新刊出来!

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

Google Analytics

  • トラッキングコード

« 対中政策50年ぶりの大転換 (3)激化する「戦時における情報戦」 | トップページ | 対中政策50年ぶりの大転換 (5)統一戦線工作は中国の古典そのまま »

2018年10月28日 (日)

対中政策50年ぶりの大転換 (4)「China 2049」で知る対中援助の裏事情

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』

第86号 対中政策50年ぶりの大転換 (4)「China 2049」で知る対中援助の裏事情

不定期発行
                        Presented by Wild Investors
                        安間 伸 
                        Shin Amma, CFA
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

マイケル・ピルズベリー著「China 2049」は必読です。

過去50年の米中関係そして国際情勢を確認することができます。

日本側から見たものとはまた違った風景であり、別の視点から「事件」の答え合わせをするドラマのようです。

このメルマガやブログを読んでいる人にとっては既知のことも多いでしょうが、それだけに意外な事実を知ったときは驚愕します。

-------------------------------------------------------
「China 2049」
マイケル・ピルズベリー著
https://amzn.to/2IHWYwf

-------------------------------------------------------


ピルズベリー氏の何がすごいかというと、まず

「かつて自分はバリバリ親中派で、米国の利益になると思って中国を大国にするために何十年も働きました」

「しかし中国が発展成長すれば米国の良きパートナーになるという前提そのものが間違っていました」

と認めている点です。

そして「俺は長いこと騙されていたから、これから気を付けようぜ」と呼びかけています。

そこには米国に対する忠誠心や、自分の間違いを認める潔さがあります。

なかなかできることではありません。


この本を読むと、中国に対して米国が大規模な援助を続けたことがわかります。

「プレゼント」と表現された援助の中には、たとえば技術協力・情報提供・軍事行動の黙認などが含まれます。

WTOへの加盟、最恵国待遇などの恩恵も与えました。

米国の省庁・世界銀行なども次々に助言を行い、中国を大きくする手助けをしました。

これらの援助は秘密裏に行われたものも多く、私が知らなかったことも数多く書いてありました。

「そんなことまでしていたのか!」と驚きの連続です。

なるほど、米国がこれぐらい徹底して支援すれば成長するわけだと思います。


私が知らなかったことのうち、特に驚いたのは以下のようなことでした。

=======================================
「世界の覇権を握る」という中国の野望にソ連は早くから気付いており、1960年代からその危険性を米国に警告していた。

しかし米国側はそれを無視し、中国への大規模な支援を何十年も続けた。
=======================================

さすがロシア。相手の意図を的確に見抜いて、敵味方を間違えることがありません。

日本とは国益が衝突することが多い国ですが、諜報・謀略を得意とするだけはあると思います。

(まあ、経済では全く相手にならないという理由もあるのですがね)

しかし米国側はその「助言」を信用せず、中国を援助する道を選びました。

その結果、ソ連は1991年に崩壊。

中国は世界第二位の経済大国へと飛躍。

敵である米国の力を利用して、中国は歴史的な天敵である北方異民族を屈服させることができました。

背後の脅威がなくなったため、1990年代から海洋への軍事進出が加速しました。


=======================================
ニクソンが中国を訪れたのではなく、中国がニクソンのところにやってきた。
=======================================

