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2019年7月 5日 (金)

冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

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メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』
 
第93号 冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

不定期発行
                        Presented by Wild Investors
                        安間 伸 
                        Shin Amma, CFA
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この文章は会員さん向けメール

投資戦略アップデート(20190702)[特別] 米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

の公共性が高いと判断し、加筆修正のうえ公開するものです。

 

ただいま07月02日 11:36です。

 


韓国に対する実質的な制裁措置に関し、私自身が浅く考えていたかもしれないので再考のうえ報告します。

日本政府は韓国への輸出管理を見直し、フッ素化合物等の輸出を厳しくすると発表しました。

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半導体材料の対韓輸出を規制 政府 徴用工問題に対抗 来月4日から
産経新聞 2019.6.30 10:44
https://www.sankei.com/politics/news/190630/plt1906300004-n1.html
-------------------------------------------
政府は、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目の輸出規制を7月4日から強化する。いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置。発動されれば、韓国経済に悪影響が生じる可能性がある。7月1日に発表する。

 政府は同時に、先端材料などの輸出について、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する。7月1日から約1カ月間、パブリックコメントを実施し、8月1日をめどに運用を始める。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づける。ホワイト国は安全保障上日本が友好国と認める米国や英国など計27カ国あり、韓国は平成16年に指定された。(略)
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これらの素材は日本が世界シェアの9割を占め、韓国の産業に大きな打撃を与えると言われています。

ただし何か月も前から噂はあったので、日本政府やお役所が「ついにキレて」実質的な制裁に踏み切ったのだと私は思っていました。

理由を挙げ始めたらここ数年だけでもキリがありません。

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- 慰安婦合意を一方的に反故に
- 徴用工判決で日本企業資産を差し押さえ
- 国際観艦式で海上自衛隊に「他の国にも軍旗を掲げないよう求めた」とうそをついて旭日旗を掲げさせぬよう画策。そのくせ自分は李舜臣旗を掲げた。
- 自衛隊機にレーダー照射して逆ギレ謝罪要求
- 韓国の議長が「本人に直接言われた」と嘘をつき、天皇陛下に謝罪要求
- 海産物WTO逆転判決
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話をしてもわからないようだから、実害があることを認識させるために米国の許可を取って実行に移したのだと考えていました。

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しかしネットに「JAXA(宇宙航空研究開発機構)にいる韓国人研修員も帰国になる」という書き込みがあり、驚いて調べました。

キーワードは記事の第二パラグラフにある「ホワイト国からの除外」。

「ホワイト国」とは外為法に基づく輸出貿易管理令の別表第3の地域のことで、「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」という定義です。

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経済産業省 安全保障貿易管理
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/qanda13.html
-------------------------------------------
大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入している国については、
これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であり、俗称でホワイト国と呼んでいます。

正式には、「輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域」です。
具体的には、(以下抜粋)オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、 大韓民国、ニュージーランド、イギリス、アメリカ(抜粋終わり)の合計27ヶ国です。
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そしてキャッチオール規制とは、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造につながりそうなものは大臣の許可が必要であるという制度らしいです。

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経済産業省 キャッチオール規制
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo03.html
-------------------------------------------
 リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、
大量破壊兵器等※1 の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器※2 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、
又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。(略)

(※3)大量破壊兵器等:
 ・核兵器
 ・軍用の化学製剤
 ・軍用の細菌製剤
 ・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
 ・300km以上運搬することができるロケット
 ・300km以上運搬することができる無人航空機
 ※部分品も含む。

(※4)開発等:
 開発、製造、使用又は貯蔵


(※5)おそれ省令 別表に掲げる行為:
 ・核燃料物質又は核原料物質の開発等
 ・核融合に関する研究
 ・原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
 ・重水の製造
 ・核燃料物質の加工
 ・核燃料物質の再処理
 ・以下の行為であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの、又はこれらの者から委託を受けて行うことが明らかなもの
  a 化学物質の開発又は製造
  b 微生物又は毒素の開発等
  c ロケット又は無人航空機の開発等
  d 宇宙に関する研究
   ※a及びdについては告示で定めるものを除く。
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これらをざっと読んで、次のように解釈しました。

