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2007年10月 7日 (日)

民営化 vs 国有化

ちょっと気になった記事 ↓↓↓

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Nikkei Net : 2007/10/06
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東京メトロ全株売却・政府が検討

政府は東京地下鉄(東京メトロ)が2009年度にも株式上場するのに伴い、保有する株式53%を一括売却する検討に入った。経営の自由度を高め、政府資産の圧縮を加速する。1000億円超の売却益収入を見込む。政府の関与がなくなることでメトロはより収益性を重視した経営をするとみられ、累積損失が多い東京都営地下鉄との統合には慎重になりそうだ。

 政府は05年秋に小さな政府を目指し資産・債務改革方針を決定、保有資産の処分を急いでいる。将来の日本郵政株式放出などに先立ち、比較的大型のメトロ株を完全売却し目標達成に弾みをつけたい考えだ。政府は民営化法人の株式売却で合計8兆円強の収入を得る目標を立てている。(07:01)
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おっと、民営化の株を半数以上売却するのは日本の財政赤字が1000兆円を超えてからかと思いましたが、最初から過半数を売り払う株もあるようです。

しかし同時に、心配になるのはこれ。↓↓↓

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Nikkei Net : 2007/08/02
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世界の政府系ファンド、15年に1400兆円に・米SEC委員長試算

 【ワシントン=小竹洋之】米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長は7月31日、新興国や産油国などが保有する政府系投資ファンドの資産規模について現在の約2兆5000億ドル(約295兆円)から2015年までに約12兆ドル(約1415兆円)に拡大するとの試算を明らかにした。上院銀行住宅都市委員会での証言で語った。

 中国やロシアなどでは国有の「ソブリン・ウエルス・ファンド」(SWF)を設立し、積み上がった外貨準備を積極的に運用する動きが広がっている。コックス委員長は「SWFの拡大は劇的だ」と述べ、資産規模が今後8年間で5倍近くに膨らむ可能性があるとの試算を紹介した。(07:01)
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産油国は新興国は今でも十兆円単位で「国有ファンド」を持っているわけです。それが8年後には合計で1400兆円に達すると。すると当然、「そのカネを利用して他国の重要産業を買い占めるんじゃないか?」という警戒感が出てくるわけですな。↓↓↓

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Nikkei Net : 2007/07/14
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日米欧、買収防止へ外資規制強化・新興国ファンド警戒

外国の投資ファンドや企業による、安全保障などにかかわる自国企業の買収を規制する動きが広がっている。米国、カナダは買収審査を強化、欧州でも外資を阻止する動きがある。日本も保護業種を拡大する方針。世界的なカネ余りで膨張した中国、ロシアなど新興国の政府系ファンドへの警戒心が高まっているため。ただ、保護主義の台頭を懸念する声も出ている。

 ドイツでは産油国や中国が出資する政府系ファンドへの規制論が浮上してきた。通信や鉄道、電力などで外国政府の影響力が強まるのを避けるためだ。メルケル首相は「法的措置を検討しなければならない」と表明、規制策の策定に入った。(07:00)
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2005年に中国海洋石油(CNOOC)が米石油大手ユノカルを買収しようとしたときは、安全保障上の理由から議会が反対し、結局買収は失敗に終わりました。しかし当然ながら、他国の国防上重要な企業を買収することで、その国を支配することは可能なはずです。

たとえば中国やロシアの政府系ファンドが、日米のステルス技術・ミサイル防衛網の技術を押さえている会社を買収したらどうなるか?技術を横流ししてスパイ活動を手伝う経営者を援助し、それに反対する経営者や技術者を追い出したらどうなるか?こういったことを 「資本の論理」と「国防の論理」という観点から考えてみると面白いと思います。

 

さらに日本では、「分割民営化」がこれからも活発化すると思います。民営化は、

  1. その会社のコスト意識と効率を高め
  2. 国に配当と税収をもたらす

という意味では合理的なのですが、

  1. 公共の利益がないがしろにされる
  2. 国の支配が薄れ、経営者や株主の支配が強まる

という意味では国益に反する可能性が高まります。

 

これと関連しますが、独占禁止法はある企業がひとつの業種を独占し、不当な利益を得ることを禁止しています。しかしそれでは

  1. ある人(会社・ファンド)が、その業種のすべての会社の議決権を過半数以上押さえてしまったらどうなるか?
  2. さらにその人(会社・ファンド)が、敵対している国のために働くことがわかっている場合はどうなのか?

