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2012年5月27日 (日)

久々に出版しました。ホントは教えたくない資産運用のカラクリ4 新バフェット流で資産形成

おなじみ東洋経済さんから、シリーズ第4作です。

ホントは教えたくない資産運用のカラクリ4 「新バフェット流で資産形成」

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八重洲ブックセンターにて撮影。

 

 

株価指数を持ちっぱなしにしていれば自然に儲かる時代は終わりました。

今の時代は、発達したIT技術を背景にグローバルな二極化が進みます。

可能性が大きく広がる豊かな時代である反面、世界的な競争にさらされる厳しい時代でもあります。

本書ではなぜそうなるのかのメカニズムを説明し、投資家がこの時代を乗り切るための解決策として3つの方法を提示しています。

 

その3つの方法とは・・・まえがきを読んでいただければわかります。

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まえがき:激しい二極化の時代に

日本を取り巻くニュースは冴えません。

大企業の巨額赤字、工場閉鎖、失業、円高、増税、公的債務1000兆円。ニュースを見ているとお先まっくらに思えます。投資の世界でも日本株は20年来の底値をうかがっており、他国に遅れを取っています。

では他の国は順調なのか? と言うとそうでもありません。

欧州は政府債務と金融機関の問題がくすぶっており、ユーロは「統合か分裂か」の瀬戸際にいます。将来を嘱望された中国やインドも先進国の需要を頼りにしており、インフレに弱い点を克服できていません。一部の新興国は食料価格が上がると政情不安に陥り、すぐに騒乱が起こってしまいます。

米国は相対的にマシですが、それでも雇用が伸びず富裕層への不満が高まっています。

日本はメタメタですが、他の国もボロボロだったりするのです。
 

現在はグローバル化と情報化により、いたるところで二極化が起こっています。成長分野で華やかな話題が振りまかれる一方、先進国では失業が増えて中産階級が没落し、全体としての経済成長が抑えられています。

そして先進国の長期金利は2%そこそこまで低下しました。これは通常の金融政策は効かなくなるため政府債務が増え、将来的にインフレが起こりやすくなる可能性があります。また同時に過去30年ほど株価を押し上げてくれた「金利低下効果」がもはや期待できないことを示しています。

すると、長い間有効であった「株価指数を買いっぱなしにしていれば儲かる」という時代が終わってしまったのではないかと思うのです。
 

もちろん分野や国によって成長を続けるところはあります。二極化の中でバブルが発生し、ブチ上がる株もあるでしょう。各国が通貨の価値を下げてきますから、名目的には株価指数もそれなりに上がると思います。しかしインフレの影響を除けば、つまり実質ベースでは株価指数がこれまでのように調子良く上がり続けることは厳しいと考えます。

そこで本書では二極化がどんな影響をもたらすのか説明しながら、グローバル投資を通じてこの時代を乗り切る方法をご紹介します。

 

第一は基本となるバフェット型の長期投資です。
参入障壁によって「儲かる仕組み」を確保したグローバル企業に投資することで高い営業利益の恩恵を受けます。先進国で成長が鈍っても、世界全体で成長が続けばこれらの銘柄の利益も増えます。また情報技術の発達により「新しいバフェット銘柄」が生まれつつあることも好材料です。

第二はロングショートです。
通常は市場の値動きに配分されているリスクを個別銘柄特有のリスクに配分することで、右肩上がりでなくても儲かる手法を解説します。

第三はオプションです。
「何が起こるかわからない」世界では、暴落時・暴騰時に大儲けする手法が勝利を収めます。問題は「何も起こらない長い期間」のコストをどう支払うかですが、オプションを組み合わせることでその問題を解決します。

 

この本のタイトルが「バフェット」となっているように、まずは景気循環や競争にあまり左右されない「頑健な」バフェット的銘柄を知ることを基本とします。そこからロングショートを加えたり、オプションを使ったり、大きく売り込まれた魅力的な銘柄を拾う(バーゲンハンティング)といった形で応用してゆくと面白いでしょう。

 

グローバル投資を始めるときは、いきなり新興国に手をつけるより先進国のグローバル企業から始めるのが良いです。というのも法制度や金融システムが未熟な新興国では、いきなりルールが変わったり、取引停止になったり、出金ができなくなったりといったトラブルが考えられるからです。その点グローバルな大企業はリスク管理がしっかりしています。新興国が投資先として魅力的でなくなったり、政変などの兆候があれば、事前に気がついて対処します。

  
また個人投資家が新興国に資産を巻き上げられても泣き寝入りですが、グローバル企業はあの手この手で投資を回収します。必要とあらば世界最強の暴力団であるアメリカ政府が出てきて圧力をかけることもあります。先進国グローバル企業はそれ自体が新興国を含む投信のようなもので、あなたの代わりに新興国の分析・投資・リスク管理・回収をやってくれているのです。
 

