続くことに慣れてしまったがゆえの格付けの甘さがありそうです。これが「格付けの問題」です。

本当のことを言うと、サブプライム自体の変動が大きいので、それを担保にした証券は保守的に格付けをすべきです。回収率の変動性(ボラティリティ)をも織り込んだほうが、より正確な格付けができるはず。ただし回収率やその変動性は均質ではないので、どうしても最近の状況を手がかりにします。そして返済状況があまりに良い状態が続いてしまうと、まるでリスクがなくなってしまったかのような錯覚を覚えてしまうことがありえます。

さらに発行側としては格付けが高いほうが資金調達に有利なので、保守的に低く格付けされることを好みません。あなたが債券を発行するとして、最近の状況からAAA格をくれる格付け会社と、将来の信用悪化を正確に予測してBBをくれる格付け会社のどちらに手数料を払いますか? 極端でいやらしい例えですが、そういう要因もありそうです。

************************************

 

そのデリバティブになると、もっと話はややこしくなります。というのももとになる証券(原証券)の価格もあやふやだし、その派生商品ともなればトレーダーが自分で値付けしていたりするからです。誰だってクビにされたりボーナスが減ったりするのはイヤなので、資産価格が急落して大損しているかもしれないと思っていても、その度合いをちょっと「調整」してみたりします。おっと、他社のトレーダーに「適正価値」を聞いても無駄ですよ。だって彼らも同じ悩みを抱えた仲間だったりするんですから

それでしばらく様子を見ます。ほどなく資産価格が回復して事なきを得るならラッキー。逆にどうしようもなくなるのであれば「スミマセン、実は…」と言って損失を出すしかありません。ずっと後になってから巨額の損失が突然現れ、マスコミで騒がれる。これが「値付けの問題」です。

************************************

 

こうして考えると、今回のCDOがらみの騒動は、昔から市場にある同じ問題に突き当たります。つまり、誰がどうやって資産価格を決めるのかという問題です。

株式市場の場合、昔はあまりにも粉飾決算やサギが横行したため、それを防ぐべく証券取引法や会計制度が発達しました。今では単純な粉飾を働くことはかなり難しくなったものの、知的所有権の資産計上だの連結飛ばしだのといった手法でお化粧を施すことはできます。

エンロンのように、アナリストたちがこぞって買い推奨していた企業が突然破綻するということは今でもありえます。格付け会社についても同様で、急激な資産劣化に追いつけず、債券価格が十分に下がってしまってから後追いで格下げするということはありえます。

このように、「値付けの問題、格付けの問題」は先進国のメジャー市場でも発生します。CDOのような新しい市場だとか、法律や裁判制度などが整備されていない未開の国ではその欠点が増幅されるだけなのです。

************************************

 

アメリカの住宅価格が上がっているうちはサブプライムの問題も覆い隠されていました。今は調子の良い新興国株式も、いったん調整が始まれば信じられない不正が発覚するでしょう(不正が発覚しないほど汚れた国のほうが多いかもしれませんが)。いくら市場が進化しても、「値付けの問題」「格付けの問題」はなくならないのだなあと痛感します。

 

「潮が引いてはじめて、誰が裸で泳いでいたかがわかる」
By ウォーレン・バフェット

« 2007年6月 | トップページ | 2007年8月 »

フォト
無料ブログはココログ

スポンサードリンク