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2019年7月 5日 (金)

冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

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第93号 冷戦以来の再ブロック化 (3)米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

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この文章は会員さん向けメール

投資戦略アップデート(20190702)[特別] 米国からの破門状? - ホワイト国から除外された韓国

の公共性が高いと判断し、加筆修正のうえ公開するものです。

 

ただいま07月02日 11:36です。

 


韓国に対する実質的な制裁措置に関し、私自身が浅く考えていたかもしれないので再考のうえ報告します。

日本政府は韓国への輸出管理を見直し、フッ素化合物等の輸出を厳しくすると発表しました。

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半導体材料の対韓輸出を規制 政府 徴用工問題に対抗 来月4日から
産経新聞 2019.6.30 10:44
https://www.sankei.com/politics/news/190630/plt1906300004-n1.html
-------------------------------------------
政府は、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目の輸出規制を7月4日から強化する。いわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置。発動されれば、韓国経済に悪影響が生じる可能性がある。7月1日に発表する。

 政府は同時に、先端材料などの輸出について、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する。7月1日から約1カ月間、パブリックコメントを実施し、8月1日をめどに運用を始める。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づける。ホワイト国は安全保障上日本が友好国と認める米国や英国など計27カ国あり、韓国は平成16年に指定された。(略)
===========================================

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これらの素材は日本が世界シェアの9割を占め、韓国の産業に大きな打撃を与えると言われています。

ただし何か月も前から噂はあったので、日本政府やお役所が「ついにキレて」実質的な制裁に踏み切ったのだと私は思っていました。

理由を挙げ始めたらここ数年だけでもキリがありません。

-------------------------------------------
- 慰安婦合意を一方的に反故に
- 徴用工判決で日本企業資産を差し押さえ
- 国際観艦式で海上自衛隊に「他の国にも軍旗を掲げないよう求めた」とうそをついて旭日旗を掲げさせぬよう画策。そのくせ自分は李舜臣旗を掲げた。
- 自衛隊機にレーダー照射して逆ギレ謝罪要求
- 韓国の議長が「本人に直接言われた」と嘘をつき、天皇陛下に謝罪要求
- 海産物WTO逆転判決
-------------------------------------------

話をしてもわからないようだから、実害があることを認識させるために米国の許可を取って実行に移したのだと考えていました。

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しかしネットに「JAXA(宇宙航空研究開発機構)にいる韓国人研修員も帰国になる」という書き込みがあり、驚いて調べました。

キーワードは記事の第二パラグラフにある「ホワイト国からの除外」。

「ホワイト国」とは外為法に基づく輸出貿易管理令の別表第3の地域のことで、「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」という定義です。

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経済産業省 安全保障貿易管理
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/qanda13.html
-------------------------------------------
大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入している国については、
これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であり、俗称でホワイト国と呼んでいます。

正式には、「輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域」です。
具体的には、(以下抜粋)オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、 大韓民国、ニュージーランド、イギリス、アメリカ(抜粋終わり)の合計27ヶ国です。
===========================================

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そしてキャッチオール規制とは、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造につながりそうなものは大臣の許可が必要であるという制度らしいです。

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経済産業省 キャッチオール規制
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/anpo03.html
-------------------------------------------
 リスト規制品以外のものを取り扱う場合であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、
大量破壊兵器等※1 の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器※2 の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、
又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となる制度です。(略)

(※3)大量破壊兵器等:
 ・核兵器
 ・軍用の化学製剤
 ・軍用の細菌製剤
 ・軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
 ・300km以上運搬することができるロケット
 ・300km以上運搬することができる無人航空機
 ※部分品も含む。

(※4)開発等:
 開発、製造、使用又は貯蔵


(※5)おそれ省令 別表に掲げる行為:
 ・核燃料物質又は核原料物質の開発等
 ・核融合に関する研究
 ・原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
 ・重水の製造
 ・核燃料物質の加工
 ・核燃料物質の再処理
 ・以下の行為であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの、又はこれらの者から委託を受けて行うことが明らかなもの
  a 化学物質の開発又は製造
  b 微生物又は毒素の開発等
  c ロケット又は無人航空機の開発等
  d 宇宙に関する研究
   ※a及びdについては告示で定めるものを除く。
===========================================

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*****************************************************

これらをざっと読んで、次のように解釈しました。

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- 韓国は「大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白な国」から外された

