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2014年1月 7日 (火)

靖国問題の新展開(3) 「慰霊」か「顕彰」か

明けましておめでとうございます。

靖国の話はいったん終わったつもりでしたが、ある書き込みで「慰霊と顕彰」という視点が提示されました。それに大きなヒントを得たので続けます。

 

[概要]

  1. 靖国神社を「日本最大の慰霊施設」と見るか、「大日本帝国の顕彰施設」と見るかで考えは大きく変わる。
     
  2. 後者のイメージを膨らませて欧米にプロパガンダをばらまき、日本を孤立させようとしている人々がいる。日本国内では「慰霊の妨害」「宗教介入」と騒ぎ、海外では「戦争礼賛」「戦後秩序の否定」と訴え、日本とアメリカが憎しみ合うように仕向けている。
     
  3. 米国が靖国を「大日本帝国の顕彰施設」と見なした場合、「慰霊派」が当然の宗教行為を続けることが戦後秩序(≒アメリカの覇権)を否定する行為と見られる。それは日本脅威論に説得力を与え、安全保障を危うくする。
     
  4. 国は宗教法人の展示品に口を出せないし、資金援助もできない。慰霊施設は「宗教法人ではなく」「国営化」して、今は賊軍として除外されている人々も祀るべき。靖国や千鳥ヶ淵を変えても、新しく作っても良い。
     
  5. これらは我々の宗教観や名誉回復の国会決議とは矛盾するが、やんごとなきお方や世界中すべての人に訪れてもらうために我慢する。これは日米・日英関係を悪化させないための「慰霊派から米国への譲歩」である。
     
  6. 「戦犯分祀」は積極的に進めるべき。B項C項戦犯の中には韓国人(朝鮮人)148名が含まれているので、この問題を焚き付けた勢力への強烈なカウンターになる。

 

1.
靖国神社を「日本最大の慰霊施設」と見るか、「大日本帝国の顕彰施設」と見るかで考えは大きく変わる。

 

「慰霊」とは文字通り、亡くなった人物や動物の霊をなぐさめる宗教行為です。

首相の靖国参拝を支持する人々の多くは、靖国神社を「日本最大の戦没者慰霊施設」と見なしています。この人々をここでは「慰霊派」と呼びます。

その最大の理由は「今までずっとそうだったし」「他にない」からです。

「慰霊派」にとって、軍人・戦没者を祀るのは当然のことです。自分がいま生きているのは国のために戦ってくれた人々がいるからであり、感謝しなければ誰も戦わなくなるだろうと感じています。それをしない人々は想像力が足りないか、恩知らずのように感じます。

いわゆる戦犯については1952-53年の名誉回復決議で、国内的には犯罪者ではないという立場を取っています。「死ねば仏」という宗教観に基づいて、区別はしない考えです。明治以来250万もの戦没者の中に少しぐらい悪人が混ざっていても、慰霊をやめる理由にはならないと感じています。

千鳥ヶ淵に参拝する人や、そこで戦没者慰霊式典が行われることは否定しません。しかし千鳥ヶ淵だけ行って靖国に行かない人々に対しては「無縁仏だけ拝んで慰霊を終わらせたつもりか?なにもわかっちゃいないのに靖国を批判するんだな」と冷めた目で見ています。

靖国神社に「戦争神社(war shrine)」「第二次大戦神社(WW2 shrine)」とレッテルを貼って、第二次大戦後にできた戦争賛美・戦犯崇拝の施設だとウソを吹きまくっている連中に対しては、舌を引っこ抜いてやりたくなります。

「慰霊派」にとって、靖国の代わりになる場所はありません。別の施設を作ることは死者との約束を破る裏切り行為だと感じています。「無宗教の」などと言われると、「慰霊という宗教行為に無宗教はありえない。欺瞞である」と拒絶します。

どうせ譲歩したところで別のイチャモンをつけられるのだから、いっそのこと靖国でずっと揉め続けるほうが良い。何度も行けばそのうち諦めるさ、と考えています。

 

 

一方、靖国神社を「大日本帝国の顕彰施設」だと考える人もいます。顕彰とは、ある人の功績を人々に知らせて褒め称える政治行為です。そんな人々をここでは「顕彰派」と呼ぶことにします。

そのうち肯定的顕彰派は、大日本帝国は正しいことをしたと考えています。アメリカに負けはしたものの、大義はこちらにある。その精神を後世に語り継ぎ、いつかは名誉と自尊心を回復しなくてはならないと考えています。

「慰霊派」に比べると少数派で先鋭的な考えですが、それでも一定の支持があります。戦犯合祀や遊就館の展示物については「正当な歴史観の反映であり、他国が口を出す話ではない」と考えています。

靖国保護や首相参拝など、ほとんどの局面において「慰霊派」と共闘します。深く掘り下げない限り、「慰霊派」と「肯定的顕彰派」の区別はつきません。

 

