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2007年10月21日 (日)

主流と異端のバランス

2007年10月18日の日経新聞経済教室で、西口敏宏さん(一橋大教授)が「人と人のつながり見直せ」という題で興味深い寄稿をしていました。

簡単に言えばこういうことです。

(要約)普段から近所づきあいだけに集中していれば身の回りのことは最適化できるけど、新しい情報や人脈が入ってこない。そこで新しい情報や刺激を得るために遠くの人々とネットワークが必要になるが、こちらを重視しすぎると近所との付き合いがおろそかになりせっかくの情報や刺激が役に立たない。だから「近所づきあい」と「遠距離交際」の絶妙なバランスが大切なのだ。

確かにそのバランスをみんなが上手に取っているかというと、難しいものがあります。 

「近所づきあい」「遠距離交際」というとピンと来ない人もいるかもしれませんから、これらを「会社生活」「異業種交流その他」と置き換えてみましょう。

会社で働くのは大事なことです。少し前までの日本では滅私奉公することが最上の美徳とされ、「企業戦士」などともてはやされました。しかし家庭やその他のつきあいを犠牲にすることもあり、退職した瞬間に奥さんが退職金を持って逃げるとか、年賀状が一枚も来ないなどということもありました。ここでは「近所・会社」を重視しすぎる人を総称して、「引き篭もり症候群」と呼んでみましょう。

逆に近所や会社を軽視して、異国・異業種・異世代との交流に熱を上げる人々もいます。しかしそればっかりやっていると、近所や会社で重要な人間とみなされなくなり、たとえ良いアドバイスをしても受け入れられなかったりします。それを感じ取るとますます近所や会社との関係が希薄になり、浮き草的な生活になってゆきます。ここでは「異国・異業種・異世代」を重視しすぎる人を総称して、「ドーナツ症候群」と呼んでみましょう。

  • 「近所・会社」を重視
      やりすぎると↓
    引き篭もり症候群
  • 異国・異業種・異世代重視
      やりすぎると↓
    ドーナツ症候群

 

これを何人かの人に話したところ、「そんなの当たり前」との答えが返ってきました。いや、確かにそのとおり(笑)。しかし西口さんの原稿で面白いのはその後です。

(要約)最新ネットワーク理論によれば、人や組織を取り巻くネットワーク構造が重要である。成功するかしないかの差は、隣の友人や遠くの知人とネットワークを通じてどうつながっているかという構造特性に依存する。

大切なのは、ある人が誰かを知っているということより、その誰かがあなたの知らない人を知っており、さらに先へと広がっていることだ。

しかし本人は自分が認識する範囲に限界があるから、良いネットワーク特性を持って必然的に成功している人は「自分は運が良い」と感じる。そして成功しない人は「自分は運河悪い」と感じる。しかしそれらの結果は偶然ではなく、「ネットワークの構造特性」という必然である。

 

正直に告白すると、私は自分のことを「そうとう運が良い人間」だと思っていました。というのも小さいころからの経験がひとつのムダもなく将来に結びついており、たとえ不愉快な経験であっても長期的には必ずプラスになっていたからです。しかしこれも西口さんによると、「偶然ではなく必然」ということになるんでしょうね。

しかし、心当たりがないこともありません。

というのも私の本業は投資助言ですが、その傍らで投資家教育やブログもやっています。それらは本業につながるかどうかわからないし、短期的にはマイナスかもしれないんだけど、なぜかやらずにはいられない気持ちでいます。

もちろん本業が忙しくなればブログは更新しませんし、会員サイト以外の投資家教育・執筆にはもう力を入れていません。しかしそういった「課外活動」で広がった人脈や知識は、数年後には必ず効いてくることを経験的に知っています。

ですからムラがあっても、本業以外の活動を続けているのです。比率にするとだいたい「本業8割、それ以外2割」という比率なのですが、たぶんそれが私の「バランス感覚」なのでしょう。

 

その紙面で西口さんは、米国の優良企業3Mを例にしていました。

(要約)3Mでは直近の業務以外の自由研究に勤務時間の15%を使うことを認められている。結果が出なくても良いし、失敗も許される。こういった「本業」と「遊び」の絶妙な配分がヒット商品を産む知恵なのだろう。

私が別に読んだ本では、3Mの自由研究は「密造酒作り」と呼ばれ、20%を費やすことができると書いてあったように記憶しています(トム・ピータースだったかな?)。いずれにしても本業に差し支えのない範囲で新しいことに挑戦するのは、長期的な成長にとって不可欠な投資ということなのでしょう。

