『それを教えちゃマズイだろ!』第108号 ウクライナ侵攻は終戦近し。再ブロック化さらに加速でインフレ続く
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メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』
第108号 ウクライナ侵攻は終戦近し。再ブロック化さらに加速でインフレ続く
不定期発行
Presented by Wild Investors
安間 伸
Shin Amma, CFA
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目次
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1. もはやロシアに継戦能力はない
2. ロシアは技術革新と情報化に遅れ、ソ連と同じパターンで敗退した
3. 米国は「中国は潜在敵国」と認識している分だけ進歩している
4. 「再ブロック化」には痛みが伴い、今のインフレもその一部
5. 「ロシアゲートでっちあげ疑惑」「ハンター・ラップトップPC」はそれぞれ本物でどうする米民主党
6. バイデン氏の支持率上がらず、トランプ氏が完全に上回る
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1. もはやロシアに継戦能力はない
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2月24日にロシアがウクライナを侵略し始めたとき私は驚き、困惑しました。
すんなりロシアが勝てば、核保有国による侵略を許すことになります。
さりとてロシアが負けて弱体化すれば中国がロシアを取り込み、シベリアを支配するようになるでしょう。
どちらに転んでもパワーバランスが崩れ、日本にとって嬉しくない結末になりそうな予感がしたのです。
そのことは投資ブログや動画で解説しました。
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2022年03月03日01:16
セミナー動画「ロシアの危険な侵略と利益を得る中国 大きく崩れるパワーバランス」20220302
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51280624.html
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「ロシアのウクライナ侵略により、パワーバランスは大きく崩れる」
「ロシアが弱ると中国はシベリアを得て、日本は三方向から包囲される」
「核戦争のリスクもあるので、ロシアを追い詰めるのもほどほどに」
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しかし開戦から1か月以上が経ったいま、私は「終戦近し」と考えています。
1979年アフガン侵攻のような「泥沼化」の可能性も低いです。
というのも「もはやロシアに継戦能力はない」と私は考えているからです。
これまでの戦いでロシアは航空優勢を確保することもできず、高価な長距離精密誘導弾を使い始めました。
それ以外の通常兵器では、優位を保てないということです。
逆にウクライナには、西側諸国から武器や食料が無限に補給されます。
もはやロシアが「戦闘で勝つ」には化学・生物・核などの大量破壊兵器しかありません。
そしてそれらを全て使ったところで「戦争に勝つ」ことは、もはや無理だと私は思います。
3月29日に行われた4回目の停戦交渉では、ロシア側がウクライナの首都キーフ(キエフ)の軍事作戦縮小を表明しました。
ロシアは「首都キーフ方面への侵攻はおとりで、最初から東部が目的だった」と主張。
「キーフ攻略に失敗した」という米国の分析を否定しました。
確かにキエフへの侵攻は「脅し」で、本当に欲しいのはクリミアへ続く黒海沿岸部だったと思います。
しかしそれは結果としてそうなっただけであり、始めたときは首都キーフを数日で陥落させるつもりだったはず。
そうでなければキーフ方面で60km以上の渋滞を起こしたりはしなかったでしょう。
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露国防省「キエフ方面はおとり」 米国の「失敗」分析を否定
2022/3/31 03:24
https://www.sankei.com/article/20220331-PRTLWDCG2VO4RORMJ3F66C6CBA/
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ロシア国防省は30日、ウクライナの首都キエフ周辺など北部に展開していた部隊について、「作戦の主要方面」である東部にウクライナ軍を集結させないための〝おとり〟であり、目的を達成したため「再編成」を開始したと主張した。「露軍はキエフ陥落に失敗した」とする米国防総省の分析を否定した形。
露国防省は「作戦の第一段階で計画されたのは、敵戦力をキエフなど大都市に釘付けにし、主要方面の東部に移動させないことだった。目的は達成された」と主張。キエフへの突入は当初から予定しておらず、米国などが発表した露部隊の後退は「計画された再編成」だとも説明した。(略)
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それでもロシア側は弱みを見せまいと要求を吹っ掛け、交渉はもう少し揉めるかもしれません。
しかし現実的にロシアは、もう戦いを続けられないように見えます。
あとはいかにして「名誉ある撤退」をしてもらうか。
さもなくばロシアによる核・化学・生物兵器の使用を警戒しなくてはなりません。
それでも「この侵略の終わりは近い」と私は考えます。
ただしドンバス地方からクリミア半島にかけての地域は、今後とも両国にとって火種であり続けると予想します。
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2. ロシアは技術革新と情報化に遅れ、ソ連と同じパターンで敗退した
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ロシアが敗退しつつある原因は、冷戦時と全く同じです。
半導体が生産できないため、精密爆撃できないようなのです。
すると地上の対空基地などを攻撃できません。
その結果、航空優勢を確保できず爆撃機などが高高度を飛べなくなってしまいました。
さりとて低空飛行すれば、スティンガー等携帯ミサイルの餌食となります。
半導体だけではありません。
ロシアは資源こそ持っていても、それを素材や部品に加工する技術がないのです。
結局は冷戦と同じで、先端技術や情報化で取り残された結果と言えるでしょう。
それを中国にやってもらうつもりだったかもしれませんが、中国はロシアを弱らせて「喰う」ことを考え始めた様子。
そのことも投資用の動画やメルマガで解説しておきました。
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2022年03月25日18:39
投資戦略動画(公開用)20220325
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51280975.html
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1. ロシア、米ソ冷戦と同じ理由で敗北か
2. プーチン氏、3つの支持基盤が揺らぐ
3. 第3次大戦はすでに始まっている
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2022年03月26日08:00