それと真逆なのが否定的顕彰派です。

敗戦まで突っ走ったファシズムの根底には国家神道があり、国民は国家のために利用され死んでいったのだと考えています。政治家が靖国神社を参拝すればまた同じことが繰り返されるのだと感じています。

特に戦犯が合祀され、遊就館が「大日本帝国の正当性」を強く打ち出すにつれ、その警戒心は高まっています。

靖国神社はそもそも明治以降にできた「招魂社」であり、神社本庁にも属さないため純粋な宗教法人ではない。明治政府にとって賊軍であった会津藩士や西郷隆盛は祀られておらず、狭量な大日本帝国のための政治施設と考えています。

否定的顕彰派にとって第二次世界大戦は日本の歴史上の汚点であり、忘れたい出来事とされています。否定された戦争をいつまでも蒸し返し、周辺国と摩擦を起こして、いったい何の利益があるのか。個人として参拝するのは「信教の自由」かもしれないが、大臣クラスが当然のような顔をして行くのはマズイだろと考えます。

 

 

2
「大日本帝国の顕彰施設」のイメージを膨らませて欧米にプロパガンダをばらまき、日本を孤立させようとしている人々がいる。日本国内では「慰霊の妨害」「宗教介入」と騒ぎ、海外では「戦争礼賛」「戦後秩序の否定」と訴え、日本とアメリカが憎しみ合うように仕向けている。

 

「慰霊」と「顕彰」の違いはこれまで意識されて来なかったため、「宗教問題」と「政治問題」を切り分けて整理することができませんでした。特に宗教やそれに似た政治思想が絡むので、どの立場を取っても途中で思考がストップします。同じダマシ絵を見て「お前は間違っている!」と罵り合うように、相手の立場が全く理解できなくなってしまうのです。

このあいまいさは、他国が大いに利用することができます。

日本人向けには「あくまでも神聖な慰霊行為」として政治家の参拝を当然とするよう圧力をかけます。これは日本人の宗教観に根差しているので、多くの支持を集めます。

逆に主要国には「大日本帝国の顕彰施設」であることを強調し、「戦争礼賛」「米国覇権の否定」と煽ります。「慰霊派」がほとんどであることを隠して「日本人は肯定的顕彰派ばかりである」と喧伝すれば、各国が日本を見る目が厳しくなります。

そこで戦後レジームからの脱却を掲げる首相の靖国参拝が支持されるのであれば、日本人のほとんどが敗戦を受け入れていないと思われるでしょう。特にアメリカは、「またやる気なのか?」と身構えるはずです。

こうして日本は誤解され、孤立するという寸法です。日米離間を喜ぶ国は中露をはじめたくさんあります。これまであいまいで許されていた「慰霊」と「顕彰」が日本国内の分裂を生み、他国が付け入る隙を作っているのです。

 

 

3
米国が靖国を「大日本帝国の顕彰施設」と見なした場合、「慰霊派」が当然の宗教行為を続けることが戦後秩序(≒アメリカの覇権)を否定する行為と見られる。それは日本脅威論に説得力を与え、安全保障を危うくする。

 

靖国神社が「慰霊」「顕彰」の両方を担っていることは、これまで問題になりませんでした。

たとえばアメリカであれば

アメリカは強い→アメリカは正義→軍人さんありがとね(慰霊)→あんたたちは正しくて偉い(顕彰)→よっしゃ俺もヒーローになるぜ!(願望)

と考えても誰にも邪魔されないでしょう。

 

日本でも、戦争に負けるまでは同様だったと思います。

しかし第二次大戦以降、「慰霊=顕彰」と単純にはいかなくなりました。

大日本帝国の指導者に対し「あんたは正しくて偉かった(顕彰)」と強調するほど、「ではアメリカは正しくないと考えているのか?」と疑念を持たれてしまうのです。

 

その相手が寛大なアメリカ人であれば問題になりません。

「ヤスクニ? なんだそれ? ようわからんけど今のお前にゴチャゴチャ言うやつおるなら俺も参拝したるわ」

「ガハハハ!!!あれだけやられてまだ懲りない連中がいるのかよ。軍人への感謝は世界共通だからしゃあないわな。しかし戦犯まで神様にしちまうなんて、お前の文化は本当に独特でクレイジーだぜ。俺も強くなりすぎて、最近は暴れ足りなくてな。いつでもかかって来いや!ガハハハ!!!」

などと言われたら、「コイツにはかなわん。同盟国で良かった」と惚れてしまいます。

 

しかし今のアメリカは疑心暗鬼になってます。

「ひょっとして原爆や空襲のことまだ恨んでる?」

「いつか仕返ししよう、なんて考えてる?」

離間策に引っかかって同盟国が次々にそっぽを向き、自業自得ながら少しかわいそうなところもあります。

それでも日本にとってはたまったものではありません。日本の防衛は米国との同盟関係を基軸にしており、それが反故になれば防衛計画はすべてやり直しです。それを支える経済規模も維持できません。日米同盟がなくなれば、日本は北朝鮮化せざるをえないと言えるでしょう。

