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2012年12月18日 (火)

日本人の「戦う民意」 - 2012衆議院選挙結果より

2012年12月の衆議院選挙の結果が出ました。

予想通り小選挙区は自民党の圧勝。そして比例区は維新の会が躍進して、民主党を上回りました。ただ維新の会は東京で苦戦し、トータルでは民主党が第二党の座をキープしました。

詳しい議席数はこちら

          2012年 2009年

自民       294  ←   118
民主         57  ←   240
維新      54  ←     11
公明         31  ←    21
みんな     18  ←      8
未来         9  ←     61
共産         8  ←      9
社民         2  ←      5
大地         1  ←      3
国民         1  ←      2
日本         0  ←      1
無所属      5  ←    10

 

今回、私が驚いた点が2つあります。

 

ひとつは投票率が下がったこと。

この3年間に多くの人命と国益が失われました。しかし「その代わり骨身に沁みて学んだことも多かっただろう」と思っていた私にとって、これは軽いショックでした。

 

民主党政権の間に、多くの出来事がありました。

  • 3.11東日本大震災。福島原発事故。
  • 宮崎口蹄疫
  • 円高自虐不況。日本人の倒産と失業は「自己責任」として、海外には巨額支援。
  • 議論すらしないと言っていた消費税増税を「不退転の覚悟」で決定。
  • 普天間問題がこじれ、米国との間が疎遠に
  • 中国人船長の海保巡視艇を無罪で釈放。沖縄地検のせいにして証拠ビデオ隠し。
  • 「民主党は領土を守る気がない」と見たロシアもメドベージェフが北方領土上陸。
  • 韓国の李明博大統領も竹島上陸。天皇陛下に謝罪を求める。野田首相からの親書を突き返す。
  • 中国は尖閣領有権の主張強化。監視船と航空機で恒常的に侵入。
  • 北朝鮮がロケット発射。不審船が日本海沿岸に多数出現。

挙げてゆくとキリがありません。しかしこれらすべてに無関係・無関心で、何の感情も持たなかった人は少ないはずです。

これまで政治家に対して怒りの声は聞いたことがありましたが、恨みや憎しみの声を聞くようになったのは初めてのことでした。また日本人がマスメディアに対して、怒りのデモをやったもの初めてのことでした。

どう考えても内外の情勢は3年前よりも緊迫しています。

 

そして今回の選挙。民主党政権にイエスであれ、ノーであれ、ほとんどの人が何らかの意思表示をするはずだと思っていました。

それなのに選挙に行かない人が増えたことは驚きです。

むむー、 「愛」の反対は「憎しみ」ではなく「無関心」ってかあ???

 

「誰がやっても同じ」という宣伝を真に受けた?

そんなこと言う人は結果が気に入らないと「それは間違っている」って後から文句を言いますよ。「誰がやっても同じ」なら、誰が選ばれても不満はないはずなんですがね。

彼らはあなたの考えを誘導しようとしているんです。思った方向に動いてくれないときは、そう言って考えたり投票すること自体を邪魔するんですよね。

 

あるいは「自分は当事者ではない」と思っている?

自国政府に統治能力がないとどうなるか、経済困窮と軍事侵略の恐怖を味わったでしょうが。それとも自分に被害はなかったとでも思っているのかな。

この期に及んでまだ誰かがこの国を自分が望むように動かしてくれることを期待しているのだとしたら、他力本願もかなり重症かもしれません。

 

今回の投票率の低下をあえて好意的に解釈するなら、

「これまでマスコミの言うとおりに投票してきたけど、なんかおかしな感じがする。自分の周りの意見と、マスコミの意見は全く違う。でも何が良いかはわからないので、今回は棄権する」

というものです。

彼らは「民主がダメなら次はXX」という誘導には乗らなかった。しかし「ダメならまた戻せばいい」と戻すこともしなかった。そして自分では判断できないので棄権したと。

普段から政治経済を見ている人は直前になって迷うようなことはなかったと思いますが、マスメディアの情報を頼りに決めている人は「誘導先」が多すぎて判断できなかったかったかもしれません。

 

 

そしてもうひとつ驚いたのは、未来の党が惨敗したこと。

私はあまりテレビを見ないので強くは言えないのですが、未来の党は「脱原発」を旗印に理想派左翼やマスメディアから強烈にプッシュされていたような感じがしていました。少なくとも維新と第三極を争う存在として、大きく取り上げられていたと思っていました。

しかし蓋をあけてみたら、現有61議席が9議席に激減です。「小選挙区制の振幅」がいかに大きいといっても、メディアの支援を受けてこの結果ではひどい惨敗としか言えません。民主党以上にボロボロになったと言って良いでしょう。

 

私はこれを、マスコミが浮動票を誘導する「秘技:争点ずらし」が効かなくなったからではないかと考えています。

今回の選挙は過去3年余りの民主党政治の総決算。そして緊迫する東アジアの安全保障が最大の争点だったと私は思っています。特に中国に対して周辺国と連携してどのような対策を取るのかが重要で、維新が躍進したひとつの要因と考えます。

しかし日本のマスコミは反日反米が多いので、そんなことをおおっぴらに議論されては困ります。そこで「反原発」「TPP」など食いつきが良さそうなところを「争点」として設定し、選挙結果を誘導しようとするのです。

 

これは過去何度も行われており、それなりに有効な戦略でした。

普段政治に関心のない人たちも、選挙が近づくと投票先を探し始めます。そこでマスコミがひょいと争点を提示してやると、「そうか!今回は反原発が争点なんだ」と思って投票します。自分に都合の良い判断基準を与えることで、投票先を実質的に誘導することができるのです。

「秘技:争点ずらし」はこれまでの業績や根源的な問題から目をそらし、浮動票を誘導するためだけの一発ネタです。だから話題性と訴求力があればそれで構いません。

普段から政治に関心があって調べようとする人は、最初から「争点ずらし」のターゲットではありません。知識にどんな差があっても一票は一票なので、誘導しやすい人たちからごっそりいただくわけです。

選挙が終われば浮動票は政治への関心を失います。そして用意された「争点」も報道されなくなり、忘れられます。しかしそんなことは誰も気にしません。あれほど騒がれた年金問題がどうなったかとか、ミスター年金がいま何してるなんて聞いたことないし、気にしたこともないでしょう? 

