冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風
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第92号 冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風
不定期発行
Presented by Wild Investors
安間 伸
Shin Amma, CFA
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間が空いてしまいましたが、動きが加速して来たので再開します。
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「グローバリゼーションが行き過ぎて、反動でブロック化する」
これは歴史上、初めての現象ではありません。
たとえば第一次世界大戦後にもグローバリゼーションが急速に進みました。
米国の景気は絶好調で、株価は際限なく上昇を続けました。
しかしその反動で生まれたのが大恐慌であり、ブロック経済であり、ファシズムです。
当時の供給過剰とデフレ圧力は、米国のニューディール政策でも止めることができませんでした。
計画経済を進めたソ連が輝いて見え、共産主義シンパが急増しました。
この流れは、第二次世界大戦へとつながって行きます。
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戦後しばらくして始まった東西冷戦。
これも形を変えたブロック経済と言えるでしょう。
米ソがお互いに核を持っていたため、直接戦火を交えることはありませんでした。
その代わり、各地で代理戦争や政府転覆工作が繰り返し行われました。
結果は、ココムなどで東側を経済的に封じ込めた西側の完勝。
東側諸国は国家破綻や分裂の憂き目に会いました。
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冷戦崩壊によって、西と東を分断していた「経済国境」が消滅しました。
東側にいた人々が西側へと移動し始め、情報技術の飛躍もあって、グローバリゼーションが加速しました。
ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に動き、グローバル企業が大きな利益を得ました。
調達先と販売先の選択肢が増えたことで、より有利な条件でグローバルに活動することができるようになったからです。
それによって先進国でも新興国でも、経済的な恩恵を受ける人が増えたことは間違ありません。
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しかしそれは、一部の「上級国民」に限られていました。
先進国で中流以下の国民は給料を削られながら新興国民と競争を続けなければなりませんでした。
それが行き過ぎて、国民のストレスが耐えられないほど高まってしまったのです。
グローバリストは「犯罪が増えても移民を受け入れろ」と圧力をかけます。
自国民の職が奪われても「自己責任だ」で切り捨てます。
自分たちの生活を守ろうとすると、右翼だの差別主義者だのと攻撃されます。
その反動で生まれたのが「トランプ大統領」であり、「英国EU離脱」です。
人々が声を上げ始め、それに共感する政治家が増えたことで、世界は急速に「ブロック化」しはじめたのです。
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これによって世界は、「政治的に」ブルーチームとレッドチームに分けられつつあります。
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ブルーチーム (米国とその同盟国)
レッドチーム (中国とその同盟国)
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しかし実は、フランスやドイツは「経済的に」米国とは別の経済ブロック(EUブロック)を夢見ています。
中国がそこに接近し、米国ブロックから得られなくなった技術や資金を欲しがるのは当然でしょう。
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現在はそれぞれの国や企業が命運をかけて、自分が所属するブロックを模索しています。
目立つところでは
- 英国はEUから離れて米国ブロックへ(だから嫌がらせされている)。
- 韓国は米国から離れて中国ブロックへ(北朝鮮と一体化)。
- 台湾は選挙により、米国ブロックからやや中国ブロックに傾いた
というのが現在の国際情勢です。
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中国ブロック (中国・ロシア・北朝鮮・韓国・その他) ← in 韓国
米国ブロック (米英日豪NZ台湾) ← in 英 ↑ out 韓国
欧州ブロック (独仏EU) ↑ out 英
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そう考えると、米国ブロックと欧州ブロックにまたがるルノー・日産・三菱自動車の奪い合いが起こるのも当然です。
仕掛けたフランスの背後には中国ブロックがいます。
阻止した日本の背後には米国がいます。
ブロックをまたいだ企業合併や技術移転に対する国家介入は、今後ますます増えることでしょう。
それが歴史の必然なのです。
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ということで、
- 別の経済ブロックで利益のほとんどを上げている企業
- 別の経済ブロックの製品・サービスを利用することで利益を上げてきた企業
- 米英日に上場されているが、実質的に他の経済ブロックに属する企業
に対しては特別な注意が必要です。
国家が強く介入するため、突然大きな市場を失ったり製品・サービス供給を遮断されて競争優位を失う可能性があるです。
ルノー日産しかり。華為(ファーウェイ)技術しかり。
この流れが読めなければ、経済的な損失だけでは済まなくなると思います。
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しかしこれは日本や台湾にとって、強烈な追い風となるでしょう。
中国や韓国に流出していた技術や資金を、米国経済ブロック内で回すことになるからです。
またそれによって、米国経済ブロックの中間層は大復活を遂げると思います。
うまく行けば少子化に歯止めがかかるかもしれません。
日本の高度経済成長は、東西冷戦のさなかに起こりました。
あの夢が再び、戻って来るかもしれないのです。
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しかし気になるのは、安倍首相が中国に接近していること。
尖閣を取られそうになっているのに、G20前の首脳会談で関係改善を誓いました。
習近平氏を国賓として招けば、お返しとして天皇陛下を訪中させようとするでしょう。
六四天安門事件後に中国共産党を救った結果、侵略され脅されている過ちを繰り返そうとしているのです。
(続く)
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