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- 韓国は「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」から外された

- 大量破壊兵器や通常兵器の製造につながりそうな研究や輸出には許可が必要になり、おそらく実質的に弾き出されるということ

- 日本だけでやっても意味がないので、他のホワイト国からも弾かれるだろう

- これは米国を中心としたブルーチームからの破門状ではないか

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この仮説が正しければ各ホワイト国が足並み揃えて韓国を除外しているはずですが、まだそこまでは確認出来ていません。

仮にこれが正しいとしてすると、韓国に関連する企業や人物は先進国の先端技術から一斉に弾き出されることになります。

宇宙開発・ドローン・核技術・化学・バイオなどすべてにおいてです。

たとえば日本の大学や企業でこれら技術の研究している人物も、韓国籍であれば許可が必要になるはず。

そして許可が下りることはほとんどないと考えて良いでしょう。

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するとこれは「日本主導の制裁」ではなく、「米国陣営からの破門状」と考えるべきかもしれません。

「日本が徴用工判決に対抗」という小さな話ではなく、「米国が韓国を安全保障の枠組みから外した」という大きな意思決定なのです。

韓国が瀬取りや経済支援の形で北朝鮮を支援していることは、国連でも問題視されていました。

そして北朝鮮から中東へ、核ミサイルの技術や物資が流れているという噂もあります。

それらはもともと韓国が提供しているという疑いが強まり、ひょっとしたら決定的な証拠を掴まれたのかもしれません。

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日本の感覚だと、ある国籍の人々を企業や学校から一気に排除する事態は想像しにくいかもしれません。

しかしこの動きの本尊が米国であれば、否応なく従わなくてはなりません。

従わなければ「お前もレッドチームか」ということになり、会社や国ごと排除されるからです。

米国では中国からの留学生や労働者の排除が進んでいるようですが、それに習った動きになると考えます。

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米国政府も日本政府も、単なる脅しでホワイト国から外したわけではないと思います。

さんざん対話して熟慮を重ねた上で、血を流して守ってきた韓国を「切り離した」のです。

いまさら韓国が謝っても、元に戻れるものではないような気がしています。

実のところ、私もまだ実感が湧きません。

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マスメディアは「韓国切り捨て」の事実に気付いても、全力で隠そうとするでしょう。

米国が中国共産党政権を倒そうとしているのに、「貿易問題」にすり替えているのと同じです。

しかしこの動きはいずれ在韓米軍撤退などの、わかりやすい動きへとつながって行くでしょう。

資産価格もそれを織り込み始めるという前提で投資戦略を考えます。

 


(続く)

 

 

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冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風

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第92号 冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風

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間が空いてしまいましたが、動きが加速して来たので再開します。


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「グローバリゼーションが行き過ぎて、反動でブロック化する」

これは歴史上、初めての現象ではありません。

たとえば第一次世界大戦後にもグローバリゼーションが急速に進みました。

米国の景気は絶好調で、株価は際限なく上昇を続けました。

しかしその反動で生まれたのが大恐慌であり、ブロック経済であり、ファシズムです。

当時の供給過剰とデフレ圧力は、米国のニューディール政策でも止めることができませんでした。

計画経済を進めたソ連が輝いて見え、共産主義シンパが急増しました。

この流れは、第二次世界大戦へとつながって行きます。

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戦後しばらくして始まった東西冷戦。

これも形を変えたブロック経済と言えるでしょう。

米ソがお互いに核を持っていたため、直接戦火を交えることはありませんでした。

その代わり、各地で代理戦争や政府転覆工作が繰り返し行われました。

結果は、ココムなどで東側を経済的に封じ込めた西側の完勝。

東側諸国は国家破綻や分裂の憂き目に会いました。

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冷戦崩壊によって、西と東を分断していた「経済国境」が消滅しました。