 

さて今回、小沢一郎さんが嘉田さんと組んだとき、「ああ、これはいつもの手口でメディアが押してくるな」と感じました。

しかし票はまったく未来の党へ流れませんでした。

「理想派社会主義者」が、社民党と票を分け合って共倒れになったからかもしれません。

第三極の準備が整わないうちに解散に踏み切った野田佳彦首相の作戦勝ちかもしれません。

しかし一番大きな理由は、選挙に行く人たちが全体的に賢くなったからではないかと思います。政治家の言動や哲学がネットに蓄積され、たとえ無党派や浮動票であってもマスコミの誘導に乗りにくくなったのではないでしょうか。

 

小沢さんは百戦錬磨の強者ですが、習近平氏(当時ナンバー6)をゴリ押しして天皇陛下に会わせたことはネットに記録されています。また六百人以上の訪中団を引き連れて北京詣でをし、「私は人民解放軍の野戦司令官」と発言したことも有名です。

調べたらすぐソースが出てくるので、どんな人物なのか若い人たちでもすぐ見当がつきます。「中国・韓国べったり」という印象を消すことは困難なので、選挙直前になって反原発を主張したところで「また日本の産業を潰して技術を流出させようとしてるよ」としか思われないのです。

 

この3年で、日本の選挙民はかなり賢くなったと思います。

今回は小選挙区は自民、比例は維新にと分けたり、一票の価値を最大限に高める行動が目立ちました。

思考停止に陥って棄権した人も増えましたが、それ以外の人はルールや特徴を理解して投票したと思います。投票行動においても二極化が見られるのは興味深いことです。

 

 

さて、選挙の結果いよいよ安倍晋三さんが復活します。

今の安倍さんは「得意科目」の安全保障に加え、「国土強靭化200兆円+インフレターゲット」という対デフレ経済政策を自分の口ではっきり述べています。これは大きな進歩と言えるでしょう。

周辺国シンパの執拗な攻撃に耐え、総裁選の不利を覆し、ボロボロにされた人間がさらに強くなって這い上がって来るとはなんと素晴らしいことか!

「小泉の後継者」としてしか見られていなかったあの頃とは明らかに違います

 

もちろん前途は多難です。

安倍さんの対外政策は公明党と関係がぎくしゃくしそうなものが多いです。比較的早いうちに公明党との連立を再考したり、維新との連携を模索するタイミングが来るでしょう。

また自民も一枚岩ではないので、選挙が終わったらマスコミや他党と結託して「後ろから撃つ」やつが必ず出てきます。

 

しかし私は「今回の安倍政権は民意を背景に長期化する」と予想しています。

なぜなら政治に興味を持ち、根源的な問題を把握して、甘言に騙されることなく現実に対処しようとしている日本人が増えているからです。

今回の選挙を待ち望み、自分の強い意志で投票した人々も多かったことでしょう。これはマスメディアが言う「ふわっとした民意」ではなく、生存本能に根差した「戦う民意」です。

 

理想論や話し合いでは解決できない問題に直面した今、我々はそれにふさわしいリーダーを首の皮一枚で甦らせました。

「日米の連携強化」と「強い日本の復活」は、アジアの安定と発展に寄与するでしょう。

周辺国の挑発と軍事的冒険に、歯止めがかかるでしょう。

脱デフレ政策で日本企業も復活のきっかけをつかむでしょう。

 

それは少しだけ賢くなった「行動する日本人」への、何よりのご褒美となるはずです。

(終)

 

2012年12月 3日 (月)

野合のメカニズム(2) 純粋なイデオロギーは野合できない

ある知人が共産党の選挙カーでこう言っているのを聞いたそうです。

「日本にカネはあるんです! どこにあるか? 大企業が内部留保としてしこたま溜め込んでいます! それを吐き出させれば増税は必要ありません!みんなが幸せになるんです!」

 

・・・さすが共産党。

言っていることには賛同できなくとも、思わず聞き惚れてしまう演説上手

 

「おまえそれは財産権の侵害だろ」

「企業にとっては増税だから、みんな幸せじゃないがな」

「企業が喜んでカネを放出する政策を考えろよ」

いろいろツッコミたいところですが、そもそも私有財産を認めない共産党にしてみれば「民間の財産を奪って使う」という主張は一貫しています。

 

資本家は敵。だからいくら叩いても良い。

労働者は味方。だから何があっても保護すべき。

共産党は叩く敵も支持基盤もはっきりしていて、その対立構造の上に成り立っている政党なのです。

 

共産党には労働者層という確固とした支持基盤があります。機関紙「赤旗」は、新聞受難の現在にあってなお160万部以上を発行しています。

共産主義国の力が衰えても「労使の構造」いまだに変わらず、それゆえに共産党は一定の支持を持っているのです。

 

しかし共産党には、「日本維新の会」や「未来の党」と一緒になろうという話はありません。

あまりにも主張と支持基盤がクリアなので、どことも一緒になれないのです。

他の党と妥協して変にブレると、強固な支持基盤を根こそぎ失います。

受け入れるほうだって、自分の組織内に強固な一派を入れるのは怖い。だから政界がいくらゴタついても、合併の話など出てきません。

 

公明党しかり、社民党しかり。「みんなの党」もちょっとそう。

純粋なイデオロギーほど野合と無縁なのです。

 

逆に今、合従連衡を模索している人々は強いイデオロギーを持ちません。

基本的に「権力を取る」という利害で一致しているだけなのです。

 

彼らは社会党の旗色が悪くなれば民主党へ移ります (理想左派は社民党に残った)。

民主党の旗色が悪くなれば労働組合系は「民主」に残り、活動家は「維新」に移り、小沢派と理想派は「未来」へと渡り歩きます。

 

彼らは原発だのTPPだの目先のトピックを旗印にして、今回の選挙だけを乗り切ろうとします。

国家のグランドデザインを描く気もなければ、長く国を背負うつもりもありません。

極めて近視眼的な連携に見えます。

 

それに比べると、共産党の純粋さがかわいく思えてくるから不思議(笑)。

 

そりゃあ、俺は共産主義や脳みそお花畑は好きじゃないよ。

でも意見があれば聞くよ。

都合のいいときは利用させてもらうよ。

あんたらの調査は頼りになるときもあるしね。

 

しかし小選挙区制度のもとでは、そういった純粋な政党は不利です。

圧倒的な2大政党のプレゼンスの前に埋もれてしまうからです。

 

日本は元来、八百万の国です。

善悪二元論ではなく、もっと複雑で機微に富んだものです。

共産党が資本家を攻撃し、それに地主の息子が賛同するというカオスがまた素敵。

主張するのも賛同するのも自由だから、たった2つの党に押し込もうとするなよ。

 

純粋イデオロギーに政権取らすのは怖いけど、 権力志向の野合ショーばかりではなあ。

マキャベリストは好きなんだけど、国家観ゼロではなあ。

 

小選挙区で失ったものに、政治家や政党の「器」があると思います。

2012年11月29日 (木)

野合のメカニズム - 民主党は二大政党の座を死守できるか?

