米中冷戦における日本(4):朝鮮半島の思考回路
朝鮮半島は地政学的に厳しい場所にあります。
というのも海は日本によって、陸はロシアと中国によって塞がれているからです。
特に韓国は北を北朝鮮によって塞がれており、まさに「完封」といった感じです。北朝鮮との交流を深めるのでなければ、韓国は海に出てゆくしかないのです。
下は日韓のEEZ(排他的経済水域)の比較です。世界第6位の広々とした日本のEEZと、押し込まれるように窮屈な韓国がよくわかります。
(良く目にする画像ですが、今回はこちらからいただきました)
中国・ロシアといった強大な大陸国家と陸続きであるということは、それに対抗する陸軍を維持するだけでも相当の負担となります。そのコストを軽くしたいのであれば、強い国の言いなりになるしかありません。朝鮮半島が長いこと中華の属国だったのは、「軍事費の負担に耐えられない」というちゃんとした理由があってのことです。
一方、海に向かうとこれまた日本という有力な海洋国家と接しています。日本が仮に韓国に意地悪しようと思ったら、シーレーンを塞いで石油などの輸入を止めてしまえば良いのです。ただしそれを決めるのは海上覇権を握っている米国であり、日本の一存で出来ることではありません。
この状況に対し、彼ら自身が「鯨に囲まれた海老」という表現を使うことがあります。
地政学で言うランドパワー(中露)とシーパワー(日米)の境目にあるため、どうしても大国同士がせめぎあう場所になりやすいのです。
この無理ゲーのような条件で、戦場にされたり緩衝地帯にされたりしながらもよくぞ頑張ってきたものだと思います。
歴史的に朝鮮半島は、ずっと中国の影響下にありました。
仏教の代わりに朱子学を唯一の学問としたため、ある意味で中華思想よりも純粋な「小中華思想」ができあがりました。
これは「朝鮮は中華とともに世界の中心であり、周辺の蛮族や禽獣をその徳によって服属させている」という考えです。
一種の選民思想あるいはカースト的世界観と呼べるでしょう。
本来は朝鮮も「夷狄」つまり蛮族に属するはずですが、中華と同一化することで自国の格上げを図ったわけです。
しかし話は次第にややこしくなってきます。
せっかく世界の中心であるはずの中華に事大(力の強いものに仕えること)しているのに、宗主国である中華様がたびたび他の蛮族にやられてしまうのです。
このためか、朝鮮半島の人々の思考回路にはこういった傾向が見られます。
- 極端な事大主義と恨(ハン)の文化
- 「事実」より「彼らにとっての真実」がすべて
- 文化的には最優秀という自負
- 英雄同一化願望
1. 極端な事大主義と恨(ハン)の文化
朝鮮半島において、弱者に味方することは致命的な災厄を招きます。大陸国家かつ属国の常として負けたほうは皆殺しにされるからです。
強い者が「黒」と言えば白いものも「黒」。常に強い者に味方して保身を図らなければなりません。
遼が金(女真族)にやられたら金に事大し、金が元(蒙古族)にやられたら元に事大します。明が隆盛すれば今度は明、その次は清(女真族)にと次々に事大先を変えるわけです。
強者に従う者の中で相対的に「良い子」でなくてはならないためか、誰かを褒めるときに必ず誰かをけなします。「ドイツは偉い。それに引き換え日本は」のように、誰かを引き合いに出して貶める傾向があります。事大先でもない限り単に褒めることは苦手なようです。
しかし強者に心から付き従っているかというと、そんなわけではありません。本当は自分のほうが上なのに、今の情勢としては逆らえない。そのストレスを心の中に「恨(ハン)」の情として蓄積し、それを晴らす機会を伺っているのです。
それはかつての支配者や宗主国に対して特に顕著で、没落した「元主人」に対して苛烈な仕返しをすることが知られています。
たとえば朝鮮系日本兵の中国人(元宗主国)に対する暴虐。日本人が半島から引き揚げる際の数々の「逸話」。 韓国の元大統領が逮捕されたり自殺したりで幸福な晩年を過ごすことができないことなどの事例を見ればイメージできるかもしれません。
2. 「事実」より「彼らにとっての真実」がすべて
「我々は世界一である」という彼らの自負心に対し、現実は常にどこかの属国です。
そのギャップを埋めるために彼らがしたことは、「事実」と「真実」を完全に切り離すことでした。
つまり実際に起こった「事実」が何であれ、我々が一番であるという「真実」は変わらない。
たとえばある国に人質を出して朝貢したという「事実」はあっても、我々のほうが強大国であるという「真実」は変わらない、という理屈です。
この「真実」はどうやって決まるかというと、「みんながそう言っている」ということが基準になるようです。
単なるデマや誤報であっても、いったん広まったら「真実」として定着し、覆すのは容易ではありません。
韓国人と歴史について話をするとき、日本側が資料を提示しても「捏造だ!」と言われて話し合いにならないそうです。
「真実」はすでに決まっているのだから、それに反論する日本人が出してくる歴史書・地図・条約などは捏造に決まっている。だから読む必要も考える必要もない、というわけです。
相手が日本人であればむりやり言い分を通せるかもしれません。しかしそのようなマインドで科学技術を発展させることは難しいでしょう。
3. 文化的には最優秀という自負
我々は中華とともに世界最高の民族。完璧な徳をもって周囲の蛮族を従えている。
しかし肝心の宗主国である中華は、たびたび蛮族に征服されまったく頼りになりません。
それならばむしろ歴史の長さや儒教の伝統において、本家の中華よりも朝鮮半島のほうが優れているんだよね、と考え始めます。
その「真実」から類推すると、きっと歴史も中華本家より長いんだよね。ということで近年は「ウリナラ9000年の歴史」を誇るようになりました。
お前の国だって何度も征服されとるやないかーい!