 

 

4
国は宗教法人の展示品に口を出せないし、資金援助もできない。慰霊施設は「宗教法人ではなく」「国営化」して、今は賊軍として除外されている人々も祀るべき。靖国や千鳥ヶ淵を変えても、新しく作っても良い。

 

さて焦点となっている靖国神社ですが、宗教法人である以上はその展示物に国は口出しできません。たとえばあまりに「顕彰」の色を濃くし過ぎて米国に「反米カルト教団」と見なされるようになっても、国がそれを止めさせることはできないのです。

逆に民間の宗教法人である以上、資金的に苦しくなったからといって国が援助することはできません。よくよく考えると、国民的な行事であるはずの「戦没者慰霊」をひとつの宗教法人が担っていたわけです。

今の靖国神社は、中韓北のクレームや欧米諸国の介入で賑わっています。いわゆる「炎上マーケティング」で参拝者が増えているのです。しかしそれは健全な姿でしょうか。もし慰霊が目的であれば国が責任をもってやるべきです。

ここまで書くと、「無宗教の施設を作る」と提案する人がいます。しかし慰霊派からしてみれば、無宗教の慰霊施設とは矛盾であり欺瞞しか感じません。もう少し正確に言うなら、慰霊という宗教的行為を非宗教法人で行うようにするのです。とにかく国のコントロール下において、英米から誤解されるような行為はやめることです。ついでに懸案となっている「賊軍」の扱いについても、寛大な処置を希望します。

ここまで合意ができたら、次にどうするか考えましょう。私としては歴史のある靖国神社に非宗教法人化して国の管理下に入ってもらいたいですが、もし靖国自身が大日本帝国の正当性を強く打ち出したいのであれば仕方ありません(それも信教の自由で、国が口出しできることでは本来ありません)。千鳥ヶ淵を拡充するなり新しく作るなどして、別の慰霊施設を用意するしかないでしょう。

 

 

5
これらは我々の宗教観や名誉回復の国会決議とは矛盾するが、やんごとなきお方や世界中すべての人に訪れてもらうために我慢する。これは日米・日英関係を悪化させないための「慰霊派から米国への譲歩」である。

 

これらの提案は「慰霊派」「積極的顕彰派」からすれば敗北でしかありません。我々の宗教観ではない偏狭な理屈に基づき、国会決議で解決した問題を蒸し返されて歴史と伝統を踏みにじられるのです。

しかしこれは最初に火をつけた日本のメディアや、近隣諸国に対する敗北ではありません。米国に対する譲歩です。いま日米同盟がなくなると国が潰れて慰霊もへったくれもなくなりますから、仕方ありません。

その代わりやんごとなきお方が再び慰霊に訪れる環境を整え、ついでに「官軍・賊軍」という日本国内のわだかまりにも終止符を打ちたいと思います。

 

 

6
「戦犯分祀」は積極的に進めるべき。B項C項戦犯の中には韓国人(朝鮮人)148名が含まれているので、この問題を焚き付けた勢力への強烈なカウンターになる

 

靖国や千鳥ヶ淵を変えるにしても、新しい慰霊施設を作るにしても、いわゆる戦犯の人々をどう扱うかという問題は避けて通れません。

私はもともと「慰霊派」でしたが、ここに来て「戦犯分祀論」には積極的に乗るべきだと考えるようになりました。

第一の理由は、国内法では決着がついていても戦犯を祀ると「戦争賛美」「戦犯崇拝」というプロパガンダを防げないということ。私としては狭量な考えだと思いますが、日本の宗教観を他国が理解するとは限りません。日米衝突につながりかねない火種は消しておきたいところです。

 

第二の理由は、BC項戦犯の中に朝鮮人(韓国人)が148人、台湾人が173名が含まれているからです。

いわゆる戦犯については、いつも「A項(A級)」だけが問題とされています。B項C項戦犯についてはいつも除外されているのです。これは忘れているわけではなく、触れてほしくないポイントなのでしょう。

こちらの戦略としては、「戦犯」と言われたら必ず「ABC」を一緒に論じること。もともと彼らが言う「罪の種類」が違うだけで、「罪の重さ」の違いではありません。分祀した後で韓国や北朝鮮以外からイチャモンをつけられないためにも一気に処理した方が楽です。

 

慰霊から除外するABC戦犯の名前を発表して別の場所で祀れば、どんなに鈍い人でも「なぜ戦犯の中に朝鮮人(韓国人)がいるのか」という疑問が湧きます。

いつも被害者として日本を糾弾する韓国・北朝鮮の中に、戦勝国から「罪人」とされた人物が150人近くいるのはなぜか?

そう聞かれたら、朴春琴衆議院議員や洪思翊(こうしよく)陸軍中将のことを聞かせてあげると良いでしょう。「被害者」のような顔をした人々が実は「加害者」「共犯者」であることが世界中に知られたら、反日ヘイト活動も勢いを失うかもしれません。

(終)

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