日本の政局が混乱しています。

 

主張が正反対と思われる石原慎太郎氏の「太陽の党」と、橋下徹氏の「大阪維新の会」が一緒になって「日本維新の会」となりました。

橋下さんはそこに「みんなの党」をくっつけようとしましたが、渡辺喜美代表は「太陽の党と別れなければダメだ」と破談になりました。

 

一方で滋賀県知事の嘉田さんを党首に「日本未来の党」が結成されました。

ここには 小沢一郎氏 の「国民の生活が第一」や、減税日本の河村たかし代表(名古屋市長)、 亀井静香前国民新党代表、山田正彦元農相などが立ち上げたばかりの「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」が合流し、「日本維新の会」に対抗するほどの勢力になりつつあります。

 

これを見て「理念もへったくれもねえな。自分の信じる道を行けよ」と思う人も多いでしょう。

しかしこの動き、実は小選挙区制の現実に根差したきわめて合理的な行動なのです。

 

というのも、小選挙区制では勝者はひとりしかいません。

ということは自分が一番の好きな人に入れたくても、その人が3番以下の人気であれば当選する可能性は低いです。いわゆる「死票」になってしまうのです。

そうであれば人気のある上位2名のうちどちらかマシなほうを選んだほうが、自分の意見が反映されることになります。

つまりほとんどの選挙区で、上位2名の選挙戦になるわけです。

 

議会政治では上位2党がほぼ同じ議席数を得て拮抗し、少数の第三極を味方につけたほうが決定権を握る、つまり第三極がキャスティングポートを握ることがしばしば起こります。

たとえば政党AとBがそれぞれ45%の議席があっても単独では過半数に及びません。すると10%の議席しかない政党Cと連立したほうが政権与党になります。そこで政党Cは両者を争わせ、漁夫の利的に自分の政策を通すことができるのです。

(ただし政党Cがあまりにムチャばかり言うと、政党AとBは大連立を組んでCを排除します)

 

しかし小選挙区では、得票率が10%動いただけで2大政党のうちどちらかが土砂崩れ的な大勝利を収めます。

残りのほとんどを最大野党が占め、あとは小さな政党がパラパラといった議席配分になります。

制度的にどこかの政党が過半数を占めることが多いので、衆院と参院でねじれることはあっても第三党が力を持つことは稀です。

ということは、小選挙区制においては二大政党に入っていなければ意味がないということになります。

 

逆に小選挙区制で、一党だけずっとダントツということもありません。

それはほとんど独裁制と同じで、投票する側の選択肢がなくなってしまうからです。

選挙民のほうでは今の与党の代わりとなるもう一つのグループを求めます。

つまり小選挙区は1大政党でも3大政党でもなく、必然的に2大政党を作り上げるということです。

 

それは政治家側もよくわかっています。

理念を守って独立を貫いた場合、小さな党では単独では政権を取れません。

どうせ理念の違う政党と連立を組むのであれば、最初から同じ政党として活動すれば政権を得る可能性はより高くなります。

野合と言われようが、とにかく大きくなったほうが選挙に有利なのです。

 

もともと民主党は、いろんな派閥や政党を集めた野合集団でした。

それがアンチ自民の票を集め、政権与党の座についたのが3年前です。

理念がまったく違う人々の集まりなので、極左から極右まで様々です。

考えが違いすぎて党の綱領すら作れません。

そんな政党でも「自民党の代わり」として求められたのです。

 

しかし「政権を取る」という最大の目標を果たしたら、そこから先へは進めません。政策を実行するにはあまりにも考えが違いすぎるのです。

実際、様々な人の夢を詰め込んだ薔薇色のマニフェストはほとんど実行されませんでした。

それは民主党の責任もありますが、小選挙区制による「野合のメカニズム」の弊害が大だと思います。

 

今回の選挙の最大の争点は、民主党が第二党の地位を守れるかどうかです。

それができれば、いずれ復活の道もあるでしょう。

その意味で、第三極の体制が整わないうちに解散した野田首相はベストのタイミングを選んだと私は考えます。

 

しかし将来「日本維新の会」「日本未来の党」が政権を取ったとしても、今の民主党と同じ問題が起こるでしょう。

政党を大きくして政権を取るには、理念の違いに目をつぶらざるを得ません。

しかしそうやって政権を取っても、何も実行できないのです。

 

野合の政党は政権を取るのが目的です。

目的を果たせば、次の相手は同じ党内のライバルです。

民主党が政権を取った立役者は良くも悪くも小沢一郎さんでした。しかし政権を取ってしまえば「用済み」となって、内ゲバで追い出されてしまったのです。

 

野合の政党は、政権を取れなければ一緒にいる意味がありません。

第二党から滑り落ちそうになると、すぐに離党してまた別のグループと野合します。

それこそ他のことは考えるヒマがないぐらい、別れたりくっついたりします。

まずは数を集めて権力を奪取しなければ何も始まらないので、政策や国民のことはどうしても後回しになります。

 

この動きはゴシップとして興味を持つ人も多いかもしれません。

そしてマスメディアも、くっついた別れたのネタが尽きないので助かるでしょう。

しかし政策が進まないことや、首相が毎年変わって他の国から相手にされなくなっていることは深刻な問題です。

 

私はこの問題は、小選挙区制と政党助成金にあると考えています。

日本人には昔の中選挙区が合っていたのではないかな。

政治の混乱を個人のせいにするのはちょっとストップして、制度そのものを見直してはいかがでしょう。

 

(参考過去記事)

議員助成金を出して中選挙区に戻そう

 

 

2011年6月 2日 (木)

意味がわからない

シリーズの途中ですが気になったので一言。

菅内閣の不信任決議について、鳩山さんが賛成から反対に転じたことでみんな混乱しているようです。

しかし今回の不信任決議を小沢さん・鳩山さん復権の仕掛けと考え、各プレイヤーの利害得失を考えたら全く不思議ではありません。

 

いま解散総選挙をすればおそらく民主党惨敗。

だからできれば「菅さん」も「小沢さん・鳩山さん」ともにそれはしたくない(共倒れシナリオ)

しかしこのままでは「小沢さん・鳩山さん」は復権できない。だから「辞任しないと賛成するぞ」と菅さんを脅しました。

逆に菅さんは「俺を降ろすなら解散するぞ。そうすりゃまた野党に逆戻りだ。おまえらの半分は落選だ。道連れにしてやる」と脅し返した。

だから「菅さん」と「小沢さん・鳩山さん」が適当なところで妥協すれば、政権を維持できるという共通の利益を失わず騒ぎが収まってしまうわけです(共存共栄シナリオ)。解散総選挙はお互いに利害を忘れるほど感情がこじれた場合にしか起こりません。

 

しかし私がわからないのは、谷垣さんや平沼さんが民主党の内輪の争いに手を突っ込み、小沢さん・鳩山さん復活のために一生懸命働いたことです。

特に平沼さんは政策的に小沢さんとは相容れないのではないかと思っていました。

民主党内でチキンレースをやっているところに菅さんだけに圧力をかけたら、その力は小沢さん・鳩山さんを利することになります。

もし戦うなら解散総選挙を求めるべきで、そうでないなら野党としてできる限りのことをするしかなかった、というのが私の考えです。

 

これは何か考えがあった上で動きに乗っているんだろうか?

