なでしこジャパンの強さを考える (2終)経験と危険察知能力
なでしこ対米国の女子サッカーW杯決勝は、2-5で完敗しました。
- 勝利への執念
- 敵を知り己を知る謙虚さ
- 戦略を実行するためのあくなき訓練。
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なでしこ対米国の女子サッカーW杯決勝は、2-5で完敗しました。
サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」がW杯決勝に進出しました。
今回の日本代表の自滅ぶりをみて、きっと対米戦争もこんな感じで負けたのだろうなと思います。
結局、日本代表は2敗1引き分けでグループリーグ最下位でした。
第二戦のギリシャに1点でも入れて勝っていれば決勝トーナメント進出となっただけに、コンディショニング失敗と自爆采配が悔やまれます。
個々の選手やプレイがどうのより、「勝つためにチームとしてちゃんと考えたのか?」「そもそも本当に勝つ気があったのか?」 という点に対して大きな疑問が残りました。
私もずっと日本代表をフォローしているわけではないので後講釈になってしまうのですが、今回のキャンプ地をイトゥにしたことを最初から疑問に思っていた人々が少なからずいたようです。特に現地新聞の指摘は傾聴すべきものでした。
レシフェまでイトゥーから直線距離で2151キロ、ナタールまで2338キロ。東京から台湾まで2247キロだから、これでは冷え込みが厳しくなる晩秋の東京(11月初旬頃か)から亜熱帯の台湾へ毎回、試合に出かけるのと変わらない。選手は、試合どころかカゼで寝込むのが関の山である。
ニッケイ新聞 2014年1月11日
一説によるとこれは大きなスポンサーの現地法人があって、対戦場所や相手が決まる前にキャンプ地として決定したとのこと。
プロ化前のアマチュア時代から日本のサッカーを支援してきた大スポンサーが、チームの不利になることを望むとは思えません。しかしひょっとすると誰かが、スポンサーに「良い顔」をしたくて決めてしまった可能性はあります。
サッカーWC2014の「日本 vs コートジボワール」について考えたことを書きます。
2012年ロンドンオリンピック女子サッカーで、日本のなでしこが南アフリカ相手に0-0で引き分けグループ2位で予選を通過しました。
佐々木則夫監督は後半途中から引き分け狙いに切り替えて選手に指示を送ったそうです。
しかしこれに対し、なぜか批判する人がいます。いわく
などです。
おまえはいったい、何を言っているんだ?
私は「3位に落ちるリスクを最小限に抑えながら、いかにエレガントに2位になるか」ということに注目しながらゲームを見ていました。
試合日程・場所・相手との相性を見る限り、グループ2位が断然有利です。1位だと移動がキツイし、3位に落ちて米国が相手になったりしたらイヤすぎる(笑)。
金メダルのためには2位抜けを狙うべきで、 なでしこにはそうするだけの実力と勝ち点がありました。 文句が言いたいなら2位抜けを有利に設定した運営側に言うべきでしょう。
仮に最初から日本の調子が良くて得点できたのなら、それを止めてしまうと悪影響があります。 後から不自然に失点するわけにもいきません。 最初から引き分け狙いをあからさまにするのも興醒めですからね。しかし得点できずにいるうちに、引き分け狙いの環境がどんどん整ってきました。
そしてスウェーデンは終了間際に同点に追いつかれてます。おそらくあちらさんも同じことを考えていて、リードできたことを幸いに最後にちょいと罠を仕掛けてみたのでしょう。
あぶねー。うっかり先制してたらダチョウ倶楽部方式で1位にされるところだったぜ (笑) 。
日本 「俺、グループ1位は絶対イヤだからな!」
スウェ 「じゃあ、俺が1位になるよ」
カナダ 「いや、ここは俺が」
日本 「・・・じゃあ俺がなるよ」
ス・カ 「どうぞどうぞ」
佐々木監督が途中から「引き分け狙い」を指示したのはきわめて合理的です。
常に全力でアピールの機会を狙っている選手たちに対し、「先制点を入れるな」と明確な戦略を提示しました。これこそ監督稼業の真骨頂です。
しかもサブメンバーに五輪出場の経験をさせつつ、調整させることができました。中二日の鬼畜日程の中でベテラン選手も休憩を取れました。五輪前にちょっと調子が悪くそこから復調していることまで考えると、金メダル獲得に向けてベストの予選結果を得たと判断します。
翻って、それを批判している人はなんなんでしょうか?
