冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国
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第93号 冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国
不定期発行
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安間 伸
Shin Amma, CFA
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この文章は会員さん向けメール
投資戦略アップデート(20190702)[特別] 米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国
の公共性が高いと判断し、加筆修正のうえ公開するものです。
ただいま07月02日 11:36です。
韓国に対する実質的な制裁措置に関し、私自身が浅く考えていたかもしれないので再考のうえ報告します。
日本政府は韓国への輸出管理を見直し、フッ素化合物等の輸出を厳しくすると発表しました。
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半導体材料の対韓輸出を規制 政府 徴用工問題に対抗 来月4日から
産経新聞 2019.6.30 10:44
https://www.sankei.com/politics/news/190630/plt1906300004-n1.html
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政府は、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目の輸出規制を7月4日から強化する。いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置。発動されれば、韓国経済に悪影響が生じる可能性がある。7月1日に発表する。
政府は同時に、先端材料などの輸出について、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する。7月1日から約1カ月間、パブリックコメントを実施し、8月1日をめどに運用を始める。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づける。ホワイト国は安全保障上日本が友好国と認める米国や英国など計27カ国あり、韓国は平成16年に指定された。(略)
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これらの素材は日本が世界シェアの9割を占め、韓国の産業に大きな打撃を与えると言われています。
ただし何か月も前から噂はあったので、日本政府やお役所が「ついにキレて」実質的な制裁に踏み切ったのだと私は思っていました。
理由を挙げ始めたらここ数年だけでもキリがありません。
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- 慰安婦合意を一方的に反故に
- 徴用工判決で日本企業資産を差し押さえ
- 国際観艦式で海上自衛隊に「他の国にも軍旗を掲げないよう求めた」とうそをついて旭日旗を掲げさせぬよう画策。そのくせ自分は李舜臣旗を掲げた。
- 自衛隊機にレーダー照射して逆ギレ謝罪要求
- 韓国の議長が「本人に直接言われた」と嘘をつき、天皇陛下に謝罪要求
- 海産物WTO逆転判決
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話をしてもわからないようだから、実害があることを認識させるために米国の許可を取って実行に移したのだと考えていました。
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しかしネットに「JAXA(宇宙航空研究開発機構)にいる韓国人研修員も帰国になる」という書き込みがあり、驚いて調べました。
キーワードは記事の第二パラグラフにある「ホワイト国からの除外」。
「ホワイト国」とは外為法に基づく輸出貿易管理令の別表第3の地域のことで、「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」という定義です。
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経済産業省 安全保障貿易管理
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/qanda13.html
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大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入している国については、
これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であり、俗称でホワイト国と呼んでいます。
正式には、「輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域」です。
具体的には、(以下抜粋)オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、 大韓民国、ニュージーランド、イギリス、アメリカ(抜粋終わり)の合計27ヶ国です。
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そしてキャッチオール規制とは、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造につながりそうなものは大臣の許可が必要であるという制度らしいです。
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経済産業省 キャッチオール規制
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo03.html
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リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、
大量破壊兵器等※1 の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器※2 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、
又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。(略)
(※3)大量破壊兵器等:
・核兵器
・軍用の化学製剤
・軍用の細菌製剤
・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
・300km以上運搬することができるロケット
・300km以上運搬することができる無人航空機
※部分品も含む。
(※4)開発等:
開発、製造、使用又は貯蔵
(※5)おそれ省令 別表に掲げる行為:
・核燃料物質又は核原料物質の開発等
・核融合に関する研究
・原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
・重水の製造
・核燃料物質の加工
・核燃料物質の再処理
・以下の行為であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの、又はこれらの者から委託を受けて行うことが明らかなもの
a 化学物質の開発又は製造
b 微生物又は毒素の開発等
c ロケット又は無人航空機の開発等
d 宇宙に関する研究
※a及びdについては告示で定めるものを除く。
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これらをざっと読んで、次のように解釈しました。
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- 韓国は「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」から外された
- 大量破壊兵器や通常兵器の製造につながりそうな研究や輸出には許可が必要になり、おそらく実質的に弾き出されるということ
- 日本だけでやっても意味がないので、他のホワイト国からも弾かれるだろう
- これは米国を中心としたブルーチームからの破門状ではないか
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この仮説が正しければ各ホワイト国が足並み揃えて韓国を除外しているはずですが、まだそこまでは確認出来ていません。
仮にこれが正しいとしてすると、韓国に関連する企業や人物は先進国の先端技術から一斉に弾き出されることになります。
宇宙開発・ドローン・核技術・化学・バイオなどすべてにおいてです。
たとえば日本の大学や企業でこれら技術の研究している人物も、韓国籍であれば許可が必要になるはず。
そして許可が下りることはほとんどないと考えて良いでしょう。
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するとこれは「日本主導の制裁」ではなく、「米国陣営からの破門状」と考えるべきかもしれません。
「日本が徴用工判決に対抗」という小さな話ではなく、「米国が韓国を安全保障の枠組みから外した」という大きな意思決定なのです。
韓国が瀬取りや経済支援の形で北朝鮮を支援していることは、国連でも問題視されていました。
そして北朝鮮から中東へ、核ミサイルの技術や物資が流れているという噂もあります。
それらはもともと韓国が提供しているという疑いが強まり、ひょっとしたら決定的な証拠を掴まれたのかもしれません。
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日本の感覚だと、ある国籍の人々を企業や学校から一気に排除する事態は想像しにくいかもしれません。
しかしこの動きの本尊が米国であれば、否応なく従わなくてはなりません。
従わなければ「お前もレッドチームか」ということになり、会社や国ごと排除されるからです。
米国では中国からの留学生や労働者の排除が進んでいるようですが、それに習った動きになると考えます。
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米国政府も日本政府も、単なる脅しでホワイト国から外したわけではないと思います。
さんざん対話して熟慮を重ねた上で、血を流して守ってきた韓国を「切り離した」のです。
いまさら韓国が謝っても、元に戻れるものではないような気がしています。
実のところ、私もまだ実感が湧きません。
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マスメディアは「韓国切り捨て」の事実に気付いても、全力で隠そうとするでしょう。
米国が中国共産党政権を倒そうとしているのに、「貿易問題」にすり替えているのと同じです。
しかしこの動きはいずれ在韓米軍撤退などの、わかりやすい動きへとつながって行くでしょう。
資産価格もそれを織り込み始めるという前提で投資戦略を考えます。
(続く)
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