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2015年7月 6日 (月)

なでしこジャパンの強さを考える (2終)経験と危険察知能力

なでしこ対米国の女子サッカーW杯決勝は、2-5で完敗しました。

期待とは違っていましたが、いろんな意味で興味深い戦いだったと思います。
 
 
 
前半16分で4点取られて勝負は決したわけですが、米国は実に良く日本を研究していてその弱点を衝いて来ました。
 
実はなでしこは、高いボールの競り合いには強いのです。
 
その代わり、低くて速いボールや10m以上の競走には強くありません。
 
これまでの対戦相手は身長の違いを生かそうとして高いボールばかりを上げ、なでしこの術中に嵌りました(みんな知っていて黙っていたと思いますが、もう書いて良いと思います)。
 
しかし米国はそれに惑わされることなく、開始早々たたみかけてきたのです。
 
 
 
今回の戦いには、なでしこに勝つための戦略が凝縮されていました。
 
試合が長引けば長引くほど、なでしこの粘りと持久力が生きてきます。
 
逆に試合開始や後半開始の直後であれば、米国が圧倒する瞬発力の差が生きてきます。
 
だからまず試合開始直後にスピードで押しまくり、ラピノーが自由に蹴るチャンス(コーナーやフリーキック)を得ます。
 
 
 
特に1点目のコーナーは凄かったです。
 
「ラピノーからロイド」は、なでしこで言えば「宮間から澤」と同じ超ホットラインなので、警戒しないはずがありません。
 
しかしロイドはずっと離れた場所にいて、マークを外します。
 
そこから一気に走り込んできて、ピンポイントで低いコーナーキックに合わせました。
 
ご丁寧に他のチームメイトは高さを生かすふりをして日本のディフェンス陣を引き連れ、ラピノーからのパスコースとファーサイドへのシュートコースを空けています。
 
恐ろしくオーガナイズされたセットプレイでした。
 
 
 
おそらく何十回、何百回と練習したのでしょう。
 
前半15分を過ぎてしまえば、「なでしこワールド」にズルズルと引きずり込まれてしまいます。
 
この奇襲が成功するかどうかで、勝敗が逆になってしまうかもしれない正念場です。
 
そこで猛ダッシュで長い距離を走り込み、ピンポイントで決める大役を32歳のベテランが演じるのですから見事としか言いようがありません。
 
 
 
その仕掛けがわかってしまえば、実は対処は簡単です。
 
フォワードの選手をひとり前に置いて低いボールのコースを消してしまうか、そこを抜けたら誰かが狙ってカットすれば良いのです。
 
いずれにしても高さを警戒し過ぎて「空けてはいけないコースとスペース」を大きく空けてしまったのが敗因です。
 
 
 
もし澤選手がスタメンだったら1点取られた時点で見破り、対処法を指示したかもしれません。
 
しかしなでしこは大混乱に陥り、似たようなパターンで2点目を、そしてミスで3点目、4点目と立て続けに献上しました。
 
3失点まででしたら、まだ勝負はわかりませんでした。
 
 
 
米国は4点目を取った時点で、プラン通り日本にボールを持たせてカウンターとセットプレイ狙いに切り替えます。
 
日本が2点返したのは、時間帯から言ってお情けではなかったと思います。
 
だからこそ、浮足立って自滅したことが悔やまれるのです。
 
 
 
面白いことに、今回優勝した米国の平均年齢は参加国中最も高いです。
 
その次がなでしこ。
 
両者とも4年前よりスピードやスタミナは落ちているはずですが、それを経験と危険察知能力でカバーして決勝戦まで来たのです。
 
 
 
勝敗を分けたのは、
  1. 勝利への執念
     
  2. 敵を知り己を知る謙虚さ
     
  3. 戦略を実行するためのあくなき訓練。
 
米国はなでしこ個人個人の弱みまで研究し、良いところを全く出させませんでした。
 
それに対し、なでしこ側にはどこか心に隙がなかったか?
 
今回の敗戦を大きな財産にしてもらいたいところです。
 
 
 
おめでとう、アメリカ。
 
よくやった、なでしこ。
 
 
楽しませてくれてありがとう。
 
(終)
 

2015年7月 5日 (日)

なでしこジャパンの強さを考える (1)強運と努力

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」がW杯決勝に進出しました。

女子サッカーはW杯・五輪・アルガルベぐらいしか見ないのですが、W杯・五輪で3大会連続の決勝進出は見事なものです。
 
そこでなでしこジャパンの強さについて考えてみたいと思います。第一回は「強運と努力」についてです。
 
 
 