- 大量破壊兵器や通常兵器の製造につながりそうな研究や輸出には許可が必要になり、おそらく実質的に弾き出されるということ

- 日本だけでやっても意味がないので、他のホワイト国からも弾かれるだろう

- これは米国を中心としたブルーチームからの破門状ではないか

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この仮説が正しければ各ホワイト国が足並み揃えて韓国を除外しているはずですが、まだそこまでは確認出来ていません。

仮にこれが正しいとしてすると、韓国に関連する企業や人物は先進国の先端技術から一斉に弾き出されることになります。

宇宙開発・ドローン・核技術・化学・バイオなどすべてにおいてです。

たとえば日本の大学や企業でこれら技術の研究している人物も、韓国籍であれば許可が必要になるはず。

そして許可が下りることはほとんどないと考えて良いでしょう。

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するとこれは「日本主導の制裁」ではなく、「米国陣営からの破門状」と考えるべきかもしれません。

「日本が徴用工判決に対抗」という小さな話ではなく、「米国が韓国を安全保障の枠組みから外した」という大きな意思決定なのです。

韓国が瀬取りや経済支援の形で北朝鮮を支援していることは、国連でも問題視されていました。

そして北朝鮮から中東へ、核ミサイルの技術や物資が流れているという噂もあります。

それらはもともと韓国が提供しているという疑いが強まり、ひょっとしたら決定的な証拠を掴まれたのかもしれません。

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日本の感覚だと、ある国籍の人々を企業や学校から一気に排除する事態は想像しにくいかもしれません。

しかしこの動きの本尊が米国であれば、否応なく従わなくてはなりません。

従わなければ「お前もレッドチームか」ということになり、会社や国ごと排除されるからです。

米国では中国からの留学生や労働者の排除が進んでいるようですが、それに習った動きになると考えます。

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米国政府も日本政府も、単なる脅しでホワイト国から外したわけではないと思います。

さんざん対話して熟慮を重ねた上で、血を流して守ってきた韓国を「切り離した」のです。

いまさら韓国が謝っても、元に戻れるものではないような気がしています。

実のところ、私もまだ実感が湧きません。

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マスメディアは「韓国切り捨て」の事実に気付いても、全力で隠そうとするでしょう。

米国が中国共産党政権を倒そうとしているのに、「貿易問題」にすり替えているのと同じです。

しかしこの動きはいずれ在韓米軍撤退などの、わかりやすい動きへとつながって行くでしょう。

資産価格もそれを織り込み始めるという前提で投資戦略を考えます。

 


(続く)

 

 

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冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風

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第92号 冷戦以来の再ブロック化 (2)日本・台湾には強烈な追い風

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間が空いてしまいましたが、動きが加速して来たので再開します。


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「グローバリゼーションが行き過ぎて、反動でブロック化する」

これは歴史上、初めての現象ではありません。

たとえば第一次世界大戦後にもグローバリゼーションが急速に進みました。

米国の景気は絶好調で、株価は際限なく上昇を続けました。

しかしその反動で生まれたのが大恐慌であり、ブロック経済であり、ファシズムです。

当時の供給過剰とデフレ圧力は、米国のニューディール政策でも止めることができませんでした。

計画経済を進めたソ連が輝いて見え、共産主義シンパが急増しました。

この流れは、第二次世界大戦へとつながって行きます。

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戦後しばらくして始まった東西冷戦。

これも形を変えたブロック経済と言えるでしょう。

米ソがお互いに核を持っていたため、直接戦火を交えることはありませんでした。

その代わり、各地で代理戦争や政府転覆工作が繰り返し行われました。

結果は、ココムなどで東側を経済的に封じ込めた西側の完勝。

東側諸国は国家破綻や分裂の憂き目に会いました。

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冷戦崩壊によって、西と東を分断していた「経済国境」が消滅しました。

東側にいた人々が西側へと移動し始め、情報技術の飛躍もあって、グローバリゼーションが加速しました。

ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に動き、グローバル企業が大きな利益を得ました。

調達先と販売先の選択肢が増えたことで、より有利な条件でグローバルに活動することができるようになったからです。

それによって先進国でも新興国でも、経済的な恩恵を受ける人が増えたことは間違ありません。

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しかしそれは、一部の「上級国民」に限られていました。

先進国で中流以下の国民は給料を削られながら新興国民と競争を続けなければなりませんでした。

それが行き過ぎて、国民のストレスが耐えられないほど高まってしまったのです。

グローバリストは「犯罪が増えても移民を受け入れろ」と圧力をかけます。

自国民の職が奪われても「自己責任だ」で切り捨てます。

自分たちの生活を守ろうとすると、右翼だの差別主義者だのと攻撃されます。

その反動で生まれたのが「トランプ大統領」であり、「英国EU離脱」です。

人々が声を上げ始め、それに共感する政治家が増えたことで、世界は急速に「ブロック化」しはじめたのです。

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これによって世界は、「政治的に」ブルーチームとレッドチームに分けられつつあります。

