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2007年10月24日 (水)

FX証拠金取引が持つクレジットリスク(2) 誘発される他のリスク

「終わり」といったん書いておきながら、風呂に入って思いついたことを付け足します。

 

為替が大きく動いてFX証拠金取引の顧客が大損を喰らい、なおかつそれを支払わなければFX業者が持っている潜在的なクレジットリスクが顕在化します。

それを防ぐために普通は以下のような仕組みが用意されています。

  • 十分な証拠金(=健全なレバレッジ)
  • 証拠金が不足しそうな場合、強制ロスカットで手仕舞いさせる

仮に市場が大きく動き、顧客が追加証拠金(追証)を差し入れることができなかった場合、FX業者が顧客の持ち高を強制的に解消してしまうわけです。

しかしこの仕組みも、よく考えると別のリスクを顕在化させることになります。

 

まず損したほうの顧客のポジションを解消するために、一度自分がそれを買って(ビッドで受けて)、すぐに市場でカバーしなければなりません。というのもそれまで社内でマッチングさせていたポジションが傾くことになりるからです。

先ほどの例で言えばBさんのドル買い(業者のドル売り)ポジションが消滅してしまうので、FX業者の手元には「Bさんの損失」と「Aさんのドル売り(業者のドル買い)100万ドル」が裸になって残されるわけです。で、「Bさんが持っていた分のドル買いを一度自分が受けて(Bさんのドル売り・業者のドル買い)、市場に流す(業者のドル売り)必要がある」と。

              ポジション   証拠金   損益  
Aさん   -100万ドル 100万円 +1000万円 
消滅→   +100万ドル 100万円 -1000万円
   ________________________________________________________
顧客合計 -100万ドル 100万円 +1000万円

FX 業者   +100万ドル  100万円 -1000万円
                  ↑      ↑     ↑
                  ↑  この損は肩代わりする(泣)
                 ↑
 市場で100万ドル売ってカバーしなければならない

 

これはツライですよお。

普段であればなんてことないカバー取引なんですが、一瞬にして10円も動くような市場で売らなければならないのだとしたらチビリます。ヘッジに失敗しただけで会社が飛んでしまいそうじゃないですか。

うまくできたシステムであれば、ヘッジのタイムラグやスリッページを最小化し、損失を顧客に転嫁するようになっているはずです。しかしそんな最先端の技術も顧客がバックレたら意味なし(笑)。

難しい言葉で言うと、「クレジットイベントにトリガーされて、マーケットリスクが顕在化する」とでもなるんですかね。なかったはずのデルタがいきなり出現して、ヘッジを強制されるわけです。

 

こんな状況に陥っても、損をした顧客から半分でも回収すればまだ倒産は免れるという状況だったとしましょうか。しかしそれがいつ回収できるかはわかりません。裁判しようとしても債務者は遅延工作に出るでしょうから、ぐずぐずしているうちに会社が倒産してしまいます。

こうなると金融機関はキツイです。信用が低いので高い金利でカネを借りなきゃならなくなるかもしれません。手数料やスワップレートを優遇し、高レバレッジを可能にして顧客を集めなければならないかもしれません。いずれも利ざやを圧迫し、顧客の質を落とし、リスクを高めてしまう行動です。

 

こうして考えると金融機関の破綻のほとんどは、「貸すべきではない相手に過大に貸してしまった」ことが原因になるのではないかと思います。同業他社との競争がきつくて死に物狂いで顧客を集めようとするのですが、その顧客の信用があまり良くないため結果的に収益の量と質を落としてしまうのです。サブプライムなんかもそのパターンですよね。

97-98年の金融危機でもそうでしたが、市場の大きな動きでリスクが顕在化し、金融機関の破綻が増えます。しかし実はその前に、以下のような兆候が現れているのです。プロはこれらの兆候を慎重に見極め、危ない取引相手を巧みに避けて通ります。

  1. 業界内の競争の激化
  2. 過大なサービス競争・価格競争
  3. 今まで避けられていた顧客層の開拓
  4. 逆選択。収益の量と質(資産内容)の劣化
  5. 市場の急変。大きな損失。
  6. 資金調達の不安。
  7. 勝ち続けるしかない大勝負(自己ポジによる投機など)
  8. そしていつしか、破綻

ちなみに逆選択とは、「悪貨が良貨を駆逐する」とでも言いましょうか、「市場での競争を通じて本来は良質のものが生き残る(選択される)はずが、逆に良質でないものだけが市場に出回るような状態」のことです。

保険で言えば低リスク者の脱退、銀行で言えば優良借り手の返済などにより、顧客の質が全体としてどんどん劣化してゆく状況を指します。http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~tate/yougokaisetu.htm

 

では、金融機関がこういった悪循環を避ける方法はないのか?