「いつでも全力主義者」は頭を使わずに楽ができます。
失敗したら「全力を出さなかった」選手や部下の責任にできるからです。
選手や部下は使い潰しの消耗品であり、自力でベストコンディションを保ち、良い結果を自分に「上納」しなければならない考えています。
彼らはまるで旧日本軍の「名参謀」のようです。
いつも精神論を振りかざし、チームを疲弊させ、無駄死にを強要します。
戦線を野放図に拡大して、休憩も補給もさせません。
集中砲火を浴びるだけの場所を「死守せよ」と無責任に命令し、支援もせず知らんぷりです。
役割分担や責任は丸投げ。
戦略やプロセスは無視。
「勝つことでしか穴埋めできない」「死ぬことでしか贖えない」と、結果を出すことを強要します。
結果オーライですべて許されるなら、そこに学びはありません。結果しか見ていないから、いつも表面だけを見てお気楽に批判ばかりしているのです。
ちょっと思い出してください。
あなたの部署は、鬱や自殺が多くないですか?
部下たちに「際限のない無駄な努力」や「仕事するふり」をさせていませんか?
上司は「怒鳴り散らすことが仕事」だと思っていませんか?
「業績が上がらないのは現場の努力不足」なんて言っちゃってませんか?
経営陣のリーダーシップや会社のシステム自体に問題はないのでしょうか?
テレビのワイドショーが「勝ちに行け!」「日本の勝利が見たい!」と煽るのはわかります。彼らはスポンサーのために試合を盛り上げなければならず、視聴率が所得に直結するからです。
しかし日本代表に優勝という結果をもたらし、サッカー大国への道を歩みたいのであれば、彼らとは利害が一致しないときがあることを我々は理解すべきです。
これらの話が当たり前にされるようになったとき、日本サッカーはもっと強くなることでしょう。男子ワールドカップ優勝も夢物語ではないと考えています。
日本のサッカー選手と育成システムは世界に追いつきつつあります。
指導者や審判はもう少し時間が必要です。
それに対しスポーツジャーナリズムは、 何周も何周も遅れてしまっています。
しかし同時に厚みのある豊かな「サッカー文化」が、草の根的に広がりつつあることも強く感じています。
今回のケースはちょっと挑発的に書きましたが、異論・反論を歓迎します。これについて議論が深まることは日本のスポーツ全体にとって有益なことです。
チーム全体を楽にする佐々木監督の判断は、最後の最後に効いてくることでしょう。
人事を尽くして天命を待て。
がんばれ、なでしこ!
もはや、楽しくありません・・・。
韓国を見て「こいつら進歩しねえな」と思っていたのですが、日本はそれ以上に退化しておりました。「ジーコジャパンのほうが良かった」と思えるって、どういうことだ?