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ブルーチーム (米国とその同盟国)

レッドチーム (中国とその同盟国)
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しかし実は、フランスやドイツは「経済的に」米国とは別の経済ブロック(EUブロック)を夢見ています。

中国がそこに接近し、米国ブロックから得られなくなった技術や資金を欲しがるのは当然でしょう。

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現在はそれぞれの国や企業が命運をかけて、自分が所属するブロックを模索しています。

目立つところでは

- 英国はEUから離れて米国ブロックへ(だから嫌がらせされている)。
- 韓国は米国から離れて中国ブロックへ(北朝鮮と一体化)。
- 台湾は選挙により、米国ブロックからやや中国ブロックに傾いた

というのが現在の国際情勢です。

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中国ブロック (中国・ロシア・北朝鮮・韓国・その他) ← in 韓国

米国ブロック (米英日豪NZ台湾) ← in 英    ↑ out 韓国

欧州ブロック (独仏EU) ↑ out 英
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そう考えると、米国ブロックと欧州ブロックにまたがるルノー・日産・三菱自動車の奪い合いが起こるのも当然です。

仕掛けたフランスの背後には中国ブロックがいます。

阻止した日本の背後には米国がいます。

ブロックをまたいだ企業合併や技術移転に対する国家介入は、今後ますます増えることでしょう。

それが歴史の必然なのです。

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ということで、

- 別の経済ブロックで利益のほとんどを上げている企業
- 別の経済ブロックの製品・サービスを利用することで利益を上げてきた企業
- 米英日に上場されているが、実質的に他の経済ブロックに属する企業

に対しては特別な注意が必要です。

国家が強く介入するため、突然大きな市場を失ったり製品・サービス供給を遮断されて競争優位を失う可能性があるです。

ルノー日産しかり。華為(ファーウェイ)技術しかり。

この流れが読めなければ、経済的な損失だけでは済まなくなると思います。

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しかしこれは日本や台湾にとって、強烈な追い風となるでしょう。

中国や韓国に流出していた技術や資金を、米国経済ブロック内で回すことになるからです。

またそれによって、米国経済ブロックの中間層は大復活を遂げると思います。

うまく行けば少子化に歯止めがかかるかもしれません。

日本の高度経済成長は、東西冷戦のさなかに起こりました。

あの夢が再び、戻って来るかもしれないのです。

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しかし気になるのは、安倍首相が中国に接近していること。

尖閣を取られそうになっているのに、G20前の首脳会談で関係改善を誓いました。

習近平氏を国賓として招けば、お返しとして天皇陛下を訪中させようとするでしょう。

六四天安門事件後に中国共産党を救った結果、侵略され脅されている過ちを繰り返そうとしているのです。

 


(続く)

 

 

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2019年4月 3日 (水)

冷戦以来の再ブロック化 (1)行き過ぎたグローバル化の反動

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世界が冷戦以来のブロック化に向かっていることは、すでに「投資ブログ」等で述べました。

米中貿易戦争も、華為(ファーウェイ)副会長逮捕も、中国製通信機器排除もすべて同じコンテクスト上にあります。

その根底には米中の覇権争いがあり、欧州・ロシア・中東諸国はその隙間で独自の動きをしています。

無関係に見えるような出来事が、根底では密接につながっています。

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約50年ぶりの対中政策大転換 (8)経済ブロック化によって増える国家介入
【週末だけのグローバル投資】 2018年12月02日11:40
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51257284.html
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そこで今回は歴史的な流れを整理し、「この先起こること」を主に地政学的な観点から考えてみたいと思います。