というつまらない「事実」を指摘するのはやめてください。そんなものいくら並べたところで「彼らにとっての真実」の前には何の説得力もありません。
さて、幸いなことに度重なる戦乱により朝鮮半島に昔の記録は残っていない。
中国と日本には記録が残っているが、漢字を捨ててしまったので韓国には読める奴がいない。
ってえことは、歴史もドラマもクリエイトし放題じゃーん! (*゚∀゚)=3ムッハー!
ということで、韓国の教科書には「彼らにとっての真実」がごく控えめに盛り込まれています。もっと笑いが欲しい方はこんなところやこんなところでご容赦ください。
4. 英雄同一化願望
強い国や人物に気に入られるためには、そのしぐさや考えを真似することが有効です。
いっそのこと一体化してしまいたいと思うかもしれません。
その思いが昂じ過ぎたのか、今の韓国人には強国の歴史や業績を自分のものと考える傾向があるようです(北朝鮮については不明)。
たとえば「我々(韓国人)が日本に原爆を落として降伏させた」と真顔で言う人がいます。
また世界で高く評価されているものは、もともと韓国人が発明・発見したものだと言います。
「孔子は韓国人」だとか「イギリスは韓国領土だった」とまで言い出すので、ネットではすっかり「韓国起源ネタ」として笑いの定番となっています。
すごい人と自分とのちょっとした関わりにあやかりたがる栄光浴なんてかわいいもんじゃありません。「それって君とは全然関係ないよね?」というようなものまで関連をクリエイトして「オレって凄い」と誇ってしまうのです。
特に日本人は外見が似ており、西洋人に対して「なりすまし」を働きやすいためか、あらゆるものが「起源主張」「乗っ取り」「書き換え」のターゲットになっています。
たとえば侍・忍者・剣道・合気道・茶道・折り紙などあらゆる文化が韓国起源であるというものです。また各国の「ジャパンエキスポ」に潜り込んで、これらは韓国の文化であると宣伝しています。
これは日本文化が西洋で大人気となったため、その人気や歴史をそのまんま横取りしようという動きです。ネットではこれを「文化略奪」として激しく警戒しています。
これは計画的な乗っ取りなのでしょうか?
おそらくそうなのでしょうが、 私はときどき「彼らは本当にそう思い込んでいるのではないか?」と感じることがあります。というのもやり方があまりにもバレバレだからです。
たとえば「孔子は韓国人」だとか「イギリスは韓国領土だった」などと言えば、誰だって韓国人の主張すべてを疑い始めます。日本の文化や歴史を乗っ取りたいのであれば、他国の歴史まで盗むような真似をして疑われないほうがスムーズにできると思うのです。
しかし「世界がスゴイと言うのなら、それはわが国の功績に違いない。みんながそう言っているのだからこれは真実」という思考回路が根底にあれば、その対象が何であれ「韓国起源の主張」は止まるはずがありません。彼らは本当にそう信じたがっているということです。
竹島についても同じことが言えます。
竹島はサンフランシスコ講和条約(ラスク書簡)で認められていない韓国の不法占拠ですが、韓国側が支配しているのだから騒ぐ必要はありません。しかし彼らは聞いてもいないのに外国で「独島は我が領土」と騒ぎ出し、領土紛争があることをアピールしてしまっています。
彼らは計画的に竹島を取ろうとしているのではなく、(理由は無くとも)竹島はもともと韓国のものだと思い込んでおり、それを日本が奪おうとしていることを恐れてパニックになっているのかもしれません。
(A)計画的乗っ取り と (B)疑うことなく自分のものだと信じている
を比較するなら、後者のほうが厄介です。
前者は「日本は怒らせると怖い」「そうすると利益にならない」「他のことをした方が良い」という利害や損得感情でやめさせることができます。
しかし後者の場合は「誇らしい自分のアイデンティティを根底から覆される」ことになります。それがもともと勝手な妄想であっても、彼らにとっては自己を強く否定されるショッキングな出来事です。その瞬間に何をしでかすかわかりません。カルト教団の洗脳を解くぐらいの難易度だと思います。
このように朝鮮半島の人々は特殊な思考回路を持っています。
ここでは日本と比べてどちらが正常・異常と判断するつもりはありません。
しかし少なくとも我々が、彼らのことを「誤解」していたことは事実です。
これまで我々は、彼らを同じような人間と考えて以下のような行動を取ってきました。