【週末だけのグローバル投資】米国の分断と世界の混乱 (59)ロシア、米ソ冷戦と同じ理由で敗北か
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51280983.html
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3. 米国は「中国は潜在敵国」と認識している分だけ進歩している
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一方の米国ですが、「中国は潜在敵国」と認識している分だけ進歩していると言えます。
オバマ時代にはロシアと揉めるたびに中国に仲介を頼み、自分の立場を弱くしていました。
米民主党政権は世界に火種をばら撒いたおかげで嫌われ、舐められました。
おかげで中国は安心して
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- 南沙を埋め立てて軍事基地を作り
- ウイグル人を強制収容所にブチ込み
- 毎日のように尖閣領海に居座ったり
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などの狼藉を続けることができたのです。
しかし今回は「ロシアを支援したら許さんぞ!」と中国を牽制しています。
バイデン政権はそうでもないかもしれませんが、議会が強硬なのです。
六四天安門事件後、中国は自分に向いた米国の矛先を日本やイスラム勢力に転嫁することに成功しました。
それは日本を含む西側諸国が、まんまと中国の「宣伝戦」に嵌ったからです。
今回も同じ轍を踏まぬよう、日本政府にはしっかりやってもらいたいと思います。
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4. 「再ブロック化」には痛みが伴い、今のインフレもその一部
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ウクライナでの戦闘に終わりが見え始めたことで、原油価格などが反落しています。
しかし大きく下げることはないでしょう。
その理由は以下の通りです。
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(1) 「再ブロック化」が進めば、西側諸国はブルーチームあるいは中立国からエネルギーを調達することになる
(2) しかし米民主党は中東その他の国から恨みを買っているため、産油国は増産に応じてくれない。
(3) またバイデン政権は脱炭素にこだわり、石油石炭への融資を制限している
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このうち(3) は、今すぐ脱炭素をやめてしまえば済む話です。
しかし米民主党の支持母体はそれを強く推進しているため、なかなか方向転換できないかもしれません。
欧州も同様ですが先に限界を迎えるため、「脱炭素」のお題目を掲げたまま原子力・石油・石炭を使いまくると考えます。
(2) は根深い問題です。
というのも米民主党が外交でエラーを重ねるたびに、米国全体としての信頼が揺らいでいるからです。
それは少なくとも2011年の「アラブの春」に端を発しており、オバマ=バイデン外交の負の遺産と言えます。
(1) も根深い問題です。
しかし実は「いずれそうなる」状況でした。
再ブロック化のためにはサプライチェーン再構築が不可避です。
それは調達先が同盟国や中立国に限られるということであり、インフレ率上昇は避けられなかったと考えます。
それがウクライナ侵攻によって早まっただけで、このインフレは「再ブロック化」の痛みのひとつだと私は考えます。
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5. 「ロシアゲートでっちあげ疑惑」「ハンター・ラップトップPC」はそれぞれ本物でどうする米民主党
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そんな米民主党に、さらなる逆風が吹き荒れています。
連邦選挙委員会(FEC)はロシア疑惑をめぐるデマで米民主党に罰金を課すとのこと。
民主党全国員会(Democratic National Committee、略称:DNC)の会計係に10万5000ドル=約1,283万円。
ヒラリークリントン氏の会計係に8000ドル=約100万円だそうです。
このメモは1か月後に公開されるのでまだ確定ではありません。
しかし本当なら「ロシア疑惑はヒラリー陣営のでっち上げ」と、FECが正式に認めたことになります。
またハンター・バイデン(HB)氏のラップトップPCは本物であると、ついに左派メディアのNYタイムズ紙まで認めました。
捜査に詳しい関係者によれば、捜査当局はバイデン氏と
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- カザフスタンの利権、
- 中国のエネルギー複合企業、
- ウクライナのエネルギー企業であるブリスマ (←いま戦争になっているウクライナですよ)
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との関係を調査しているとのことです。
「ハンター・ラップトップPC」については、2020年大統領選挙前からその存在が知られていました。
ところがマスメディアはそれをずっと無視し続けて、「トランプ派のデマ」と切り捨てました。
バイデン氏も「事実ではない」と言い張ってきました。
それを今ごろ証拠として出してくるFBIや左派メディアは、公平性のかけらもないと私は思います。
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6. バイデン氏の支持率上がらず、トランプ氏が完全に上回る
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さて「狂人トランプを引きずり降ろし」「悪魔のプーチンを懲らしめている」正義の味方バイデン氏。
しかしその支持率は低下し続けています。
少し前からトランプ氏の支持率がバイデン氏を上回り始めました。
最近では左派メディアでもそうなってきましたので、かなり差がついているのではないかと思います。
バイデン氏や米民主党の支持が落ちている原因は、少なくともオバマ時代に始まっています。
「それらの失敗をマスメディアが隠したり、なすりつけたりしていたのがバレただけ」
なのです。
大統領選2020の前から、米民主党やマスメディアは弾圧を強めてきました。
「トランプ派」「Qアノン」「反ワクチン」「反マスク」「反CRT」「フリーダムコンボイ」
など、あらゆる人々にテロリストのレッテルを貼って生活できないようにしてきたのです。
しかしあまりにも多方面に噛みつくものだから、無党派層まで「こいつらおかしいぞ」と思い始めました。
自称リベラルのくせに、やっていることは全体主義者です。
まるで2009年に日本で民主党政権が誕生したあとに、有権者がいろいろ気付いてしまったのと同じことが起きているのです。
今年11月の中間選挙は「ちゃんと投票して集計すれば」米共和党が圧勝するでしょう。
その先にはトランプ氏の再選が見えてくると思います。
「狂人トランプ」が米国民に支持されていることを、マスメディアはどう説明するのでしょうか?
おそらく安倍首相が復活したときの日本と同じように
「愚民どもがポピュリストに騙された」
と切り捨てて、反省すること全くないと私は予測しています。
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