「冷戦以来の再ブロック化」

が理解できなければ、戦略を誤って大きなリスクに巻き込まれてしまうでしょう。

流れとしては以下の通りです。

---------------------------------------------

  1.  冷戦終了で経済障壁が消滅し、グローバル企業にとって「新大陸」が出現した(1991年)
  2.  競争がグローバル化し、「国際分業と淘汰」「新興国の急速な発展」「先進国の雇用縮小と格差拡大」が進んだ
  3.  情報技術の発展がそれに拍車をかけた(1990年代後半から)
  4.  先進国では中流階級以下の不満が高まったが、マスメディアや自称リベラル団体が弾圧した(2000年あたりから)
  5.  生存を脅かされた人々が、自分を守ってくれる政治家を応援し始めた(2010年あたりから)
  6.  中国の「真の意図」に気付いた米国が、『潜在敵国』へと認識を改めた(2018年10月)
  7.  米国は50年ぶりに対中政策を転換し、経済ブロックを構築しようとしている。

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*****************************************************

今回のグローバル化の発端は、ソ連崩壊(1991年)でした。

実のところまだ30年も経っていないのです。

米国(NATO)の西側は、ソ連(ワルシャワ条約機構)の東側との冷戦に勝利。

東側諸国には民主化と資本主義化の波が訪れ、西側への来訪や移民が自由化されました。

これは特にグローバル企業にとって、「新大陸」が出現したのと同じでした。

まだどの資本にも支配されていない巨大な市場や、原材料・人材の調達先が現れたということだからです。

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東側諸国は混乱し、内戦やクーデターが起こりました。

しかし「政治制度は民主化、経済は自由化」へと向かっていました。

その中でロシアの新興財閥(オリガルヒ)のように、経済的に力をつけて政治まで動かす勢力が出て来ました。

西側のグローバル企業は、そのブランド力で旧東側諸国に製品やサービスを売り込みました。

旧東側の国々はハリウッド映画を見て、マクドナルドでコーラを飲むようになりました。

また旧東側の安い地代や人件費に目をつけて、生産活動を行うようになりました。

グローバル企業にとっては、「新市場の開拓」「より安い生産地の確保」によって、サプライチェーンを強化することができたのです。

その結果、グローバル企業の利益は大きく伸びました。

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経済国境の消滅は、

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  1. 国際分業と淘汰

  2. 新興国の急速な発展

  3. 先進国の雇用縮小と格差拡大・階級の固定化と対立

---------------------------------------------

を招きました。

たとえば旧西側で作ると1000円かかるものが、旧東側で作ると100円だったりしたのです。

するとグローバル企業は旧西側の拠点を閉鎖し、旧東側へと移します。

人件費や地代が安い新興国で作り、それらが高い先進国で売れば、利益は何倍にもなります。

その「裁定機会」を最大限に生かすことができたのは、グローバル企業だったのです。

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その動きに拍車をかけたのが1990年代後半のIT革命です。

情報技術の発展は、地域差や時間差を埋める働きをしました。

日本人向けのサポートセンターを大連に置けば、コストを抑えることができます。

米国時間にインドに向けてコンピュータプログラムを発注しておけば、次の朝には受け取ることができます。

そういった「国際分業」を積極的に進めた企業は大きく利益を伸ばし、そうでない企業は敗退しました。

強い国際競争によって淘汰圧がかかり、企業はM&A(合併・買収)によって集約されて行きました。

それまでは、国際競争が激しい業界であっても各国で5位ぐらいのシェアを持つ企業ぐらいまで生きて行けました。

しかしそれ以降、世界で5位以内であって生き残れるかどうか怪しくなってきたのです。

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先進国の資金と最新技術が導入されたことで、新興国は急速にキャッチアップを始めました。

それまで先進国民に支払われていた賃金や地代が新興国民に渡り、消費を押し上げました。

その中でも巨大な人口と国土を抱えるブラジル・ロシア・インド・中国に期待が集まり、BRICs(ブリックス)と名付けられました(2001年)。

それらの国でオリンピックやワールドカップが立て続けに行われました。

サブプライムショック(2007-09年)で資源価格が崩落するまで、BRICsはいずれG7を超えるだろうと予測する人々もいました。

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「人の移動」もまた、大きなインパクトを与えました。

ソ連崩壊後の混乱で、旧東側諸国から西側諸国に移住した人々は多いです。

戦争が減った代わりに、部族闘争・宗教紛争・テロなどが増えました。

たとえ戦乱がなくとも、より豊かで自由な環境を求めて人々は先進国へと移動しました。

地方の若者が都市部に集まるのと同じ現象が、世界規模で起こったのです。

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彼らの多くは単純労働者として先進国で働き始めました。

祖国では貴族だったり資産家であった人々も、地位や財産を失ってその動きに加わりました。

こうして先進国では単純労働者の供給が増え、彼らの給料は相対的に低く抑えられました。

割を食ったのは、もともとそこで働いていた先進国民です。

1990年代後半のドットコムバブル期でさえ、単純労働の賃金がなかなか上昇しなかったのです。

しかしおかげで賃金インフレ圧力が顕在化しにくくなり、景気拡大と株価上昇が長期化しました。

この現象は「ジョブレスリカバリー(雇用なき景気拡大)」と呼ばれました。

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結局、冷戦終了による経済国境消滅で利益を得たのはグローバル企業でした。

