冷戦以来の再ブロック化 (4)米国は「分裂させられる」か「レッドパージするか」の瀬戸際
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第95号 冷戦以来の再ブロック化 (4)米国は「分裂させられる」か「レッドパージするか」の瀬戸際
不定期発行
Presented by Wild Investors
安間 伸
Shin Amma, CFA
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約1年ぶりの更新になってしまいました。
しかしタイトルの「再ブロック化」はさらに加速しているため、このテーマで続けます。
昨2019年後半や今年前半には様々な事件が起きました。
それらの底流には「米中対立と再ブロック化」があり、それが表面化したにすぎません。
「米中合意第一段階」
「新型コロナウイルスに関する米中対立」
「反差別を口実にした全米暴動」
も、結局は同じコンテクストの上にあるエピソードに過ぎないのです。
書きたいことは多々ありますが、まずは中国共産党政府の長期戦略についておさらいします。
これは中華人民共和国とソ連が対立して以来、少なくとも50年以上も続けられている戦略です。
それが理解できるとこれまでの国際情勢や、いま米国をはじめ各国で起きていることのつながりが理解できます。
中国の国家目標:
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米国から覇権を奪取し世界を支配する
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基本戦略:
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1. 米国をはじめ先進国から技術・資金・ノウハウを援助してもらって近代化する
2. 潜在敵国同士や敵の同盟国同士を争わせ、その間に国力増強や領土拡張に励む
3. 先進国内部の争いを煽り、国家機能を破壊して経済的・軍事的に没落させる
4. その際は「言論の自由」「人権」「環境」「地方自治」「選挙」「移動の自由」など、先進国のインフラや価値観を利用する
5. 各国のマスメディア・リベラル団体・企業・研究所・学校などに入り込んだ協力者や同胞に協力させる(国家動員法)
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戦術:米国とその同盟国の内部攪乱
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- ポリコレ文化大革命
- 警察や諜報組織を無力化させ、治安維持能力を破壊
- 伝統的価値観の破壊。新しい価値観の刷り込み。
- あらゆる組織を機能不全に陥らせ、階級・地域・遵守などの対立を煽る
- 都合の悪い指導者を引きずり降ろす。「トランプ降ろし」「安倍降ろし」
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これらにより今、米国で起こっている現象:
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- 反差別に名を借りた全米暴動・略奪・放火
- シアトル市キャピトルヒル自治区(CHAZ)設立
- ミネアポリス市議会、警察の解体を決議
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ここから先、考えられる展開:
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メインシナリオ:ポリコレ文化大革命で自称リベラルとマスメディアの信用失墜
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- 何をやっても正当化してもらえるためリベラル団体・ポリコレ勢力が暴走
- 言論弾圧・文化破壊・業務妨害などを重ねる
- それを見て見ぬふりの自称人権団体やリベラル政党への不信高まる
- 事実を報道せず歪曲・捏造を繰り返すマスメディアへの不信も高まる
- 隠れトランプ派の増殖
- 焦ったマスメディア・自称リベラル・ポリコレ勢力がさらに無茶を重ね、ますます信用を失う
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- 日本はすでにこの段階をほぼ終えている
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サブシナリオ:米国分裂、西海岸独立へ
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- 中国が北米西海岸の「切り取り」に成功
- 太平洋は中国の「内海」と化す
- 米国は「中東の石油に対するアクセス」と「イスラエル支援ルート」を失って超大国から普通の大国へ後退
- 香港はもちろん、台湾・日本・豪州・NZなどは存亡の危機
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米国は内部に入り込んだ全体主義者が暴れ回り、国家分裂のピンチ。
しかしこれはチャンスでもあります。
なぜならば「西海岸の独立」と「太平洋の内海化」は、もっと静かに自然な形で行われる予定だったからです。
彼らが好き放題に暴れることで、何を狙って工作が行われているのか気付く人も増えるでしょう。
そして自前の諜報組織と軍事力を持つ米国のことですから、自国防衛のためにレッドバージを始めるかもしれません。
今のトランプ政権は、そのような中国の戦略に気付いています。
少なくとも中国共産党政権を倒すところまではやるつもり。
5月にホワイトハウスが発表した「米国の中国に対する戦略的アプローチ」には、明確に「力で平和を守る」と書いてあります。
これは「世界の警察をやめる」と言い出した民主党オバマ政権から180度の大転換です。
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米国の中国に対する戦略的アプローチ
United States Strategic Approach to the People’s Republic of China
2020年5月26日
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(1) 米国民と国土、生き方を守る
(2) 米国の繁栄を推進する
(3) 力で平和を守る
(4) 米国の影響力を広める
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これらの動きが加速するのに対し、米国民はまだ「何かおかしいな」と思い始めた程度。
「平和的デモ隊を批判するのはタブー」という同調圧力に逆らえないでいます。
しかしその本性を知ったり、実害を被った人々は隠れトランプ派に回ります。
決して自称リベラルやポリコレ勢力の味方に戻ることはありません。
その意味では、日本国民のほとんどが中国のやり方を見破っています。
今回の暴動・略奪・放火のとき掲示板では
「裏で中国が煽ってるね」
「きっかけは香港安全法だし、六四天安門記念日も近いから」
「昔から同じ手口じゃん」
「日本でも反人種差別デモやってるな。黒幕が見透かされてて盛り上がらないけど」
などと書き込まれていました。
この10年ほどで、ネットの情報リテラシーはさらに上がったと感じています。
しかし「力で平和を守る」ことを否定した日本政府は、レッドパージを行うことができません。
政財界やマスメディアはもちろん、企業・研究機関・学校などにびっしり入り込まれているようです。
脱中国に歩み始めた安倍政権でさえ、尖閣に毎日ちょっかいを出されながら習近平氏を国賓として呼ぼうとしています。
日本の保守派から見れば、おそらく安倍首相よりもトランプ大統領のほうが人気が高いでしょう。
米国は「分裂させられる」か「レッドパージするか」、自力で運命を選べる瀬戸際。
それに対し日本は「このまま乗っ取られるか」「米国が危機を乗り越えて延命させてもらえるか」他力本願の瀬戸際です。
自民党の親中路線に不満な「ガチ保守派」は別の選択肢を探し続けていますが、その輪はなかなか広がらないようです。
(続く)
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