過去20年の経験から、「投資にはもう懲りた」と思っている人も増えていることでしょう。
 

しかし世界を見渡せば着実に利益を出している会社があります。新しいビジネスが次々に生まれています。そんな時代に価値が下がってゆく預金にしておくのはもったいないことであり、また危険なことでもあります。

 是非ともこれまでとは少し違った考え方で、財産を守ってゆこうではありませんか。
ここで紹介する手法はその大きなヒントになると確信しています。

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明日 (5月28日) 月曜日には日経新聞に広告が出るそうです。

アマゾンさんにはまだ画像がありませんが、申し込みはこちらからできます。

楽天ブックスさんはこちらから。

 

 

 

2012年5月 8日 (火)

コンプガチャ = 通貨発行権 + 賭博の胴元権

(この記事はコンプガチャの善悪を論じるものではありません)

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コンプガチャは違法懸賞、消費者庁が中止要請へ
(2012年5月6日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20120506-OYT8T00110.htm

 携帯電話で遊べる「グリー」や「モバゲー」などのソーシャルゲームの高額課金問題をめぐり、消費者庁は、特定のカードをそろえると希少アイテムが当たる「コンプリート(コンプ)ガチャ」と呼ばれる商法について景品表示法で禁じる懸賞に当たると判断、近く見解を公表する。

 同庁は業界団体を通じ、ゲーム会社にこの手法を中止するよう要請し、会社側が応じない場合は、景表法の措置命令を出す方針。

 コンプガチャは市場規模2500億円を超えるソーシャルゲームで収益の柱の一つとなっているが、「射幸心をあおる」「子どもが夢中になり高額請求された」などの批判を受けていた。

 ガチャは、カプセル入りのおもちゃが出てくる自動販売機をイメージした商法で、1回数百円程度を払うとゲーム内で使うアイテムなどが当たる仕組み。事前にどんなアイテムが購入できるか分からず、くじのように偶然性に左右される。さらに、ガチャで購入できるアイテムのうち一定の組み合わせをそろえると、より希少なアイテム(レアアイテム)を獲得できるのが「コンプガチャ」で、昨年頃からソーシャルゲームで導入され始めた。

 コンプガチャが使われる主な人気ゲームには、モバゲーで遊べる「アイドルマスターシンデレラガールズ」やグリーの「探検ドリランド」などがある。
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私も投資家なので、この業界のことを多少は知っています。

しかしこれらの会社の時価総額が数千億円に膨れ上がり、名だたる大企業を上回るようになっても、株を買いたいと思ったことはありません。それは倫理的にどうのという話ではなく、収益の伸びや永続性について自分には全く見当がつかなかったからです。

無料ゲームで人を集めて、広告で稼ぐのであればビジネスモデルとして理解できます。しかし無料の釣りゲームで珍しい魚を釣るために、カネを払って特別な釣り竿(アイテム)を買う人々の心理が理解できませんでした。

その後、出会いの場としての効用だとか、心理学を駆使した縛りや煽りなどのテクニックを聞いて「なるほどな」とは思いました。しかしやはり自分の理解を超えた世界の出来事なので、株価が急上昇しても見送るだけでした。

 

今回の件で改めて調べてみたところ、「ガチャ」「コンプガチャ」と言われる形態でギャンブル性が強まっていたようです。

さらにオンラインゲーム上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を現実の通貨で売買する リアルマネートレーディング (RTM )という行為も盛んだとか。いやはや、海外ではそんな世界があるとは聞いていましたが、いつの間にやら日本もそうなっていたようです。

また、ゲームで知り合った相手とアイテム交換の約束をしたところ「自分だけが交換アイテムを送り相手からは約束のアイテムをもらえなかった」など詐欺被害の苦情が増えているとのこと。

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消費者庁「ガチャ」商法に問題ありと判断 ゲーム収益に影響大きい?
J-CAST ニュース  2012/5/ 6 16:26
http://www.j-cast.com/2012/05/06131130.html

   グリーや「モバゲー」を運営するディーエヌエー(DeNA)などが提供している携帯電話のソーシャルゲームで、「コンプリートガチャ」と呼ばれる商法が景品表示法に違反する疑いが出てきた。

   消費者庁が「問題あり」と判断したようで、連休明けにも業界団体を通じて注意喚起するとみられている。

   ソーシャルゲームは、約4割の利用者が「毎日利用する」(MM総研調べ)成長市場だけに影響は大きい。
「レアアイテム」ほしさに数十万円を使うことも

   消費者庁が問題視している「コンプリートガチャ」と呼ばれる商法は、カプセル入りのおもちゃが出てくる自動販売機である「ガチャ」をイメージした商法で、1回あたり数百円を支払うとゲーム内で使う「アイテム1 件」が当たる仕組み。