それは「先進国の雇用縮小と格差拡大」を招きました。

グローバル企業はサプライチェーンを世界に拡大し、未曽有の収益を上げました。

またグローバルIT企業も、独り勝ちしやすい構造のため世界市場で独占的な利益を得ました(マイクロソフト・アマゾン・グーグルなど)。

そのほとんどは先進国企業でしたが、そのうち新興国からも先進国企業を「喰って」成長する企業が出現しました。

その恩恵を受けた人々は先進国側にも新興国側にもいて、経営幹部や投資家はそこから大きな利益を得ることができました。

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しかし人数としては、そうでない人々の方がずっと多数派でした。

IT技術によって減った雇用を、他国にいる労働者や自国に入ってきた移民と奪い合うことになったからです。

グローバル企業はますます豊かになって、国や地域への発言力を強めました。

逆に国や地方は疲弊した人々を救うために借金を重ね、硬直化して行きました。

「市場 vs 国家」の力関係は大きく市場側に振れ、まるで国家が消滅するかのような論調も出始めました。

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先進国の中流階級や労働者階級にとって、グローバル化は悪夢でした。

雇用は不安定化し、直接・間接に賃金を削られました。

移民・難民の流入で治安が悪化し、社会保障の負担が増しました。

欧州では、住み着いた国をイスラム化すると公言する政党も出現しています。

*****************************************************

各国で「格差拡大」「階級の固定化」「階級対立」が激化しました。

新興国はもともとそのような国が多いため、経済成長が続いている間は不満を覆い隠すことができるのかもしれません。

しかし先進国、特に中流以下の人々にとって不満は高まるばかりでした。

*****************************************************

時間が経つにつれ、先進国民の不満は抑え切れないまでに膨らんできました。

ネットの発達によって、自称リベラル派やマスメディアの世論操作が効かなくなってきたこともその理由です。

その結果が

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- 第二次安倍政権の誕生(2012年12月)であり

- 国民投票による英国のEU離脱(2016年6月BREXIT )であり、

- トランプ大統領の誕生(2016年11月)であり、

- マリーヌ・ル・ペン氏のフランス大統領選挙決選投票進出(2017年5月)であり、

- それ以降も各国で進んでいる右派政党躍進
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でした。

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*****************************************************

そして2018年10月、ペンス米副大統領演説によって米国は

中国を『パートナー』から『潜在敵国』へ

とクラスチェンジしました。

こうなると、もはや再ブロック化への流れは止められません。

 

 


【参考】
対中政策50年ぶりの大転換 (1)全面対決を打ち出した米トランプ政権
http://wildinvestors.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/50-1-43f8.html

対中政策50年ぶりの大転換 (2)ペンス演説は歴史的ターニングポイント
http://wildinvestors.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/50-2-b377.html

 


(続く)

 

 

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2019年3月27日 (水)

全体主義ウイルスに冒される日本 (2)えっ!「永久にお蔵入り」じゃないの?

 

前回記事は小ネタとして終わらせるつもりだったのですが、そのあと知ったことや考えたことについて書きます。

きっかけはある市民団体が、作品自粛を撤回するようNHKや松竹など5社に要望を提出したというニュースです。「自粛しろ!」ではなく「自粛するな!」という要望なので、私も最初は混乱しました。

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瀧容疑者出演作の自粛撤回を要望 市民団体、NHKや松竹などに
2019/3/26 19:12 共同通信社
https://this.kiji.is/483216560272704609
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ギャンブルや薬物への依存症問題に取り組む市民団体が26日、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者(51)について、出演作の公開中止や販売自粛をやめるよう求める文書を、NHKや松竹など計5社に提出したと発表した。

