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2019年3月27日 (水)

全体主義ウイルスに冒される日本 (2)えっ!「永久にお蔵入り」じゃないの?

 

前回記事は小ネタとして終わらせるつもりだったのですが、そのあと知ったことや考えたことについて書きます。

きっかけはある市民団体が、作品自粛を撤回するようNHKや松竹など5社に要望を提出したというニュースです。「自粛しろ!」ではなく「自粛するな!」という要望なので、私も最初は混乱しました。

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瀧容疑者出演作の自粛撤回を要望 市民団体、NHKや松竹などに
2019/3/26 19:12 共同通信社
https://this.kiji.is/483216560272704609
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ギャンブルや薬物への依存症問題に取り組む市民団体が26日、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者(51)について、出演作の公開中止や販売自粛をやめるよう求める文書を、NHKや松竹など計5社に提出したと発表した。

市民団体は「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」。要望書は、相次ぐ自粛の動きを「あまりにも厳しすぎる制裁」と批判。これらが繰り返し報道されることで「薬物使用が発覚したら社会的に抹殺されるという恐怖感があおられ、相談につながる勇気を阻害する」と訴えている。
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この市民団体の主張は、よくわかりません。

なぜピエール瀧さんだけ限定で、麻薬で逮捕された他の人に対して同じ援護をしないのですか。

「薬物使用が発覚したら社会的に抹殺」って、その抑止力を狙った刑罰なんですけど。

「相談につながる勇気を阻害する」って、中毒者はバレるまで相談なんかしませんって。

「自粛はやめるべき」という結論こそ私と同じですが、理由やロジックがよくわからないので賛成できないのです。

 

案の定、掲示板では意見が分かれて荒れています。

しかしそこから新たに知ったこともあるので、いろいろ考えてみました。

まず、私の意見から整理してみます。

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  1. 麻薬犯罪の当事者に対してはさらに厳しく取り締まるべき。日本は罰則が緩く、特に芸能人に対して業界が甘すぎると考える。

  2. 一方で、芸術作品や言論に対してはおおらかな社会であって欲しい。

  3. したがって、関連した作品を「永久にお蔵入り」させることには反対。関係した人々に無限連帯責任を負わせると創作意欲を失うし、社会コストが膨大になるから。

  4. 「どの作品を」「どの期間」「いつまで自粛するのか」の線引きが難しい。出版社や新聞社の人が麻薬で検挙されたからといって、雑誌・本・新聞が出版差し止めになったという話は聞いたことがない。ずいぶん不公正で場当たり的だと感じる。

  5. ある人物を最初から「いなかったことにする」などと、全体主義的な扱いを許すべきではない。功罪含めて足跡を残し、そこから何を感じるかは後世の人々に任せたい。

  6. 仮にその作品を目や耳にすることで苦痛に感じる人がいるのなら、裁判に訴えてそれを差し止める権利は当然ある。

  7. 作品と人格は別」としておけば、社会的影響など考えずにガンガン検挙することができる

  8. 表の世界では発表できない作品が増えると、裏社会や転売屋の収益源になってしまう

  9. 日本のエンタメ業界や特定の作品潰しに利用できそうで、マイナスが大きい。日本の作品を「勝手に自粛」させておいて、代わりに放送される外国作品では犯罪者が出まくりだったりして。外国作品の出演者まですべてチェックしきれませんって。

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 ちなみに週刊文春がアンケートを採った結果、約65%の人が「お蔵入りに反対」としています。私のような意見は少数派かと思いましたが、そうでもないのですね。

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「反対:65%」ピエール瀧逮捕で考える「お蔵入り」問題 アンケート結果発表
2019/03/19「週刊文春」編集部
https://bunshun.jp/articles/-/11107
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3月12日、ミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者(51)が、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことを受け、出演作品が次々と“お蔵入り”状態になりつつある。

 そこで、小誌メルマガ会員対象に緊急アンケートを実施。逮捕俳優作品の“お蔵入り”対応の是非を問うた。3月14日~18日の5日間限定のアンケートだったが、1000超の回答が寄せられた。
アンケートの結果は下記の通り。回答者は6割が男性、4割が女性で、下は16歳から上は90歳まで。全体の6割以上が「お蔵入り反対」だった。特筆すべきは、「お蔵入り賛成」に男性の20%超が投票したこと。「お蔵入り賛成」の女性票は12%にとどまった。(略)

【全投票の分布】
反対:703票(65%、男性:406票 女性:297票)
賛成:189票(17%、男性:133票 女性:56票)
どちらとも言えない:192票(18%、男性:100票 女性:92票)
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しかし掲示板などの書き込みを見ると「犯罪者は歴史から抹殺」「作品は永久にお蔵入り」と強硬に主張する人が目立ちます。その理由はほとんど感情的なもので、社会コストや日本のエンタメ業界のことなど考えていないように思えます。不寛容な人々の声が大きくなり、寛容な人々の意見が通りにくくなっているのかもしれません。

その中でもちらほらと、参考になる書き込みがありました。

 

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カバー曲は自粛されていない。本人の出演がNGで、作品は別と考えられているから。
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ほう、そのような線引きがあるのですか。これは勉強になりました。

 

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一時的に自粛するのは企業が身を守るためと、作品を「永久にお蔵入り」させないため。
執行猶予や刑期満了で再販されるようになるから、静かに待っていろよ。
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えっ!
自粛ってそのうち解けるものなんですか?