日本チームの航空券が確保されておらず移動に丸二日かかっただとか、宿が手配されずに雑魚寝したとか、水がないのでスタッフが買いに言ったとか、そりゃあいろいろ逆風はあったでしょうよ。しかしそれでも、ひとり少ないチームを相手にあいも変わらず点が取れないことは問題だと思います。
ジーコが名監督だったとは思いませんが、少なくともこの試合の日本代表よりはチームとして機能していたような気がします。
相手が少なくなってもワントップを続けるオシムの采配も疑問でしたけどね。まあ今回は采配もさることながら、選手選びの段階ですでに手詰まりになっていたような気がします。
もう少しオシムが構想するサッカーを見せてもらいたいのですが、どうなることやら。逆に「こんなチームじゃやってらんねえ」と辞めてしまうかもしれませんけどね。
ストレスが溜まる試合でした。
久々のサッカー談義です。
日本代表が3連覇を目指すアジアカップは、準々決勝で強敵のオーストラリアをPKで下しベスト4に残りました。ワールドカップでは世界との差をわかっていながら応援しなければならないわけですが、アジアカップの場合はキッチリ仕事をすれば優勝できるので見ていて楽しいですよね。
オーストラリア戦はオシムジャパンのひとつの特徴を、厳しいコンディションの中でフルに発揮した試合だったと思います。
もともと相手は中2日と日本よりも休養が少なく、移動があって、なおかつ白人は高温多湿に弱いので、そういったアドバンテージがあってようやく互角の勝負だと思っていました。しかしフタを空けてみたら、「引いた相手に対する得点力」だとか「セットプレイへの対処」という課題は残したものの、思ったより早くオーストラリアの体力を奪って安全な戦いができたと思います。
今の日本代表を見ていると横バスやバックパスばっかりでつまらないかもしれないですが、高温多湿の中であのポゼッションサッカー(なるべくボールをキープしてチャンスを狙う戦法)をやられたら相手はきついですよ。サイドチェンジされたら全員でマークを修正しなければならないし、中村俊輔・中村憲剛・遠藤あたりがボールを持ったら決定的なパスを出されるから3人ぐらいで囲まなくてはならない。そこをスルリを横パスで逃げられたら、相手は3人分の体力が奪われるわけです。
で、日本の中盤3人の足が止まるころには、相手はほぼ全員の足が止まっているという(笑)。後半になると日本も消耗していましたが、オーストラリアはそれ以上でした。足が動かなくなれば踏ん張りが利かなくなってどうしても反則が増え、オーストラリアの荒っぽさが増幅されることになります。退場でひとり減ってしまったら、あとはフリーキック狙いの転倒だとか、PKまでの時間稼ぎしかありません。そういう意味では、オーストラリアもそれなりに良く戦ったと思います。
この戦法がどこでも通用するとは思いませんが、過酷な条件下であればアリでしょう。少なくとも私が他のチームに所属していたら、「日本のサッカーはいやらしいなあ。当たりたくねえよ」と感じるのではないでしょうか。だって、ひと月ぐらい体力が戻りそうにないんだもん(笑)。
PKで勝ったのは川口に負うところが大きかったかもしれませんが、試合そのものは全員がよく自分の役割を理解してチームとして機能していたと思います。ヒヤヒヤしながらも勝ち残るのは、「アジア限定ながら実力のある強豪」ということなんでしょうね。
結局、ベスト4は以下のようになりました。
日本 ---
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サウジ - |
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韓国 --- |
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イラク --
準決勝のサウジは難敵ですが、日本はまた移動なしで一日休みが多いですからこれまでどおりやれば6-7割の確率で勝てると思います。なるべく早く体力を奪って、カウンターとセットプレイを押さえ込むと。サウジはまだ若くて元気一杯ですが、同時に不必要なプレイをする時がありますからつけ込むスキは充分にあります。
反対側のブロックはイラクが強いでしょうね。決勝で当たれば日本と五分五分・・・もしかしたらやや上かもしれません。
韓国はイラン戦を見る限り古いアジアンサッカーでグダグダですけど、首の皮一枚で生き残ってきた相手はあなどれません。もし日本と当たればこれまで以上の力を出して善戦すると思います。しかしそれでも普通にやれば6-7割の確率で日本が勝つでしょう(審判次第という面はありますが)。
油断は禁物ですが、かなり期待していいと思います。
目指せ3連覇、がんばれ日本!
今晩 22:20からいよいよ準決勝。
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