市民団体は「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」。要望書は、相次ぐ自粛の動きを「あまりにも厳しすぎる制裁」と批判。これらが繰り返し報道されることで「薬物使用が発覚したら社会的に抹殺されるという恐怖感があおられ、相談につながる勇気を阻害する」と訴えている。
*****************************************************

この市民団体の主張は、よくわかりません。

なぜピエール瀧さんだけ限定で、麻薬で逮捕された他の人に対して同じ援護をしないのですか。

「薬物使用が発覚したら社会的に抹殺」って、その抑止力を狙った刑罰なんですけど。

「相談につながる勇気を阻害する」って、中毒者はバレるまで相談なんかしませんって。

「自粛はやめるべき」という結論こそ私と同じですが、理由やロジックがよくわからないので賛成できないのです。

 

案の定、掲示板では意見が分かれて荒れています。

しかしそこから新たに知ったこともあるので、いろいろ考えてみました。

まず、私の意見から整理してみます。

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  1. 麻薬犯罪の当事者に対してはさらに厳しく取り締まるべき。日本は罰則が緩く、特に芸能人に対して業界が甘すぎると考える。

  2. 一方で、芸術作品や言論に対してはおおらかな社会であって欲しい。

  3. したがって、関連した作品を「永久にお蔵入り」させることには反対。関係した人々に無限連帯責任を負わせると創作意欲を失うし、社会コストが膨大になるから。

  4. 「どの作品を」「どの期間」「いつまで自粛するのか」の線引きが難しい。出版社や新聞社の人が麻薬で検挙されたからといって、雑誌・本・新聞が出版差し止めになったという話は聞いたことがない。ずいぶん不公正で場当たり的だと感じる。

  5. ある人物を最初から「いなかったことにする」などと、全体主義的な扱いを許すべきではない。功罪含めて足跡を残し、そこから何を感じるかは後世の人々に任せたい。

  6. 仮にその作品を目や耳にすることで苦痛に感じる人がいるのなら、裁判に訴えてそれを差し止める権利は当然ある。

  7. 作品と人格は別」としておけば、社会的影響など考えずにガンガン検挙することができる

  8. 表の世界では発表できない作品が増えると、裏社会や転売屋の収益源になってしまう

  9. 日本のエンタメ業界や特定の作品潰しに利用できそうで、マイナスが大きい。日本の作品を「勝手に自粛」させておいて、代わりに放送される外国作品では犯罪者が出まくりだったりして。外国作品の出演者まですべてチェックしきれませんって。

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 ちなみに週刊文春がアンケートを採った結果、約65%の人が「お蔵入りに反対」としています。私のような意見は少数派かと思いましたが、そうでもないのですね。

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「反対:65%」ピエール瀧逮捕で考える「お蔵入り」問題 アンケート結果発表
2019/03/19「週刊文春」編集部
https://bunshun.jp/articles/-/11107
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3月12日、ミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者(51)が、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことを受け、出演作品が次々と“お蔵入り”状態になりつつある。

 そこで、小誌メルマガ会員対象に緊急アンケートを実施。逮捕俳優作品の“お蔵入り”対応の是非を問うた。3月14日~18日の5日間限定のアンケートだったが、1000超の回答が寄せられた。
アンケートの結果は下記の通り。回答者は6割が男性、4割が女性で、下は16歳から上は90歳まで。全体の6割以上が「お蔵入り反対」だった。特筆すべきは、「お蔵入り賛成」に男性の20%超が投票したこと。「お蔵入り賛成」の女性票は12%にとどまった。(略)

【全投票の分布】
反対:703票(65%、男性:406票 女性:297票)
賛成:189票(17%、男性:133票 女性:56票)
どちらとも言えない:192票(18%、男性:100票 女性:92票)
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しかし掲示板などの書き込みを見ると「犯罪者は歴史から抹殺」「作品は永久にお蔵入り」と強硬に主張する人が目立ちます。その理由はほとんど感情的なもので、社会コストや日本のエンタメ業界のことなど考えていないように思えます。不寛容な人々の声が大きくなり、寛容な人々の意見が通りにくくなっているのかもしれません。

その中でもちらほらと、参考になる書き込みがありました。

 

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カバー曲は自粛されていない。本人の出演がNGで、作品は別と考えられているから。
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ほう、そのような線引きがあるのですか。これは勉強になりました。

 

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一時的に自粛するのは企業が身を守るためと、作品を「永久にお蔵入り」させないため。
執行猶予や刑期満了で再販されるようになるから、静かに待っていろよ。
*****************************************************
 

えっ!
自粛ってそのうち解けるものなんですか?