メディアや通信などの業界では、外国人が株を持つことができる比率を制限しています。しかしその外国人が、日本の会社やファンドを使って「間接的に」会社を支配するようになったらどうなるんですかね。これも面白い問題です。

 

さて、仮に日本政府が過半数以上の株を放出してしまった場合、外国人に株式の保有制限がない業種では外国政府のファンドが議決権の過半数を買うことが可能になります。すると日本が民営化した会社を、外国が国有化することも可能になるわけですな。

たとえば日本の通信・メディアを中国が国有化するとか、鉄道・港・空港をロシアが国有化するとか、ガス・水道・電気(含む原発)を北朝鮮が国有化することも可能になるわけです。いやむしろロシアが北海道のインフラをすべて国有化し、中国が九州のインフラをすべて国有化したほうが面白いか(笑)?

 

これは非現実的な話ではありません。たとえば水関連のビジネスでは、

  1. まず、発展途上国の水道を民営化させる
  2. そこに「うちは歴史とノウハウがあります」と言って、管理を受託する
  3. 独占企業だから値上げは思いのまま。あくどい値上げで収益を上げる。
  4. 文句を言われて儲からなくなると、ほったらかして逃げる

 ということをやっている会社があるそうです。経済合理性を求めて民営化したはいいが、国が過半数以上の議決権を押さえておかないと、公共の利益に反して儲け主義に走られてしまう可能性があるということですね。そしてそれに付け込もうとしている私企業や、あるいは国があると。いやむしろ、民営化を推進する影にはそういった勢力がいるのではないかと疑ってみたほうが良さそうです。

 

もちろん、この仕組みを逆に日本が利用することもできますよ。

たとえば郵貯銀行を使って、狙った国の主要企業を買いまくるんです。そして

  • 通信・メディアを独占して洗脳工作
  • 金融や投資関連の企業を買って、他の企業を支配
  • 電気・水道・ガス・鉄道・高速・港湾を独占して、民衆から搾取
  • 公営ギャンブルを民営化させて、濡れ手に粟の大儲け

しかしまあ、自由主義国家はそういった地位を国益に利用することはできないでしょうね。ということでどうしても、「全体主義国家の政府系ファンドの買収を、自由主義国家が警戒する」というパターンになるでしょう。

普通の国であれば警戒して、対抗策を用意するでしょうね。
しかし日本だけがノーガードで支配されまくりそうな気がして恐い(笑)。

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コメント

安間さん

いつも、切れ味鋭い分析、楽しみにしております。確かに、東京メトロは、外資ファンドの投資案件として非常に魅力的であるように思います。

地下鉄の中の空間が未利用だらけなのを見ると、バリューアップも思いのままのような気がします。

また、そのうち、お会いできるのを楽しみにしております。

なんちゅうかSWFって、財政投融資と同じ匂いがしません?(笑)
道路や国有林じゃなくて上場企業だから良いのかな?

でもなー、中国のファンドに買われたとたん、まともな会社も従業員逃げ出して腐っちゃうよーな気がするんですが。
インフラ買ったってメンテできなくてボコボコになったり。
あーそれが目的だったらタチ悪いですね。(

地下鉄に中共の工作員、どんなブラックジョークだ!!(笑)

東京地下鉄上場益の1000億円といえば、わずかイージス艦1隻か戦闘機10機ほどの値段では?

私が中国人民解放軍の中の人なら、子会社使ってでもTOBしたいですよね。

>インフラ買ったってメンテできなくてボコボコになったり。

これ、満鉄で実績あり。

日本から接収した満鉄あじあ号、未だに本来の性能を発揮できていないそうですし。

統一戦線工作部
チェインス定例記者会見
「アイやーーまた日本の地下鉄で事故あるかーー。
日本では高度なビジネスを行うインフラがないあるから、
上海の浦東金融特区で金融ビジネスやるヨロシ。」

cpaさん

どうもご無沙汰です!
こちらこそ、ぜひまた飲みましょう。

nicollo さん

M&Aの利益の源泉は「シナジー」だの「コスト削減」だの言われますけど、本当は「ライバルが消える」ことにあると思うんですよ。ライバルを味方につけることがベストだけど、潰れてもらってもいっこうに構わないノーリスクのトレードです。

そういう意味では中国に買収された企業が腐っても当然で、買収した企業はともかく共産党政府としてはどちらでもいいんでしょうな。日本人が電車や車に乗れなくなっても彼らの優位が広がるだけですから。

愛読者さん

その資金が日本のODAやら化学兵器処理費用やらアジア銀行迂回融資から出てるとしたら、もう笑うしかありませんね。

資金・技術・労働→日本の負担
所有権・利益・支配権→中国のもの

やられっぱなしなことも満鉄時代から変わっていないかと思うと鬱になります。

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