「震災復興を加速するため」というお題目を信じているんだろうか?

「利用されるだけで、自分が得るものはない」と考えたりしないんだろうか?

 

この仕掛けを考えた人間は賢いと思います。

しかしまんまと利用されるほうは政治家としてどうでしょうか。

かつて大陸の争いにさんざん利用され、滅びた日本を思い出します。

 

何をやっているんだか。

まだ原発も片付いていないのに・・・。

 

2010年8月 2日 (月)

議員助成金を出して中選挙区に戻そう

皆様、お久しぶりです。


世界の株価は戻り歩調ですが、日本株はいまひとつですね。

その原因のひとつに、政治をめぐる混迷があるでしょう。
いまの菅首相も9月にはまた別の人に変わってしまう可能性があります。日本の首相はコロコロ変わるので、世界から相手にされなくなってきました。

私が感じるところでも、この20年で政治家はすっかり小粒になってしまいました。メディア、特にテレビがくだらない見世物ばかりになりました。そして投票する国民のほうも、何か幼稚になってしまったように思います。

それらは時代の流れなのかもしれませんが、
「政党助成金」「小選挙区比例代表制」
がもたらす構造的な問題も見逃せません。

ならば政党助成金をやめて議員に直接支給する「議員助成金」とし、小選挙区をやめて「昔の中選挙区」に戻したほうが政治家はじっくり仕事が出来るし言論が多様化するのではないか?

というのが今回のお話です。


=====================================================================
[提言]
1. 政党助成金を廃止し、議員それぞれに助成金を支給する
2. 小選挙区をやめ、高度成長時代の中選挙区に戻す
---------------------------------------------------------------------

[政党助成金 ⇒ 執行部独裁をもたらす]

政党に配られた助成金は、党が配分する。
これは派閥の力を弱めたが、「執行部による独裁」を招いた。

執行部に逆らえば、資金を減らされ「兵糧攻め」される。
自分の考えを通しても落選しては意味がないので、
党に所属する議員は執行部の考えに沿って投票する。

これは執行部が何百もの議員投票権を独占しているのと同じ。
          ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政策を実行するには与党にならなくてはならないし、
なおかつ党の主流にならなければならない。
党外・党内で激しい権力争いが常に起こる。

[小選挙区の構造 ⇒ 投票制約・マスコミによる支配]

勝利者が1名しかないため、当選者以外への投票は「死票」となりやすい。

たとえば選挙区に3人の候補がいて、A議員は大好き、
Bは嫌い、Cは大嫌いと考えていたとする。

しかし「BとCが接戦。Aは圏外」という報道がなされたら、
大嫌いなCを落とすために嫌いなBに投票せざるをえない。
これは意図せざる投票を強要されるということ。
      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自分の好きな候補を自主的に外さなければならないので、
一票の格差以上に大きな問題と言える。

しかもこの「状況」は、マスコミが作り出すことができる。
落としたい候補を「圏外」と書けば、有権者が「合理的に」排除してくれる。

また知名度が大きな力となり、実務に通じている人々は評価されにくい。
印象やメディア受けが大事なのであって、実際の仕事はどうでも良い。
タレントは通るが、実務家は落ちる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

[絶え間ない内紛・ポピュリズム]

ポピュリズムは党内政治にも及ぶ。

党首が人気者だと大勝利。不人気だと惨敗。
だから支持率が下がると党内から引きずり下ろされる。

執行部から外された人々は、自分が主流にならないと不安でたまらない。
執行部に入らなければ、誰かの意図に従って投票するだけの操り人形となる。

他の党とも戦うし、党内でも戦う。
戦ってばかりでじっくり政治を行うヒマがない。

その結果、口先や理念だけの素人たちが国をめちゃめちゃに壊す。
そして外国にもつけ込まれる。

=====================================================================

 

族議員や派閥の力が弱まれば「クリーンな政治」が実現されるはずでした。

しかし実際に起こったことは党執行部による独裁、人気取りの政策、絶え間ない内紛。
そしてメディアに振り回され、外国につけ込まれる日本の姿でした。

 

 

たとえば口蹄疫。
2000年に92年ぶりに襲ったときには、勉強熱心な族議員がリードし1ヶ月で封じ込めました。被害は750頭の殺処分と100億円以上の補償金で済みました。

それが今年2010年は国の初動が遅れに遅れ、これまでに3ヶ月以上、29万頭の殺処分にまで被害が広がっています。補償金はおそらく数千億円を上回るでしょう。

族議員が利権を握ってズブズブなのもどうかと思いますが、まったく危機管理のできない人がトップにいるのはさらにヤバイと考えます。

 

たとえば年金問題。

安倍内閣を倒したのは「消えた年金」に代表される年金問題だったと報道されていたように記憶しています。

しかしあの問題は、安倍内閣が倒れると同時に報道されなくなりました。

自民執行部を攻撃して名を挙げた「次期総理にふさわしい人物」も自民党を攻撃した「ミスター年金」もいまは何をしているのでしょう?

過去の論争やマニフェストがどれぐらい実行され、今はどうなっているかなんて、テレビでは決して検証してくれません。


ここではどの政党が悪いとか、どの政治家に問題があると言いたいわけではありません。

むしろ政権を取るために、党内の主流派でいるために「進化」するとしたら、じっくり政治なんかしているヒマないだろうなと同情したりもします。

 

しかし今の選挙制度は構造的に、

「人気取りと足の引っ張り合いが強まる」
「口先だけの人間が生き残って、仕事師は生き残れない」

という仕組みになっています。その結果

「危機(災害・疫病・戦争)に弱く、外国につけ込まれやすい」

状況なのです。

日本の国が沈没したら、誰も勝者ではありません。
民意と政治家を手玉に取れるはずのメディアでさえも、
視聴者離れとスポンサーの困窮で赤字に転落しています。

 

ここはひとつ与党も野党も「一時休戦」し、
選挙制度についてゆっくり考えてみませんか?