バフェットが言うところでは「同業他社の逆をやれ」という戦略があるそうです。彼の場合は保険業ですが、「同業他社が慎重になっているとき自分はイケイケで、同業他社がイケイケのときは自分は慎重に。そうすればサービス競争・価格競争に巻き込まれて収益を劣化させることもなく、長期的には勝利を収めるだろう」と言っていました。

これは「顧客を選べ!資産を劣化させるな!」ということなんでしょう。

逆張り投資に通じるものがありますね。

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コメント

コエーー。
FX屋さんでの両替は一撃離脱でね。(電子ちゃん風)
古いか。(笑)

そういえばFXには預金保険機構や証券保管振替機構みたいな組織はないですよね。
(詐欺を見分けるのには重宝します。)
そーいえばアメリカの証券会社はSIPC、銀行はFDICのロゴがwebに必ず貼ってありますよ。

FX初心者なのですがポジションの解消のくだりで、少し疑問があります。
勉強中なのですが少しわからなくなりました。

Bさんの買いポジションが強制的に解消させられる(FX業者が施行するロスカット)

FX業者には、「Bさんの損失」と「Aさんに対する$買い~」が残る

ロスカットは買いポジションを強制的に「決済」されるということなので、Bさんの損失はBさん自身の資産から差し引かれることなのではないのでしょうか?

FX業者は顧客の相手方となるので、Bさんにはこの場合オファーレートで売って、Bさんは買い(ロング)ポジションを持つことになります。そしてFX業者は売り(ショート)ポジションを一旦もって、カバー先(カウンターパーティ)でポジションを解消し、スクエア(ポジションが無い状態)にしますよね。すべての業者がオーバー・ザ・カウンターではないですが・・・。

※カウンターパーティを利用するのは自己資本規制比率を満たせる為

nicolloさん

両替はほんの数日のことですが、クレジットリスクのことを考えるとドキドキしますね。ですから安心なところでやりたいわけですが、市場が大きく動くと一瞬にしてこういった状態になりかねないのが恐ろしいところです。

FXさん、ご質問ありがとうございます。

ここでは前の記事の続きで、ちょっと極端な状況を想定しています。

1. 証拠金が1%以下しかない
2. 一瞬にして10円円高になった

損失が証拠金100万円のでまかなえるうちは当然Bさんの証拠金を減らし、Bさんの損にできます。しかし一瞬で発生した1000万円分の損失を、追証も入れずにバックレられたら業者がかぶるしかないですよ、という物語をちょっと省略しています。

OTCでのヘッジについてですが、律儀に一本一本ヘッジしに行くにしても、ある程度ネットポジションが傾いてから取りに行くにしても、最終的にAさんとBさんが正反対のポジションを取っているのであれば、内部で均衡するのでOTCのポジションはゼロになるはずです。

そこでBさんが退出してしまえば、内部のポジションが崩れてヘッジの必要が生まれますよねということが言いたかったのです。まあこれはつまり、FX業者がBさんから受けたポジションを市場で丸投げするということですが。

しかしおかげで、ちょっとした誤りに気付きました。

(誤)
損したほうの顧客のポジションが解消されると…市場で100万ドル売ってカバーしなければならない
(正)
損したほうの顧客のポジションを解消するために一度自分がそれを買って(ビッドで受けて)、…すぐに市場で100万ドル売ってカバーしなければならない

さっそく直しておきますね。

また疑問があったら書き込んでください。


返答ありがとうございます。
他サイトからのリンクから行き成り、このページを読んだので、想定のされてる条件を見てませんでした。「FX証拠金取引が持つクレジットリスク 」のエントリの続きだったんですね。Bさんのポジションというのは、見た目上、ロスカットされるけれども、それはBさんの資産どまりで極端に動いた際の値の分(実際の値の分)はFX業者が持つことになるってことですね。なるほどです。そしたら、ストップロスオーダーの場合にも当てはまりますよね?強制か自己設定の差だから・・・