確かに「自粛」ですから、「禁止」とは違いますけどね。

ということは回収された作品も、そのうち市場に出回るってこと?

作品リストの「期日管理」をしながら、ひっそりと解禁日を準備している人がどこかに居るということですか?

確かに「いよいよ解禁!あの禁断の作品が!」と宣伝するわけにも行かないことも理解できますけどね。

しかし忘れた頃にひっそりと解禁されているのだとすれば、同情する気持ちが急速に薄れて来ました(笑)。

 

「作品自粛は執行猶予判決や刑期満了をもって解禁となる」

この基準が本当に適用されているのかどうか、自分にはわかりません。

ドラマや映画を見ないしタレントも知らないので、過去の事例の積み重ねがないからです。

検索しても手がかりが得られないのは、自粛ルールが「個別対応の不文律」だからでしょうか。

 

もし自粛が「一時的かつ『本当に』自発的」なものであれば、私としてはそれに反対する理由が薄くなってしまいますね。

できれば『当面は自粛』と表現して解禁の条件や期日まで示してくれたら、余計な心配をせずに済むのですが。

一方で条件や期日を明らかにしてまうと、うるさい人々が湧いてきて「ひっそり解禁」すらできなくなることも容易に想像できます。

「犯罪者は歴史から抹殺」「作品は永久にお蔵入り」と主張して暴れ出すことでしょう。

そのような不寛容な人々に絡まれないよう、あえて「あいまい戦略」を採用しているのかもしれません。

 

繰り返しになりますが、私は麻薬犯罪に対してはさらに厳しく取り締まって欲しいと考えます。

現状は日本の国自体が甘すぎで、その中でも芸能界は大甘だと感じています。

しかし一方で、芸術作品や言論に対してはおおらかな世の中であって欲しいと願っています。

それが自由主義の国で生まれた喜びのひとつであり、豊かさの土台を支えていると考えるからです。

(終)

 

 

2019年3月24日 (日)

全体主義ウイルスに冒される日本 (1)芸能人不祥事と作品自粛

 
今回は国際情勢と関係なさそうで、実は大いに関係のある話。

最近は芸能人の不祥事があると、その人に関連した楽曲・ドラマ映画・ゲーム等の発表を自粛する雰囲気があります。しかしこれは全体主義的で、自由な国がやることではないと感じます。韓国が冒されたものと同じ全体主義ウイルスが、日本のあちこちに広がっているようです。
  
ピエール瀧氏がコカイン使用で逮捕されたことで、波紋が広がっています。たとえば関連した音楽を止めるとか、映画の発表を中止するとか、ドラマを撮り直すとかです。そのために生じた損害賠償が巨額になるとも言われています。昔はこんなことなかったと思うのですが、騒動が年々大きくなってゆくような気がしています。
 
出演者のひとりでも後で罪を犯せば作品自体が「なかったこと」にされるのであれば、音楽・映画産業は大きな打撃を受けるでしょう。
その損失をアーティストに被せても到底払えるものではありませんし、リターン/リスクを考えるならアーティストやタレントにならない方が良いということになります。自分がしっかりしていても、チョイ役が何かしただけでそれまでの苦労や投資が水の泡になるからです。
 
全体主義国家では、ある人物が失脚すると昔の写真や名簿から「削除」されます。
それまでの功績はおろか、存在そのものが「なかったこと」にされるのです。
ある人物が逮捕されただけで関連する作品を自粛させることは、まるっきり全体主義者のやり方です。
それが日本の芸能界にも広がっているような気がするのです。
 
自粛することが普通になれば、「どこまで、いつまでやるのか」という線引きが難しくなります。
役を与えられていない通行人でも、顔がはっきりわかるように出ていればアウトなのか。
監督やディレクターやスタッフが不祥事を起こした場合はどうなのか。出演者でなければOKとするのであれば、そのような差を設ける根拠は何なのか。
自粛期間は10年ぐらいなのか。それとも永久にお蔵入りなのか。それらのことはいったい誰が責任を持って決めるのか。
 
これらのことは全て、
考えるだけ無駄
と思います。

 

過去の作品を消したり、変えたり、また復活させるような無駄な仕事は誰にもやらせるべきではありません。
芸術作品を生み出す人々に「無限連帯責任」を負わせるようになれば、誰も作品を発表しなくなるでしょう。
彼らが後々のことを心配しなくても済むように、「作品と人格は別」という原則を打ち立てるべきだと思います。
 