政治家が無駄な争いをせずじっくりと国益を考えられるように。
そして国民が応援する政治家に投票できるように。

当たり前のことではありますが、
失って初めてわかることもあります。

2007年7月30日 (月)

自民敗北で変わること

参議院選挙の結果が出ました。

自民の37議席というのは「大敗・惨敗」と言っていいんでしょうね。小選挙区制は得票率が少し違うだけで議席数が大きく開く傾向がありますが、前回衆院選とは逆に民主党が一人区を占めることで、大きな差がつきました。

********************************

党派別当選者数(読売 on line 20070730)
 
 当選 選挙区 比例 新勢力 公示前
民主 60  40  20  109  81
自民 37  23  14  83  110
公明 9  2   7  20  23
共産 3  0  3   7   9
社民 2  0   2   5   6
国民 2  1   1   4   4
日本 1   -  1   1   0
諸派 0   0   0  0   0
無所属7  7   -  13  7
  欠員2
合計 121  73  48  242  240
定数 121  73  48  242  242

********************************

私は「社会全体が保守化しつつあるから自民は言われているほど負けないんじゃないか」「批判票はどこに入るんだろう」と思っていましたが、すべての政党から民主に流れたようです。普通なら批判票の受け皿とされてきた共産党に加え、強固な組織票を持つ公明党まで議席を減らしたことは特徴的だと思います(新勢力-公示前)。

農村を回って「生活第一」と訴える民主の小沢さんの戦略も賢かったです。かつて自民の支持層だった人々を寝返らせたわけですから。かつて自民が得意とした戦略のお株を奪うあたりはさすがです。

 

これからはそれぞれの党内で、ちょっとした波乱が続くでしょう。というのも自民党は、「選挙で勝てるはず」と思った安倍さんで負けてしまったことで、次の衆院選に危機感を覚えた自民の議員が引きおろす動きに出るだろうからです。参議院と衆議院では有権者の行動も変わるでしょうが、クビのあたりが冷たい議員たちにとっては死活問題です。

安倍さんはすでに続投を表明していますが、少なくとも「安倍おろし」のためにがんばってきた北朝鮮系メディアは引っ込まないでしょう。将軍様はこの選挙結果に喜んでいるでしょうが、安倍さんを辞めさせないとまだ安心できませんから。

逆に北京・韓国系メディアは安倍首相を守る方向でしょうか。もしかしたら民主党も、「安倍のままなら衆院選まで勝てる!」と思って擁護するかもしれません(笑)。

 

で、勝手ながら安倍さんが次の選挙で勝つ方法を私が考えてみました。

  1. 閣僚を入れ替え、古い自民からの決別を宣言する。
     
    安倍さんは「自民党をぶっ壊す!」と言った小泉さんの後継者として指名されました。その通り、自民党の支持基盤と集票システムはぶっ壊れました(笑)。しかし安倍さんが保守派のプリンスとして首相になった後、「派閥による組閣の復活」「その中に怪しい大臣が混じってる」「郵政造反組の復党」などから、小泉さんの後継者だと期待していた人たちが疑念を抱くようになりました。
     
    小泉さんが言う「改革」もけっこう怪しげなものでしたが、将来への期待によって痛みをガマンさせるという意味では受け入れられていたわけです。そして改革への期待が薄れたとたん、痛みだけがクローズアップされてきたと。
     
    今の組閣人事は、小泉さん時代のツケを払っているということもあるでしょう。しかし本当に改革を進めたいのであれば、今回は怪しい大臣は避けて思うとおりにやるべきでしょう。
     
  2. 私は安倍さんが成立させた、教育基本法、日豪安保、防衛省昇格、海洋基本法、国民投票法、(天下り規制)などを支持しています。しかし何かを成し遂げるとき、一度に敵を増やしてはいけません。拉致なら拉致、憲法なら憲法、メディアならメディア、公務員制度なら公務員制度などと各個撃破したほうがベターです。同じ相手を別方向から攻めるのは良いですが、あまりに急ぎすぎて別々の相手を結束させるのは賢い方法とは言えません。
     
    小泉さんはひとつひとつ「片付けて」行きましたよ。政策はともかく、政敵は。
     
  3. 保守派のプリンスらしく振舞ってみる。
     
    安倍さんは親米保守なんでしょうが、これまでの動きからはホンマかいな?と思われるフシがあります。「米国より先に中国韓国にご挨拶」「靖国や油田では中国に譲歩」なんてことをやっていたら、アメリカからも国内保守派からも疑念を持たれます。もともと外交が得意分野なんでしょうから、マスコミを自分の土俵に引きずり込んでみると良いでしょう。
     
    手始めにひとつ、神社に参拝して厄落としなんてどうでしょう(笑)

 

佐々木敏さんの「アカシックレコード」では、安倍さんは中朝戦争反対派で、だから米民主党に叩かれるのだという説を述べています。私としては安倍さんの側に中国韓国がついていることには「なるほど」と思えます。しかし米民主党が北朝鮮を使って極東のパワーバランスを取ることを考えているだとか、福田さんが中朝戦争賛成派であることには少し違和感がありますね。ともあれ、仮説として面白いです。

安倍晋三 vs. 米民主党  ~シリーズ「中朝開戦」(7)~
http://www.akashic-record.com/y2007/avsusd.html

 

さて一方、民主党はどうなるんでしょうか?

マスコミは総じて好意的な報道を続けるでしょうが、次は衆院選となると国民の投票行動も慎重になります。これまでのように「何でも反対」という態度だと投票してもらえませんから、政策の議論が深まることと思います。

しかしまじめに政策論争を始めると、反自民で結束していたイデオロギーの違いが噴出する可能性もあります。「このままうまくやれば政権が手に入るかもしれない」というエサがちらついたところで、ケンカせずにいられるでしょうか? まあ自民党も雑多なイデオロギーを「政権与党」という求心力でまとめていますから、似たようなもんなんですけどね。

自分としてはこのまま議論が深まって、似たような政治思想を持った人々がいくつかの党にまとまってくれるとありがたいと思っています。

 

そう考えると、意外と面白くなってきたのかな?

