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2007年12月11日 (火)

主流と異端のバランス(2) イノベーションのジレンマ

ずいぶん時間が経ってしまいましたが、再開します。

主流と異端のバランス(1)では、「主流と異端のバランス」あるいは「本業と遊びの配分」が安定と成長を両立させるカギであることを述べました。

国でも会社でも個人でも、本業(と思われること)だけをやっていてもいつかは行きづまる。逆に本業をおろそかにしては不安定になり、それを土台にした成長まで阻害されると。だから長期的に伸びる組織や人は、本能的にそれらのバランスをうまく取っている、と。

またコメント欄では以下のようなことも言いました。

「遊び」というのは「設備投資」に似ているかもしれません。つまりすぐ確実に結果を生み出すかどうかわからないけど、ときには遠くの人々と関わりあいながらリスク覚悟で試行錯誤する部分であると。「遊び上手=仕事上手」ということも言われますが、そういうことなんでしょうな。

 

これらの発見は、先輩に勧められて最近読んだ本といろいろ結びつきました。(アフィリ入ってます↓↓↓)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
(Harvard business school press) (単行本)
クレイトン・クリステンセン (著), 玉田 俊平太, 伊豆原 弓

 

ハーバードの教科書だそうです。監修は玉田俊平太さん。

ん?・・・しゅんぺいた、しゅんぺいた・・・ 

シュンペーター!!!

  Σ( ̄□ ̄|||)

シュンペーターが技術革新について語っとんのかい!

これはご本名だそうですが、たぶんお父さんかおじいさんが名づけたんでしょう。お母さんとおばあちゃんは難色を示したけど、絶大な力を持つ父(祖父)に押し切られたと。ああ、そのときの光景が目に浮かぶようです(笑)。

 

おっと、私の妄想エンジンが思わず暴走してしまいました。気を取り直して本の内容をごく簡単に述べましょう。

  1. 今は顧客のニーズにこたえられないかもしれないが、いずれはそうなると期待される画期的技術を破壊的イノベーション(以下、「破」とする)。これまでの技術の延長線上で性能を上げる技術を持続的イノベーション(以下、「持」とする)として区別する。
     
  2. 「破」について、既存客を頼ってマーケティングすることはマイナスである。存在しない市場については誰も想像できないし、分析もできない。破」の市場は思いもよらないところにあったりする。既存客と「破」を結び付けようとするとまず失敗する。
      
  3. 収益面での魅力が大きい既存ビジネスがなくなりでもしない限り、破壊的技術には資源が配分されない。その結果、「破」は資源不足に苦しみ、日の目を見ない。大企業の既存ビジネスが衰退し破壊的技術に目を向ける頃には、その市場は新興企業に制圧されている
     
  4. 大企業には既存ビジネスとその利益率のために構築された主流バリューネットワークや文化があり、それは「破」にふさわしいものと違っていたりする。それは挑戦と学習の繰り返しによって得られるものだ。現在の主流は組織全体を養っているという自負があり、失敗に対して寛容になれない。

これが、「いかに有能で勤勉な会社であろうと、破壊的技術の前になすすべもなく敗退する可能性がある」という「イノベーションのジレンマ」です。

これに対する解決策として、この本の中ではたとえば。

  1. 破壊的技術の開発とマーケティングを、それを必要とする顧客を抱える組織(チーム、子会社)に任せる。
    →技術にマッチする顧客を適切に選ぶ。
     
  2. 組織を独立させ、小さな勝利にも前向きになれる小規模なチームにする。
    →リソース確保・戦略・文化構築において「主流」に振り回されないようにする。
     
  3. 失敗するという前提でリソースを残しておき、再挑戦する体制で臨む
    →失敗・学習・試行錯誤が許される文化を守る

ということを提唱しています。

 

これを聞いたとき、いろんなケースにあてはめて考えてみました。

たとえば日本の銀行は、割合強固な「主流重視組織」です。かつては子会社を作ってリース・クレジットカード・投信投資顧問・証券などに参入しましたが、その子会社が親会社の銀行の意向ばかりを気にするので別会社にした意味なし(笑)。独自の文化と顧客を切り開いて親会社をしのぐような成功をおさめたところはほとんどありませんでした。まあそれも時代とともにかなり変わってきて、採用や処遇を独自のものにするようになってから伸びる会社も出てきましたけどね。

逆に商社は極端な「ノンコア組織」です。子会社を作りすぎてリスクを一元管理できなかったり、資金調達やマーケティングなどで二重三重のムダがありまくり(笑)。しかし内部の競争をも辞さないそのバイタリティと柔軟性が、「冬の時代」を乗り越えてきた原動力でした。まあ商社はもともとリスクテイカーで、分散投資によって収益を安定させるファンド・オブ・ファンズみたいなもんですからね。

一方、メーカーはうまく脱皮しているところがあります。富士電機→富士通とか、豊田自動織機→トヨタ自動車とか、実にうまく時代に適応して親会社を超える例が見られます。これはやはりイノベーションと国際競争にさらされているからでしょう。