   ただし、1回でどんなアイテムが当たるかはわからず、クジのようになっている。

   一方、「コンプリートガチャ」は、ガチャで購入したアイテムのうち、一定の組み合わせをそろえると、より希少なアイテム1 件(レアアイテム)を獲得できる仕組みで、すべてをそろえようとすると数十万円を使ってしまうケースもある。

   2012年5月2日時点で国民生活センターなどに寄せられたオンラインゲームに関する苦情や相談には、「ゲームで知り合った相手とアイテムを交換する約束をした。自分は5万円もつぎ込んだアイテム1 件を渡したのに、相手からは送られてこなかった」、「携帯ゲームで基準を満たすとアイテムがもらえるはずだが、付与されない。どうしたらよいか」といった、ゲームの「アイテム」をめぐるトラブルが少なくない。

   「コンプリートガチャ」についても、「子どもの射幸心を煽る」「子どもが夢中になり、高額な料金を請求された」といった苦情や相談が増えてきたことから、消費者庁は事態を重くみた。(略)

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まあ、何もペナルティがないのであれば詐欺が横行するのは当たり前ですよね。

それにプレイヤーの中に雇われたサクラが混じっていて、高額アイテムを手に入れさせるよう片っ端から空約束して回っている可能性もあります。

こんな手口は汚れた大人であれば誰でもすぐ思いつくのですが、社会経験が足りない人は実社会と同じ感覚で相手の言うことを信じてしまうのかもしれません。

 

さて今回の件で面白いなと思ったのは、ゲーム会社が作ったアイテムが、そのコミュニティの中で金銭的な価値を認められているということです。

今回はそれを手に入れるための方法が、ガチャガチャを応用したギャンブル性(射幸性)の高いものになっていることが問題とされています。しかしここではその善悪については問いません。

 

ある会社が作ったアイテムがあるコミュニティで価値を認められ、RMTを通じて金銭と交換できるということは、その会社が通貨発行権を持つということです。

そんなことができるなら、まるでお札を刷るように莫大な利益を上げることが可能になります。まさに究極の錬金術です。

 

たとえば、出現確率0.01%の超レアなアイテムがあったとします。それを持っていると他人からの評価が上がったり、モテたりするので、RMT市場で10万円で取引されていたとします。

するとそれを作っている会社は、「超レア」である幻想を失わない範囲でこっそりとRMT市場にそのアイテムを横流しすることができます。市場で1000個しかないはずのそのアイテムを2000個まで増やせば、それだけで1億円の収入になります。

どうせパスコードか何かを付与するだけでしょうから元手はいっさいかかりません。まるで通貨を発行するような利益です。

えっ?「そんなことしたら希少価値がなくなってしまいますよ」ですって?

ご心配なく。そのアイテムが出回りすぎて希少価値がなくなってきたら、別の「超絶レアアイテム」を出します。まるで少年漫画のように、「もっと強い相手」「さらに高いハードル」を次々に作り出すのです。

 

顧客がガチャを回してそのアイテムを手に入れるのであればさらに儲かるでしょう。というのも宝くじの心理的効果が加わるからです。期待値としてはどう考えても不利なんだけど、少しでも可能性があるならと余計なカネを延々と払ってしまうのです。

しかも確率などの操作が可能だとしたら、その人のカネの突っ込み方を見ながら収益を最大化するようなロジックを組むことも可能です。プロセスと確率が明確になっていないのであれば、裏で何をやられてもおかしくありません。

 

さて、実は現実世界でも似たようなことが行われています。

  • 先進国の通貨は政府の信用で発行されるため、いくらでも印刷することが出来る。
  • そこでたくさん通貨を稼いだり、レアアイテム(名画など)を手に入れると一目置かれる。
  • 通貨や肩書きはインフレ気味にしたほうが経済活動は活性化する。同時に通貨発行益も増えて国庫が潤う。
  • 宝くじやギャンブルは国民の経済活動や精神を破壊する可能性があるので、どこでも規制されている。  

 

現実の世界では 「通貨発行権」「賭博の胴元権」は国家が独占しています。

なぜならこれらは「中毒性物質(麻薬・煙草・酒・ポルノ)配布権」と並んで極めて大きな利権なので、自由に認めてしまうと国より強大な組織が育つ可能性があるからです。

つまり倫理の問題として語られることの多い賭博・麻薬・酒類・性産業などの規制には、国家としての権力維持の本能が根底にあるということです。

 

一方、「現実とは異なるゲームの世界」を作ってそれらの利権を手に入れるビジネスモデルは賢いと思います。

しかし規模が大きくなると国の「シマ」を荒らしたと思われて、国家権力の介入を招くことになります。

もちろん、規制をかけるときには「通貨発行権」「胴元権」云々のわかりにくい説明はしません。「子供が何十万円もむしられた」などの、わかりやすい例で充分です。

しかしこれは根底に「統治の問題」があること、そしてネットの発達で多くの抜け道が出来ていることは注目に値するでしょう。

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