2007年7月17日 (火)

社会の保守化とメディア(3)階層の固定化から二大政党制へ

前回の記事は、「世代によって進歩的だったり保守的だったりするから、どの世代が社会を担うかによって社会全体も循環的に動いているのではないか」という話でした。良いとか悪いとかではなく、前の時代の反省も踏まえて揺り戻しが起こりやすいと。したがって、今後15年は保守化の動きが強まるのではないかと予想しました。

それに加えて、もうひとつ見過ごすことのできない構造的な変化があります。それは日本に階層が出現し、逆転が難しいほどの格差が広がりつつあることです。これは二大政党制の強化につながるのではないかと思っています。

 

実は私は、日本で二大政党制が定着するかどうかについて懐疑的な見方をしていました。というのも日本には「資本家vs労働者」といった明確な対立軸がなく、労働組合だって経営者となあなあでやっていたからです。だからこそ自民党のような「キャッチオール政党」が政権を担ってきたわけでした。

冷戦崩壊前の政治は比較的単純で、親米路線の中の微妙な違いによって自民党内で政権交代が行われるような形でした。北朝鮮労働党と友党であった社会党や、ソ連の支援を受けた共産党が大きな支持を得ることはなかったのです。自民党以外が政権を取るということはアメリカとの関係を見直すということで、ほとんど革命に近いことであったと思います。

しかし90年代の冷戦崩壊と経済のグローバル化によって、日本にも階層が出現し、固定化する気配が出てきました。貧しい家庭は教育を受ける機会に恵まれず、その子供たちも貧しくなってしまうというサイクルです。かつての日本はそうでなかったことが強みだったのですが、公教育が破壊されたことで貧しい秀才が成り上がる道が閉ざされようとしています。

逆に豊かな家庭は子供にも最上の教育を受けさせることができます。豊かさは豊かさを産み、貧しさは貧しさを生みます。同じ国民でありながら、片や半永久的な支配者、片や半永久的な奴隷・・・。日本国内に植民地が出現したと表現してもいいでしょう。

すると、それぞれの階層を支持層に持つ政党が出現するのが自然です。たとえばアメリカの「共和党 vs 民主党」のように、大企業にやさしい政党と、そうでない政党に二分されたりする可能性があるということです。

二極化
  ↓
階層の固定化
  ↓
階層の対立
  ↓
二大政党制の定着

 

ただし、今の「自民 vs 民主」の状態で二大政党制が定着するとも思えません。というのも自民党はもともと保守からリベラルまで雑多なグループの集まりですから、階層の上と下のどちらの代表にもなれないからです。同じように民主党は旧社会党が幅を利かせていますが、中にはゴリゴリの保守派がいますから一概には言えません。

自分としては、自民も民主もなく思想が近い議員同士で「保守とリベラル」ぐらいに分かれてほしいと思っています。そうでないと、選挙ではっきりと自分の意思を示すことができないからです。特に比例代表制だと、ある人を応援するつもりで投票したのに、同じ党内で全く考えの違う人が当選してしまったりしてストレスが溜まります。

 

2004年のアメリカ大統領選挙では、「大都市=ケリー(民主党)」「それ以外=ブッシュ(共和党)」にはっきりと分かれました。大都市では進歩的でマスメディアの力が強く、それゆえ民主党が強いのもわかります。逆に地方は保守的でコミュニティの力が強く、共和党が強いのもわかります。階層の固定化と社会の二極化が進む先は、このような形なのかもしれません。
http://landship.sub.jp/stocktaking/archives/000533.html

日本でも一時期、「大都市=民主」「農村=自民」という住み分けがありましたが、最近ではそうでもなくなってきています。二大政党制でも多党制でもいいんですが、今のごちゃまぜ政党とは違った形で有権者が選択できるようになってくれるのであれば歓迎します。

2007年7月16日 (月)

社会の保守化とメディア(2)世代のサンドイッチ

「これだけ国際交流や貿易が盛んになっているのに、ホントに保守化しているのかな?」と疑問を抱く方々もいると思います。

これは私が体感しているだけですから異論もあるでしょう。ただ、昨年の中ごろに「日本の出生率は回復しているのではないか」と思っていたところ、今年に入ってデータを確認したら確かに少し回復していました。今回もそれほど的を外してはいないと感じています。

(ここでの「保守」とは、簡単に「伝統的価値観--慣習、宗教、美徳、道徳、政治体制などを尊重すること」とさせてください) 

 

ワイルドインベスターズは「日本を投資大国にする!」というミッションを掲げていますが、「日本の伝統文化を世界に発信する」というサブミッションもあります。別にそれがトレンドになると考えていたわけではなく、むしろ孤独で長い戦いになると思っていました(好きでやっているのでストレスにはなりませんけど)。しかし世間が意外と早く保守化して、伝統的な日本の価値観を再評価するようになったことに若干の驚きを覚えています。「異文化との交流が増えた分、自分が何者かと自問自答する機会が増えたのかな」などと考えたりもします。

己を知るということは、大人になる上で重要なプロセスです。それをもたらすものは仕事であったり恋愛であったりスポーツであったりいろいろあるわけですが、中でも強烈なのは異文化との触れ合いです。海外に出てゆく日本人や、日本に入ってくる外国人が増えるに連れ、そういったきっかけが増えてきたのでしょう。

若いころは、「人類はみな同じ」というナイーブな世界観を持つ傾向があります。ところが実際に他人と交流してすれ違ったりケンカしたりなんかすると、相手のことと同時に自分のことを考えるようになります。

「あれ、この人は自分と違うぞ?何が違うんだろう。どうして相手はそう考えるのか、そして俺はどうしてそう考えるのか。そもそも、俺はいったい何者なんだ?どこから来て、どこへ行こうとしているんだ?」

こうして考えると、いちばん近いのは恋愛かもしれないですね。私の経験から言うと、失恋によって己を知り、人間として成長する過程にすごく似ています(笑)。

 

これまではグローバル化だとか、万民平等だとか、戦争のない平和な社会だとか、それら自体は「進歩的」で理想的なスローガンのもとに様々な試みがなされてきました。しかしグローバル化で移民が増えると犯罪も増えるし、平等なはずの社会でも格差はなくならないし、武器を捨てても戦争はなくなりそうにない。さらに親殺し・子殺しまで増えてきて、「何か大事なものを失くしてしまったのではないか」と考えるようになったのではないでしょうか。

逆に今まで恥ずかしいと思っていたマンガ・アニメなどといった文化が世界で大受けして、茶道・弓道などといった日本の伝統文化がジャパンクールなどと言ってもてはやされている。マスコミが「日本は孤立しているぞ!」と叫んでいたはずなのに、2年連続で世界に最も良い影響を与えている国のトップに選ばれた・・・。

こうなると「自分たちが古くから守ってきた伝統や価値観は、世界でも評価されるぐらい価値のあるもの」だったのではないかと考え直すに十分なきっかけとなります。理想から見たらダメダメな国だけど、現実的にはかなりマシなんだなと。で、日本に生まれたことに感謝しちゃったりするわけです。