1972年の米中国交回復は、1969年あたりから中国が裏で強く働きかけた結果ということです。

私も「中国と利害が一致したのだろうな」とは思っていたのですが、ニクソンは「最初そんなつもりは全くなかった」と知って驚きました。

ソ連との緊張を緩和する気マンマンだったのに、いつの間にかソ連を包囲するために中国に援助しまくるようになったとのこと。

「何を言っているのか わからねーと思うが、おれも 何をされたのか わからなかった」ポルナレフ状態ということです。

しかし実はこれ、心理学でよく知られた手口なのです。

相手に働きかけて小さな(しかし公式な)行動を起こさせることによって、相手は「それを自分自身が望んでやっている」と錯覚します。

そして周囲もそのように見なします。

するとそこから要求を徐々にエスカレートさせても、相手はそれを次々に受け入れてしまうのです。

なぜなら「自分から喜んでそれをやっている」と思い込んでいますし、「これまでの奉仕を無駄にしたくない」という心理が働くからです。

だから中国は、日本の要人を自国に「招待」します。

しかし自分から日本に来ることはありません。

これは上下関係を世界に見せつけると同時に、「自分から望んで中国に参上するのだ」と日本の要人たちの深層心理に刷り込む効果があります。


=======================================
ビル・クリントン大統領は1993年の就任当初、対中強硬派だった。

しかし側近たちの意見の相違に中国側がつけこみ、財界人からも利益を示すアプローチを続けた。

そして1993年末に「クリントン・クーデター」と呼ばれる反中姿勢の緩和にこぎつけ、彼は「中国の友人」と呼ばれるようになった。
=======================================

これも驚きでした。

我々の目から見ると、クリントンは徹頭徹尾の親中反日。

「ずぶずぶの中華献金まみれ」というイメージがあります。

---------------------------------------
- 天安門事件を許し、
- チベット・東トルキスタン弾圧を許し、
- フィリピンから軍を撤退して中国にスプラトリー諸島侵攻のチャンスを提供
- 中国が台湾の選挙に圧力をかけることを黙認
- WTOに加盟させ、
- 同盟国の日本を潰そうと通商問題で執拗に圧力をかける
---------------------------------------

そんなクリントンも最初は対中強硬派だったというのです。

そんな人物を「改心」させたことは、中国にとって自慢なのでしょう。




ピルズベリー氏が中国に対して「おかしい」と感じたのは、2006年ぐらいからだそうです。

そこから10年、この本を書くまでにかかっているわけです。

さらに3年以上かかって、「中国に騙されていた!」が米国のコンセンサスとなりつつあります。

なぜならトランプ政権から次々に対中強硬派が追い出された後にもかかわらず、態度が厳しくなるばかりだからです。

超党派で中国の不公正貿易・少数民族弾圧・臓器移植疑惑を非難する会合が開かれています。

親中反日で有名な米民主党ですら、盛大に手のひら返しをしています。

もはや米国は挙国戦時態勢なのです。


ピルズベリー氏は

「中国の戦略は春秋戦国時代(B.C.8世紀からB.C.3世紀)の教えに沿っている。その真意を理解するのに苦労した」

とも書いています。

西洋人だとそうかもしれません。

むしろ日本人のほうが、彼らの戦略や思考回路をすんなり理解できるでしょう(共感するかは別ですが)。


というのも日本人は幼い頃から、中国の故事成語・ことわざ・古典に慣れ親しんでいるからです。

そこから教訓を得て人生やビジネスに生かすための本が数多く出版され、根強い人気ジャンルになっています。

彼らが各国に仕掛けている統一戦線工作は、そのまんま「史記」であり「孫子の兵法」であり「六韜」です。

彼らの「他人を支配し権力を握る戦略」は、実に2000年以上も前から変わっていないのです。


-------------------------------------------------------
「China 2049」
マイケル・ピルズベリー著
https://amzn.to/2IHWYwf

 

 

-------------------------------------------------------

(続く)




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』
発行責任者    安間 伸
バックナンバー   http://archive.mag2.com/0000148012/index.html
公式サイト     http://www.wildinvestors.com/
メールアドレス   mailto:info@wildinvestors.com
登録・解除     http://www.mag2.com/m/0000148012.htm

Copyright (c) Shin Amma. All rights reserved. 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

« 対中政策50年ぶりの大転換 (3)激化する「戦時における情報戦」 | トップページ | 対中政策50年ぶりの大転換 (5)統一戦線工作は中国の古典そのまま »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1852/74488658

この記事へのトラックバック一覧です: 対中政策50年ぶりの大転換 (4)「China 2049」で知る対中援助の裏事情:

« 対中政策50年ぶりの大転換 (3)激化する「戦時における情報戦」 | トップページ | 対中政策50年ぶりの大転換 (5)統一戦線工作は中国の古典そのまま »

フォト
無料ブログはココログ

スポンサードリンク