今回は札幌市のFX業者の話からの流れで、危機管理的な少し極端な想定だったんすね・・・・にしても書籍やFX業者の説明だけだと表面的な説明だけなので(元本割れなどのリスクを承知していても)陰に隠れているリスクは見えにくいものですね。
でもまぁ危なっかしい経営している(レバレッジなど)業者に対しては冷静な判断をもって業者選びをすべきですね。まさにご指摘のとおりだと感じます。あとスリッページでのスリップ幅でその会社の信頼度や体力が少しわかるかもしれません笑

結局、FX業者は最終的に利益を上げる様にしているけど、資本力や利益を上げる技術が劣る業者は潰れてもおかしくないと言う訳ですね。でもまぁ、最後の最後に尻拭いするのは「顧客」なのかもしれませんね。悲
今回は急な質問に丁寧に答えてくださりありがとうございました。
以下、お土産です。
札幌のFX業者のこぼれ話です。裏情報かな笑
(↓エントリの題名が強烈ですが、記事の最後に札幌の件があります)
http://shadow-city.blogzine.jp/net/2007/10/post_e501.html

FXさん

情報ありがとうございます。

ストップロスオーダは証拠金内に収まるように余裕を見て出しているはずです。しかし値動き1円分の証拠金があって、50銭やられのところでストップロスを出しても、市場が飛んで2円下でようやく約定となれば同じことですよね。

リンク、読ませていただきました。札幌の業者さんは自己売買をやっていたと。

ただちょっと思うのは、「最初からそうしていたのかな?」という疑問です。というのも最初はまっとうな業務をやっていたのに、だんだん追い込まれて「7.勝ち続けるしかない大勝負(自己ポジによる投機など)」に手を染めるパターンが金融系には多いんです。規制・監督されるようになって、「何とかしなければ」という焦りもあったのかもしれませんね。

久々の投資ネタですが、何時もながら相変わらず視点がユニークですね。小生も今夏ドルのヘッジ売りの為FXを使いましたが、「誰がこの取引を担保してくれるのだろう」とふと思った事があります。株式や債券の様な確固ある資産でないものに血道をあげるのは、知らず知らすに別のリスクを取っていると改めて判りました。

ナッキーさん

株や債券にもかなり怪しげな担保しかないものがあるのですが(笑)、ここでは利用者が気付かないうちにお互いの間で実質的な資金の貸し借りが発生しうることがミソです。

こう考えると金融業は深いですよ。「銀行と呑み屋の違いは何か?」なんて考えちゃったりします。続きを書こうかな…。

サブプライムローン問題や、
新証券税制廃止についても記事お願いします。

あの「きらら」さんですか?
ご無沙汰してます。

そういえば、ここではサブプライムについて書いてませんね。いちおう投資ブログだってのに(笑)。

会員サイトのほうではかなり説明しているのですが、簡単にまとめます。

1.サブプライム問題は、日本の不良債権やアメリカのS&L危機と同じぐらいヤバイ。そのうちプライム層も苦境に陥るよ。

2. だけど企業のキャッシュフローが潤沢だから、株価はまだ上がるんじゃないか。

3.消費が冷え込んで株価が奈落に落ちるのは、2年後ぐらいかなあ。

こんな感じの見通しです。

ありがとうございます。あの「きらら」でございます。
最近のマスコミやらコメンテーターが投資家を恐怖に陥れるような「株価大暴落」だとか「金融恐慌」だとか言っているのに不満なんです。
私の投資スタイルは日本株でインカムを取る事を目的としたバリュー株の長期保有スタイルです。
現在の日本株バーゲンで配当利回りが2%以上に回るようなものもけっこう出てきていて
ワクワクしてますが、
まだ下げるようならゆっくり仕入れて慎重に行きます。
昨日は中国様が日本株に投資すると聞いて
中国も「いい会社を安く買う」つもりならお利口さんだなぁ、と思いました。
必要以上にびびりまくっている投資家さんも基本を思い出して欲しいなぁ、と思ったり。
証券税制に付いては渡辺大臣の活躍に期待しています。

きららさん

おっしゃるとおり、相当安い株がゴロゴロ転がっています。ここから先2年は安い株が上がるとは限りませんが、丹念に拾えば損はしないでしょう。ベテランはよだれを垂らしながら優良株を買ってますよ。

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