 

そういった保守化の理由を私は、

  1. 国際交流の増加
  2. ネットの普及
  3. 極左自虐教育の反動

ぐらいに考えていました。ところがもうひとつ、保守的な世代が政治や社会の中枢を担うようになったという新しい仮説を目にしました。少し古くなりますが、先月の読売新聞に載っていた岡崎久彦さんの世代論です。

岡崎氏は「様々な人がいるはずなのに世代で区切るのは誤解を招く」という危険を承知の上で、以下のように各世代を特徴付けています。本文では年齢で表記してありましたが、時間が経つと換算しなおさなくてはならないので、私が追加で(何年から何年生まれ)と表記しました。

2007年時点の世代分け
(by岡崎久彦氏 読売新聞2007年6月24日)

  1. 94- 歳(    -1913) 戦前世代。軍国主義の前に教育が終わる。大正デモクラシー。戦争指導の中堅幹部。
  2. 81-94歳(1913-1926) 大正生まれ世代。下級軍人として苦労した層
  3. 73-81歳(1926-1934) 昭和一桁。戦前教育を受けた第一世代。戦後に活躍。
  4. 57-72歳(1935-1950) 戦後教育第一世代。60年安保、70年安保をすごした。後半はいわゆる団塊の世代。
  5. 40-56歳(1951-1967) 戦前教育第二世代。学生運動が沈静化した分、親の影響を受けた。保守的、新米的。安倍首相、独メルケル首相、仏サルコジ大統領。
  6. 25-39歳(1968-1982) 戦後教育第二世代。戦後の自虐史観の絶頂期に教育を受けるも、柔軟性があり個人差が大きい。親子とも戦前教育を受けていない。団塊第二世代を含む。バブルを知っている世代と、氷河期しか知らない世代で分かれる
  7. -24歳(1983-    ) 新しい世代。自虐史観が衰退し、経済回復期にめぐり合った。国や民族の自信を回復した。

面白いのは戦後教育を受けた人々(4と6)の間に戦前教育を受けた世代の子供(5)が挟まっており、その層は保守的・親米的であるということ。安倍首相、独メルケル首相、仏サルコジ大統領がここに入っているので、政治家として今後「旬」を迎える人々は親米保守が多いのではないかという仮説を立てても面白そうです。ということは単純計算で、この先15年ぐらいは世界中で保守反動が起こりうるのではないかと。

 

で、ここから先は1965年(昭和40)年生まれである私の経験から話をします。

自分は昭和一桁の両親を持っていますから、「戦前教育第二世代」の最後のほうですね。北斗神拳で言えば末弟のケンシロウです(自分で褒めすぎ・笑)。まさか安倍さんたちが同じ世代だとは思ってもいませんでしたが。

実は自分が中学生ぐらいのころから、少し下の世代と自分たちを含む上の世代に「潮目」があることは何となく感じていました。というのも、自分たちの世代ぐらいまでは「上下関係は絶対。部活でしごきは当たり前。言い訳無用、くやしかったら実力で見返せ。」のような文化があったからです。

その下の世代のことを良く知っているわけではないですが、先輩に対してタメ口を聞いたり、友達と同じ扱いをするような話でした。これは自分にとっては信じられないことでした。

ある先生は「戦前の教育の影響が本格的になくなった」と表現していました。そのときはピンと来ませんでしたが、おそらく本当だったのでしょう。ただし岡崎氏の考えだとそれまでずっと戦前教育が影響していたわけではなく、戦後教育第一、第二世代の間に我々が戦前教育第二世代としてサンドイッチのように挟まっていたことになります。先生は戦後教育第一世代の人も多かったでしょうから、私たちのほうが特殊に見えたかもしれませんね(笑)。

 

で、戦中派とその子供たちに親米が多いことにも理由があります。

ひとつには「国際社会は力の勝負」という現実のもとに完膚なきまでにアメリカに敗戦し、「ボスはアメリカ、日本は子分」という順位付けが確定したことです。サルでもニワトリでもそうですが、群れの中でより高い順位を目指して(特にオスは)争います。しかしいったん順位ができてしまったら、上位の個体には逆らわずに従ったほうが、自分も死なずにすみますし群れ全体の秩序が安定します。アメリカに負けた日本がアメリカを尊敬して手を組むのは、生物学的にも間違っていません。

日本はアメリカとの決勝戦に負けましたが、幸い生き残ることを許されて世界第二位の経済大国に返り咲きました。政治的・軍事的にはまだまだですが、日本がその面にまで力をつけるとアメリカの地位を脅かすのでほどほどで良いと思います。一度負けたにもかかわらず副長の座を許されている国がトップを狙って上を陥れるのは、自分がその権力を完全に引き継げる自信があって、100%確実なタイミングに限られます。失敗すれば完全に消されますから、無理をしてアメリカと対立する理由はありません。日米が手を組んでいる限り、たとえ残りの全世界が向かってきても敵ではありません。その現実がわかっているので、日本を滅ぼしたい連中の日米離間策に乗るのは愚の骨頂だと考えます。

 

ふたつ目の理由は、アメリカと協力して共産主義と戦ってみたら、思ったより居心地が良くて繁栄できたということ。アメリカとしてもソ連との対抗上、西側諸国に貿易の門戸を開いて意図的に繁栄させたという側面もあります。それでも自分は日本の高度成長により幸せな時代に育ったという思いがあります。世界が平和であることはひとときもありませんでしたが、自分が育った時代の日本に戦乱がなかったのは、日米安保のおかげです。「アメリカは汚ねえ!横暴だ!」と思いながら、「でも他の狂人国家よりはるかにマシ」という現実的な判断があります。

 

それに加えて、「アメリカ万歳。ソ連は悪魔」という西側プロパガンダの影響もあります。アメリカもスパイ工作やプロパガンダは積極的にやっており、日本もそれにやられちゃったということは大人になってから知るわけです。しかし「負けちゃったものはしょうがない。それよりもアメリカから学んで、同じ失敗をしないように」と考える傾向が強いと思います。

ちなみに「過ちは二度と繰り返しませんから」という石碑を見ると、「過ち=負け戦」と解釈します。戦争自体は過ちでも、悪でもない。負けたから悪者にされるだけ。だったら次は、負けなきゃいいんじゃないかと考えます。そこが「過ち=戦争=軍隊=平和憲法死守=武器を捨てれば攻められない」と考える人たちとの大きな違いです。

 

こうして考えると、どうして自分が「消去法だけど確信的親米保守」なのかという理由がわかるような気がしてきました。自分としては当然の論理的結論であったとしてもそれはこれまで育った時代背景や教育があるからで、別の人は違う考えを持っていたとしてもまったくおかしくありません。中国大陸に幻想を持つ人たちの考えはさっぱりわかりませんが、彼らには彼らなりの背景があってそう考えるのだろうということは想像できます。

(続く)

2006年9月20日 (水)

自民党総裁選予想(2)

自民党総裁戦の結果が出ました!