私もサラリーマン時代には2割どころではない「密造酒」を作っていました。本業のほうはシステムを作ってしまえば毎日1時間もかからずに終わってしまいます。だから残った時間を利用して、新しいアイディアを考えたり仕組みを作ったりしていたのです。無意識のうちに自分の世界を広げようとしていたのかもしれませんね。

 

長期的な成長の芽は異端にあります。

だからそれを守っていかなければならないのですが、あまりにもその比率が高いと今度は短期的な会社の収益が不安定になってしまいます。すると会社で働くことが不安になる人がいます。

したがってそれまでの主流(コア)事業を維持することが大事になるのですが、純粋にそればかりやっていると今度は時代遅れになっていることにすら気づかず、破壊的技術や後発会社にやられてしまうリスクが高まります。

ということは、個人でも会社でも国でも「主流と異端(本業と遊び)のバランスが重要」ということなんでしょう。

(続く)

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コメント

同感です。

私もブログや執筆に携わったりするのは、好きであることももちろんなのですが、何か将来にプラスにつながっていくような気がしてならないからです。

テニスも遊びでやっていますが、テニスから得られる体験というのはとても貴重なものです。
これも、今は何の価値もなさそうですが、何かにつながっている気がします。

すでに本業にいたっても、客観的に自分を観察しているもう一人の自分がいます。ですので、所属やカイシャといったことから離れて、自分自身が何をすべきかって考えて行動しています。

そういう意味では、私の場合、主流50%、異端50%ってところですね。(笑)

エクスパットさん

さすがですね(笑)。

ここでは「異端」と呼んでいますが、本人が仕事(人生)に役立てると意識している限り、無駄なはずがありません。タイムスパン・成功確立・周囲の見る目が違うだけで、それは立派な「主流(本業)」の一部と言えます。

そう考えると、「遊び」というのは「設備投資」に似ているかもしれません。つまりすぐ確実に結果を生み出すかどうかわからないけど、ときには遠くの人々と関わりあいながらリスク覚悟で試行錯誤する部分であると。

「遊び上手=仕事上手」ということも言われますが、そういうことなんでしょうな。

師範、ご無沙汰しております。

>というのも私の本業は投資助言ですが、その傍らで投資家教育やブログもやっています。それらは本業につながるかどうかわからないし、短期的にはマイナスかもしれないんだけど、なぜかやらずにはいられない気持ちでいます。
もちろん本業が忙しくなればブログは更新しませんし、会員サイト以外の投資家教育・執筆にはもう力を入れていません。しかしそういった「課外活動」で広がった人脈や知識は、数年後には必ず効いてくることを経験的に知っています

これは「代償の法則」ですな。与えれば与えるほどリターンがかえってくる、という。某ごきげん投信の「ギブギブギブ、とことんギブ、やがていつかは、ギブン」。岩谷産業だって創業者の岩谷直治がプロパンガスを通じて、全国の主婦を炊事の煩わしさから解放するのだという企業理念があったからあそこまで大きくなったのです。大きくなったところはみんなそうですよ。奪い尽くしてやろうという所には、人もカネもついてこんです。一時はいいですが。だから先に投資だと思って苦しんどく。王道だと思いますよ。

私はチャッカリ、もらってばっかりですけど(笑)。もうですね、教えて頂いた「割引現在価値」。何にでもこれ振り回してますもん(爆笑)。

クマ川さん、

いえいえ、ちゃんとお返しをもらってますよ。「ミートホープ証券」だの「飛びます飛びます」だの笑わせてもらってます。知的な刺激が何よりご馳走ですから。

自分はただ楽しいからやっているだけで、聖人君子ではないんですがね。しかしそれが、実は大事なことなのかもしれないと思うようになってきました。

その通りです。

楽しいからやる。

仕事も、人生も、恋も、スポーツも、相場も、読書も、ブログも、執筆も、アンチエイジングも、散歩も、サウナも、整体も、親も、子供も、先輩も、同僚も、後輩も、知り合いも、近所も、先生も、生徒も、WIも、グロスクリエイトも、あの人も、この人も...。


アイデンティティの豊富さは、人生の豊富さです。


ぜひクリスマスパーティーを企画しましょう!

エクスパットさん

ちょうどそういう企画が出ていたところです。また相談しましょう。

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