確かに「自粛」ですから、「禁止」とは違いますけどね。

ということは回収された作品も、そのうち市場に出回るってこと?

作品リストの「期日管理」をしながら、ひっそりと解禁日を準備している人がどこかに居るということですか?

確かに「いよいよ解禁!あの禁断の作品が!」と宣伝するわけにも行かないことも理解できますけどね。

しかし忘れた頃にひっそりと解禁されているのだとすれば、同情する気持ちが急速に薄れて来ました(笑)。

 

「作品自粛は執行猶予判決や刑期満了をもって解禁となる」

この基準が本当に適用されているのかどうか、自分にはわかりません。

ドラマや映画を見ないしタレントも知らないので、過去の事例の積み重ねがないからです。

検索しても手がかりが得られないのは、自粛ルールが「個別対応の不文律」だからでしょうか。

 

もし自粛が「一時的かつ『本当に』自発的」なものであれば、私としてはそれに反対する理由が薄くなってしまいますね。

できれば『当面は自粛』と表現して解禁の条件や期日まで示してくれたら、余計な心配をせずに済むのですが。

一方で条件や期日を明らかにしてまうと、うるさい人々が湧いてきて「ひっそり解禁」すらできなくなることも容易に想像できます。

「犯罪者は歴史から抹殺」「作品は永久にお蔵入り」と主張して暴れ出すことでしょう。

そのような不寛容な人々に絡まれないよう、あえて「あいまい戦略」を採用しているのかもしれません。

 

繰り返しになりますが、私は麻薬犯罪に対してはさらに厳しく取り締まって欲しいと考えます。

現状は日本の国自体が甘すぎで、その中でも芸能界は大甘だと感じています。

しかし一方で、芸術作品や言論に対してはおおらかな世の中であって欲しいと願っています。

それが自由主義の国で生まれた喜びのひとつであり、豊かさの土台を支えていると考えるからです。

(終)

 

 

2019年3月24日 (日)

全体主義ウイルスに冒される日本 (1)芸能人不祥事と作品自粛

 
今回は国際情勢と関係なさそうで、実は大いに関係のある話。

最近は芸能人の不祥事があると、その人に関連した楽曲・ドラマ映画・ゲーム等の発表を自粛する雰囲気があります。しかしこれは全体主義的で、自由な国がやることではないと感じます。韓国が冒されたものと同じ全体主義ウイルスが、日本のあちこちに広がっているようです。
  
ピエール瀧氏がコカイン使用で逮捕されたことで、波紋が広がっています。たとえば関連した音楽を止めるとか、映画の発表を中止するとか、ドラマを撮り直すとかです。そのために生じた損害賠償が巨額になるとも言われています。昔はこんなことなかったと思うのですが、騒動が年々大きくなってゆくような気がしています。
 
出演者のひとりでも後で罪を犯せば作品自体が「なかったこと」にされるのであれば、音楽・映画産業は大きな打撃を受けるでしょう。
その損失をアーティストに被せても到底払えるものではありませんし、リターン/リスクを考えるならアーティストやタレントにならない方が良いということになります。自分がしっかりしていても、チョイ役が何かしただけでそれまでの苦労や投資が水の泡になるからです。
 
全体主義国家では、ある人物が失脚すると昔の写真や名簿から「削除」されます。
それまでの功績はおろか、存在そのものが「なかったこと」にされるのです。
ある人物が逮捕されただけで関連する作品を自粛させることは、まるっきり全体主義者のやり方です。
それが日本の芸能界にも広がっているような気がするのです。
 
自粛することが普通になれば、「どこまで、いつまでやるのか」という線引きが難しくなります。
役を与えられていない通行人でも、顔がはっきりわかるように出ていればアウトなのか。
監督やディレクターやスタッフが不祥事を起こした場合はどうなのか。出演者でなければOKとするのであれば、そのような差を設ける根拠は何なのか。
自粛期間は10年ぐらいなのか。それとも永久にお蔵入りなのか。それらのことはいったい誰が責任を持って決めるのか。
 
これらのことは全て、
考えるだけ無駄
と思います。

 

過去の作品を消したり、変えたり、また復活させるような無駄な仕事は誰にもやらせるべきではありません。
芸術作品を生み出す人々に「無限連帯責任」を負わせるようになれば、誰も作品を発表しなくなるでしょう。
彼らが後々のことを心配しなくても済むように、「作品と人格は別」という原則を打ち立てるべきだと思います。
 
その作品を不快に思う人がいたとしても、それは個人の感想に過ぎません。
もちろん被害者がどうしても不快だというのであれば、裁判を起こして発表を差し止める権利はあります。
しかし原則として、「タレントや関係者の不祥事が起きても、作品の発表自粛や販売停止はしない」とすべきなのです。
 
謎ルールを増やして前向きな仕事をさせないのは、全体主義者が喜ぶシステムです。
サイコパス的な支配者は意味のないルールを作って人々の忠誠心を試し、みなが混乱する様子を楽しみます。
日本もその方向に着々と向かっています。
 
最近驚いたのは「訪問先で出されたお茶は飲んではいけない」というビジネス謎ルールですね。いまだかつて聞いたことがありませんでした。だったらもうお茶なんか出さなくていいんじゃないでしょうか。
 
「どうでもいいじゃないか」「他にやることないのかよ」と思うようなルールが次々に設定されています。
日本のあらゆる組織に、ヒマで意地悪な文句タレがはびこっているような気がしています。韓国のことを笑ってはいられません。
 
(終)

 

 

 

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