(得票)  安倍  谷垣  麻生 無効 合計
議員票   267       66       69       1    403
党員票   197       36       67       0    300
合計      464      102     136       1    703

(比率)    
議員票   66.3%  16.4%   17.1%    0.2%  100.0%
党員票   65.7%  12.0%   22.3%    0.0%  100.0%
合計      66.0%  14.5%   19.3%    0.1%  100.0%

安倍さんは7割に届かなかったものの、充分に圧勝と言っていいでしょう。安倍氏の圧倒的優勢が伝えられたため、一気に安倍陣営に寝返った派閥もあれば、逆に「判官贔屓」「バランサー」「逆張り」的な反対票も入ったはずで、まあこんなもんでしょうか。

面白いのは麻生さんと谷垣さんで、議員票では互角なのに党員票ではダブルスコアとなっていることが見て取れます。これは前の記事で述べたように、議員票はぼぼマスコミの予想通りで、党員票はややネット寄りと解釈することもできます。私の予想は全体としてはからっきしでしたが(笑)、「安倍氏と支持層が重なって一部食われても、麻生氏は谷垣氏にほぼダブルスコアをつける」という予想だけは(党員票に限ってですが)悪くなかったと思います。

私の感覚では、ネット世論は世間に2年ほど先行するような感じがしています。そういった意味では、麻生氏のことが知れ渡るのに時間が足りなかったのかもしれませんね。麻生さんの人気がこれからどのように波及するのか、あるいはネットの世界だけで終わるのかに興味があります。

 

 そういえば安倍さんも拉致問題で奮闘しているうちにネットで評価されるようになり、それほど興味のなかった人たちにも知られるようになったと記憶しています。もちろんそれはネットの功績だけではないのですが、彼に対する数々のいやがらせやネガティブキャンペーンに対して反論し、守ろうとしたのもネットでした。

そういう意味では安倍総理誕生のタネは数年前にすでに蒔かれていたのかもしれません。で、タネを蒔いた当人たちはそんなこともすっかり忘れ、フラッシュを作って「麻生タソ萌えー」などと笑っていると。

 

まあ私としては

安倍氏=獰猛なゴールハンター(FW)命懸けで拉致被害者を救う
麻生氏=遊び心あふれる司令塔 (MF)相手をおちょくって翻弄

というフォーメーションを期待しておったのですが、逆でも不満ありません。勝手にポジションチェンジして暴れてください(笑)。

 

これからの動乱の時代に、強く美しい国を作り上げてくれることを安倍さんに期待しています。

2006年9月19日 (火)

自民党総裁選予想

今度の自民党総裁選でそれぞれの候補者の得票率を予想してみます。

現在のところ新聞や週刊誌などでは、下のような予想が多いようです。

安倍  麻生 谷垣
 6 :  2  : 2

しかし最近の一部マスコミは完全に「願望を大声で主張する機関」となってしまっているので、鵜呑みにするわけには行きません。ましてや彼らの世論調査はサンプルが偏っているようなので、投票権のある自民党員とはまた違った意見を持っているはずです。

誤解のないように付け加えますと、サンプルに偏りがない世論調査は難しいです。たとえば私はランダムな世論調査に当たったことは一度もありませんが、だからといって知らない人から電話がかかってきて「アンケートにお答え願います」と言われても答えないでしょう。すると答えてくれる人は限られてくるでしょうし、その人々がある種共通の考え方を持っていても不思議ではありません。だからこそ、そういった調査につきもののバイアスを考慮して予想しなければならないわけです。

 

そして世間では着実にネットユーザーがプチメディア化しており、いたるところで影響力を行使しはじめています。昨年9月の「自民圧勝」を、ネット世論を見て予想していた人もいます。同じ理由で、私は麻生さんがかなり得票するのではないかと予想しているのです。

こんな感じ↓↓↓

安倍  麻生 谷垣
 5 : 3.5 : 1.5

ネットの世界では麻生氏は安倍氏をしのぐ人気者であり、勝手に応援するサイトがあります。たとえばコレ↓↓↓

笑えるフラッシュがまた増えとる!
麻生太郎をこれでも本気で総理大臣にしたいと願うコーナー

 

もちろん安倍氏も同じぐらい首相にふさわしい人物と思われていますが、ネットでの麻生氏の愛され方はまた異常です。なぜこんなことが起こるかというと、

  • 「血筋がいいのに育ちが悪い」だとか
  • 「元オリンピック代表なのにまったく知られていない」だとか
  • 「ふてぶてしいのに憎めない顔」だとか
  • 「マンガを月に20冊は読み、下手すりゃ毎日2ちゃんねるを見てる」だとか

ネタに困らないキャラが受けているのでしょう。
さらに、

  • 「安倍さんがまじめすぎる人物に見えるのに対し、麻生氏は遊び人的余裕がある」
  • 「麻生さんは見た目よりトシなんだから、首相にならないのは惜しい人物だ」
  • 「急速な世代交代を怖がる議員は、麻生さんにがんぱってもらいたいかも」

などと、いろんなサポート要因があると思います。

 

今回の私の興味は、「自分が感じているネット世論と、本当の世論との間にどれぐらいギャップがあるのか」ということです(正確には「選挙権のある自民党員との間に」ですが)。

  1. もし麻生さんが安倍さんを脅かすまで得票を伸ばすのであれば、ネット世論はかなり自民の有権者に近いか、それに影響を与えると考えて良いかもしれない。情報の支配力が確実に変わってきている。
  2. 麻生さんと谷垣さんがほぼ同じであれば、マスメディアの世論調査は自民の有権者に近いか、それに影響を与えると考えて良いかもしれない。彼らの情報支配力は依然として強い。

このような興味を持って、自民党の総裁選を見ています。だから決して「盛り上がりに欠ける」とは思いませんね。

もっとも私はあまりテレビを見ないので、「鳥肌実は知っているのに、オリエンタルラジオを知らない」とか、「ちゅるやさんは知っているのに涼宮ハルヒは知らない」などと世間からはズレた知識を蓄えている可能性があります。そのあたりはディスカウントして聞いておいてください(笑)。

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