- こちらが譲れば、あちらも譲歩するだろう
- 援助すればそれなりに感謝してくれるだろう
- 謝罪すれば許してもらえるだろう
- 事実や条約を示せば納得するはずだ
- デタラメを言いふらされも世界の人々が信じるはずかない。そのうちわかってくれるはず。
しかしこれら日本的な対応はすべて逆効果で、問題をこじらせるばかりでした。
彼らのファンタジックな「真実」を後戻りできないところにまで発展させ、居丈高な要求をグレードアップする手伝いにしかなりませんでした。
これまで韓国のことを良く知らなかった人は、彼らの理不尽な態度に怒り出しています。
我々のように多少知識のあった者は「みんなようやく気付いたか」と安堵しながらも、まだ彼らを誤解したままトンチンカンな方向に進みそうなことを危惧しています。
ではなぜ日本は韓国を甘やかし、こんなになるまで放置したのか?
それを説明するためには帝国主義時代にまで遡らなければなりません。
(定番の参考リンク)
『危機に瀕する日本』第1巻: 文化略奪と歴史歪曲に関する一考察
『危機に瀕する日本』日韓紛争概説 第2巻: セックスと嘘と従軍慰安婦
(続く)
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コメント
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日本人の悪いところは、相手を自分と同じと勘違いするところですね。
相手の性質を理解して適切な態度で対応していたらもっと
良い関係を築けたと思いますが、残念ながらマスコミなど
の圧力もあってここまで来た印象です。
あと、日韓歴史共同研究なんてこともやっていたようですが、
これに参加した日本の歴史学者の方々のご苦労が偲ばれます。
まぁ、いよいよ中国・韓国の性質が日本人にも分かってきた
ので今後の日本に期待したいと思います。
投稿: Jおじ | 2012年8月30日 (木) 19時13分
Jおじさん、
実に長かったですね。
しかしまだ、お互いに誤解しているのではないかと危惧しています。彼らの本質を日本の政治家や官僚が理解しているとは思えません。
日本の将来のために、私も微力ながら情報発信して行きます。
投稿: 逆張り投資家 | 2012年8月30日 (木) 22時08分
日本がイケイケの時は韓国側が事大してきた
日本が朝鮮の考え方を知らないときは日本側が折れてた
これから日本と韓国は話し合っても妥協点が見つからない時代に入ってきたのではないでしょうか?
投稿: 丁 | 2012年8月31日 (金) 10時04分
丁さん、
実のところ今まで話し合って妥協したことなどなかったのかもしれません。韓国が日本に事大しているときも、日本が折れていたときも、コミュニケーションは一方的通行だったと思うのです。
そして話し合いが通じないとわかったとき、日本側は「言いなりになる」「力づくで従わせる」「延々と口論を続ける」のどれかを選ばなければなりません。彼らは話し合いが通じていないことすら気が付かないでしょう。頭が痛いです(笑)。
投稿: 逆張り投資家 | 2012年8月31日 (金) 18時03分
最近の韓国の行動をみていると、述べられている傾向にさらに拍車がかかっている気がします。一方で、我が国にも似たような行動をする人が増えて来たような気がします(ネット右翼の自国やアメリカ賛美、虚構や誇張に基づく相手の卑下など)。最近の長期不況などによる余裕の無さからか知りませんが、日中韓それぞれ良からぬ方向に進みつつあるのが残念です。
投稿: F-35 | 2013年3月13日 (水) 23時21分
ごく最近まで、勧告は西側陣営の友好国だと誤解していました。
自分が恥ずかしくて堪りません。
投稿: 汐宮 | 2013年6月30日 (日) 15時03分
汐宮さん
国と国に限ったことではないですが、友人のふりをして近づいてくる敵が最も厄介です。その「友人」はあなたのいないところで悪口を周囲に吹き込み、あなたが築いたものを横取りします。気付いてしまえば避けることもできますが、多くの人は気付かないうちに餌食となります。
日本国内にいる売国勢力を一掃すれば、彼らの力も半減するでしょう。しかしメディア・教育・宗教・政治まで乗っ取られていますので、多くの人に認識してもらうことが第一歩になると考えます。
投稿: 逆張り投資家 | 2013年7月 1日 (月) 15時20分