なでしこを見ていて思うのは、「ツイてるな」ということです。
 
これは2011年のW杯初優勝から、多くの人が感じているでしょう。
 
相手の強力なシュートがバーやポストに当たって入りません。
 
このまえの準決勝イングランド戦では、至近距離からのヘッドをイングランドの味方がゴール前で方向を変えようとして枠外に出してしまいました。
 
そしてロスタイムに劇的なオウンゴール。
 
まさに「神懸かり」「霊的な守護神大活躍」「何かが憑依している」と表現したくなる強運ぶりです。
 
 
 
しかしそれらがすべて偶然だとは思いません。
 
たとえばイングランド戦の決勝点となったオウンゴールは、あの状況ならしばしばあることです。
 
これはサッカー経験者であれば賛同してくれると思います。
 
 
 
実は、キーパーとディフェンスの間に速いクロスを入れるのは必殺パターンのひとつです。
 
  1. 通常はそれに合わせて味方が走り込み、ちょこんと合わせてゴール
     
  2. あるいはファー(遠いサイド)まで到達させて大外から走り込んだ味方がゴール

    というパターンですが、それに加えて
     
  3. クリアしようとディフェンスが出した足に当たってゴール
という可能性も込みの攻撃なのです。
 
 
 
サッカー選手はあのパターンでオウンゴールしてしまった仲間を責めることはしません。敵が使いたいパスコースとスペースを消しながらクリアしようとすると、どんぴしゃのタイミングでゴールに蹴り込んでしまうことがあるからです。それは足が思うように動かなくなった終盤になるほど確率が高くなります。
 
同じことをサッカー男子日本代表が、奇しくも対イングランドの親善試合で田中マルクス闘莉王と中澤佑二の両選手でやっています。このときは日本が3得点(?)をしましたがそのうち2つはオウンゴールで、1-2で負けたという珍しいゲームです。
 
動画を見たい方は「イングランド戦 日本の3得点」あたりで検索してください。見事なダイビングヘッドとニアからの流し込みです。急所となる空間を埋めて思惑通りボールが来て、触ったからこそ生まれるオウンゴールなのです。
 
最も重要なスペースに走り込んでクリアしようとする。その意図と行動は正しいものです。いつもちゃんと仕事をしているから、オウンゴールの回数も多くなるのです。結果として失点することがあっても、長い間には必ずプラスになる守備なのです。
 
 
 
ですから今回のイングランド女子選手がヘマをしたとは思いません。
 
あれは川澄選手のクロスが、そういった可能性を含んだ攻撃だったからです。
 
ただ本人が泣きたくなる気持ちもわかります。
 
「ごくたまにあることだけど、なんでこんなときに出ちゃうのよ」
 
と思ったことでしょう。
 
 
 
私としては、あのゴールはオウンではなく川澄選手の得点にしたほうが良いと思います。
 
でないとまるで、あの選手が余計なこと・悪いことをしたかのように思う人がいるからです。
 
バックパスをゴールの枠に向けて蹴ってしまったり、キーパーが投げようとしてゴールに入ってしまったようなものはオウンゴールとして構いません。
 
しかしこちらが出したボールが相手に当たって入った場合は、蹴った人の得点と認めたほうがみんなハッピーではないでしょうか。
 
 
 
 
 
話を「強運と努力」に戻します。
 
2011年にW杯で優勝した時は「神懸かりだな」と思っていました。
 
しかしその後の試合を見るにつれ、「これは努力が運を引き寄せてるんだな」と思うようになりました。
 
 
 
なでしこは、とにかく勝つことしか考えていません。
 
負けるとサッカーができなくなる、女子サッカーが消えてしまうという危機感で浮かれたところがありません。
 
「今回は組み合わせが良かった」という人もいますが、仮に厳しい組み合わせでも2012年五輪のように2位抜けで有利なところに移ったでしょう。
 
 
 
そしてグループリーグでは全員を出場させ、休ませながら調子を見ます。モチベーションと一体感も高まります。
 
さほど強くない相手でも点を取り過ぎることもなく、消耗を防ぎながら着実に勝ち点を稼ぎます。
 
 
 
そして試合中はだれもサボりません。
 
女子の場合は抜いたりパスが通ってからシュートまで時間があることが多いので、一生懸命に戻れば何とかなったりするものです。
 
同点やビハインドで時間が過ぎても、焦ったりやけになることはありません。
 
じっくりとチャンスを待っているうちに相手が自滅したりするのです。
 
 
 
これはまるで、サッカー強豪国の考え方・戦い方です。
 
身体能力で後れをとっていても、戦略とメンタルではすでに強豪の域に達していると言えるでしょう。
 
強運であるように見えても、それはあらゆる努力の末に引き寄せたものであるということです。
 
ということで私はアメリカとの決勝戦を五分五分と見ています。
 
(続く)
 

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