東側にいた人々が西側へと移動し始め、情報技術の飛躍もあって、グローバリゼーションが加速しました。

ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に動き、グローバル企業が大きな利益を得ました。

調達先と販売先の選択肢が増えたことで、より有利な条件でグローバルに活動することができるようになったからです。

それによって先進国でも新興国でも、経済的な恩恵を受ける人が増えたことは間違ありません。

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しかしそれは、一部の「上級国民」に限られていました。

先進国で中流以下の国民は給料を削られながら新興国民と競争を続けなければなりませんでした。

それが行き過ぎて、国民のストレスが耐えられないほど高まってしまったのです。

グローバリストは「犯罪が増えても移民を受け入れろ」と圧力をかけます。

自国民の職が奪われても「自己責任だ」で切り捨てます。

自分たちの生活を守ろうとすると、右翼だの差別主義者だのと攻撃されます。

その反動で生まれたのが「トランプ大統領」であり、「英国EU離脱」です。

人々が声を上げ始め、それに共感する政治家が増えたことで、世界は急速に「ブロック化」しはじめたのです。

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これによって世界は、「政治的に」ブルーチームとレッドチームに分けられつつあります。

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ブルーチーム (米国とその同盟国)

レッドチーム (中国とその同盟国)
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しかし実は、フランスやドイツは「経済的に」米国とは別の経済ブロック(EUブロック)を夢見ています。

中国がそこに接近し、米国ブロックから得られなくなった技術や資金を欲しがるのは当然でしょう。

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現在はそれぞれの国や企業が命運をかけて、自分が所属するブロックを模索しています。

目立つところでは

- 英国はEUから離れて米国ブロックへ(だから嫌がらせされている)。
- 韓国は米国から離れて中国ブロックへ(北朝鮮と一体化)。
- 台湾は選挙により、米国ブロックからやや中国ブロックに傾いた

というのが現在の国際情勢です。

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中国ブロック (中国・ロシア・北朝鮮・韓国・その他) ← in 韓国

米国ブロック (米英日豪NZ台湾) ← in 英    ↑ out 韓国

欧州ブロック (独仏EU) ↑ out 英
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そう考えると、米国ブロックと欧州ブロックにまたがるルノー・日産・三菱自動車の奪い合いが起こるのも当然です。

仕掛けたフランスの背後には中国ブロックがいます。

阻止した日本の背後には米国がいます。

ブロックをまたいだ企業合併や技術移転に対する国家介入は、今後ますます増えることでしょう。

それが歴史の必然なのです。

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ということで、

- 別の経済ブロックで利益のほとんどを上げている企業
- 別の経済ブロックの製品・サービスを利用することで利益を上げてきた企業
- 米英日に上場されているが、実質的に他の経済ブロックに属する企業

に対しては特別な注意が必要です。

国家が強く介入するため、突然大きな市場を失ったり製品・サービス供給を遮断されて競争優位を失う可能性があるです。

ルノー日産しかり。華為(ファーウェイ)技術しかり。

この流れが読めなければ、経済的な損失だけでは済まなくなると思います。

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しかしこれは日本や台湾にとって、強烈な追い風となるでしょう。

中国や韓国に流出していた技術や資金を、米国経済ブロック内で回すことになるからです。

またそれによって、米国経済ブロックの中間層は大復活を遂げると思います。

うまく行けば少子化に歯止めがかかるかもしれません。

日本の高度経済成長は、東西冷戦のさなかに起こりました。

あの夢が再び、戻って来るかもしれないのです。

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しかし気になるのは、安倍首相が中国に接近していること。

尖閣を取られそうになっているのに、G20前の首脳会談で関係改善を誓いました。

習近平氏を国賓として招けば、お返しとして天皇陛下を訪中させようとするでしょう。

六四天安門事件後に中国共産党を救った結果、侵略され脅されている過ちを繰り返そうとしているのです。

 


(続く)

 

 

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