ビジネスの性質・業界内の競争・その会社固有の文化・・・このあたりを考えると、それぞれが「主流と異端」「安定と成長」「当期利益と将来への投資」をどう考えているのか戦略が見えて面白いです。

 

もうひとつ「これもまた『イノベーションのジレンマ』だよなあ」と感じたのは、先進的なイノベーションは大企業で生まれるという法則。しかしその技術を世に出す組織がなかったり、充分なリソースが配分されなかったり、時代が早すぎたりすると、その会社では日の目を見ることができない。で、どこか他の会社がそれを使って大成功を収めると。

実はこれ、人材にも言えるのではないかな? と考えたりもします。つまり

起業して成功する人のほとんどは、一時的にでも大企業に勤めた経験がある

という仮説です。

 

少し前には、「学生からいきなり起業」というコースがもてはやされましたが、これは不可能ではないにしても相当厳しい道でしょう。社会人としてのトレーニングもなく、人脈もなく、不十分なリソースや見通しの中で試行錯誤をしなければならないからです。

それに対し大企業から起業するときは、自分が目指すビジネスと企業の方向性にギャップがあり、すでに人脈・技術・顧客などにあたりをつけた上で、これなら勝てるという見通しを持って始めることになります。

また起業をする前に大企業で働いてその便利さと非合理さを知っておくことは、大企業と戦うときにプラスになるでしょう。彼らがそもそも参入する気さえ起こらないところで勝負すれば、実質的な参入障壁の中で利益を確保することができます。あるいは将来的に人を使う立場になったとき、かつて使われていた経験が組織を動かすとき大いに役立ちます。そして究極的には、勤め人に戻るという選択肢まであると(笑)。

「優秀な学生は企業家を目指す」というのはすでに勤労経験のあるMBAなどに言えることで、学部卒でいきなり起業しても成功確率が下がってしまうかもしれませんね。

かつて主流チームの一員として働いていた人々が、異端の社長として業界に殴りこみをかける・・・これが一番効くでしょう。大企業の強さと弱点を知り尽くしているライバルが出現するわけですから。

まあ「知らないほうがぶっ壊しやすい」という考え方もあって、ネット黎明期のように過去の経験がほとんど役に立たない市場では、むしろしがらみがない方が勝つかもしれませんけどね。

 

それぞれの国、会社、個人が「主流と異端」のバランスをどう取っており、局面や相手によってどう変化させているのかに思いを馳せると、面白くてやめられません。

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コメント

イノベーションのジレンマ、それほど読みやすい訳ではありませんが、面白いですよね。なんだか弱者が市場の競争条件をひっくり返してしまう事例がいくつも紹介されると、柔道で軽量級の選手が一本背負いで重量級の選手を倒しているみたいで小気味良いです。

上記に比べて、「イノベーションの解」は更に難しく感じたのは、私だけでしょうか。

お笑いでいうと、
学生起業家:お約束を知らない人
企業スピンアウト:お約束をしりつつも、あえて守らない人
のちがいでしょうか。

学生起業家は怪我しますわな。(笑)

♪はいはいーー、オレやるーー♪

cpainvestorさん

「解」のほうは今、読んでます。学生や中小企業の人はこのジレンマに気付きにくいかもしれませんね。大企業の非合理性を目の当たりにした人ほど「なるほど!そういうわけだったのか!」と納得できる本だと思います。経験則としてはなんとなく気付いていても、理論付けられると目から鱗です。

nicolloさん

それ、うまい表現ですね。

本当に大きな技術革新のときは「お約束」を知らない人が運やカンで大成功する場合もあるのですが、一般的には「守・破・離」の手順を踏んだスピンアウト組が強いと思います。
「お約束」を知ってるくせにあえて守らないんですからね(笑)。

事務所で言うと、
起業スピンアウトは吉本・松竹でしょう。
TV的なお約束をNSCで叩き込まれてるわけですね。

学生起業家は、サンミュージックですよ。

↓以下は逆張りさんはご存じないかもしれませんので、「ニコニコ動画」で検索してください。

ロンハーで小島よしおがムーディとからんでるの見たときは衝撃でしたね。
「人の持ちネタ発表中は邪魔しない。」ってお約束をまさに「関係ねーー」って感じで壊してましたから。(笑)

鳥居みゆきを始め、ある種はかない線香花火の様なサンミュージック芸人大好きです。
(ただカンニング竹山は違いますよ。苦労人は違いますね。)

そして吉本・松竹は上場企業としてやっていけますけど、サンミュージックの株は私は買えません。(笑)

nicolloさん

検索する気力も湧きません…聞くだけでおなか一杯です。

鳥居みゆきって誰だろう?鳥肌実なら知っているが(笑)。

>鳥居みゆきって誰だろう?鳥肌実なら知っているが(笑)。

同じベクトルです。
ゴールデンには全く向きません。(笑)
ネットで火が付きました。

nicolloさん

鳥居みゆき、見たよ。
もう大好き!(笑)
絵画で言うとシャガールかな?

少なくとも写実派ではない。(笑)

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