その作品を不快に思う人がいたとしても、それは個人の感想に過ぎません。
もちろん被害者がどうしても不快だというのであれば、裁判を起こして発表を差し止める権利はあります。
しかし原則として、「タレントや関係者の不祥事が起きても、作品の発表自粛や販売停止はしない」とすべきなのです。
 
謎ルールを増やして前向きな仕事をさせないのは、全体主義者が喜ぶシステムです。
サイコパス的な支配者は意味のないルールを作って人々の忠誠心を試し、みなが混乱する様子を楽しみます。
日本もその方向に着々と向かっています。
 
最近驚いたのは「訪問先で出されたお茶は飲んではいけない」というビジネス謎ルールですね。いまだかつて聞いたことがありませんでした。だったらもうお茶なんか出さなくていいんじゃないでしょうか。
 
「どうでもいいじゃないか」「他にやることないのかよ」と思うようなルールが次々に設定されています。
日本のあらゆる組織に、ヒマで意地悪な文句タレがはびこっているような気がしています。韓国のことを笑ってはいられません。
 
(終)

 

 

 

2018年12月29日 (土)

海軍までレッドチーム入りした韓国 - 日本は全体主義ウイルスを防げるか

 

韓国の軍艦が日本のEEZ内で日本の偵察機をロックオンし、騒ぎになっています。

「レーダー照射などしていない」

「北朝鮮の船を捜索していた」

「海が荒れていたのであらゆるレーダーを動員した」

「日本側が低空飛行で威嚇した」

「やっぱりレーダー照射などしていない」

韓国側の言い訳は二転三転し、証拠の映像を出すと「友好関係を損なう」と逆ギレを始めました。


韓国の事をよく知らなかった人は、「いったいどうしたのだ?」と不思議に思うかもしれません。

しかし歴史を知っている人は、あまり驚かないと思います。

自分から手を出して咎められるとシラを切り、謝罪と賠償を求めるのはいつも通り。

「格下」の日本人に謝ると自分の序列まで下がってしまうので、絶対に謝ることは無いでしょう。


この件ではっきりしたのは、韓国は海軍まで北朝鮮や中国の支配下に入ったということ。

米国の支援によって作られた軍隊が、その装備を持ったまま敵方に寝返ったのです。

米日英カナダなどが北朝鮮への制裁で近海を監視していますが、その目を盗んで援助しているのでしょう。

そう考えると、以下の謎がすべて解けてしまいます。

------------------------------

  • なぜ韓国の軍艦が日本のEEZ内で、国旗や軍旗を掲げずに黙って北朝鮮の船と接触していたのか。
     
  • 日本の偵察機に呼びかけられても、応答しなかったのはなぜか。
     
  • 日本の偵察機をロックオンしてまで追い払おうとしたのはなぜか。
     
  • 北朝鮮近海では監視が厳しくなり、「瀬取り」しにくくなったことと関係があるのか。
     
  • 北朝鮮の船が北海道に多数「漂着」していることと関係があるのか。

------------------------------


韓国がいくら怒って「やってない!」と否定しても、日本と米国はデータを共有しています。

すでに韓国は米国の軍事システムから切り離されつつありますが、最も強いつながりを自分で切った形となりました。

韓国がブルーチームに戻る可能性は、ほとんどゼロになったと思います。

---------------------------------
[レッドチーム]  中国 ・ 北朝鮮・ 韓国
---------------------------------

↑↓ 対立

---------------------------------
[ブルーチーム] 米国・日本・英国など
---------------------------------


伏線はありました。

10月11日の国際観艦式で主催者の韓国が「旭日旗を上げるな」と日本にだけ要求し、海上自衛隊は参加を拒否しました。

11月20日に日本のEEZ内で操業していた日本漁船に対し、韓国海洋警察が「操業を止めて海域を移動せよ」と命令したこと。

もはや北朝鮮は朋友となり、主敵は日本なのです。


この狙いは見え透いています。

まず中国が南シナ海や尖閣を奪おうとしている手口を見習って、日本のEEZに「民間漁船」が多数押し寄せます。

先進国が簡単にそれを撃てないことを知っているからです。

「自称・市民団体」のデモ隊が、子供を先頭に突っ込んで来るのと同じです。

次にその保護という名目で、政府の船を出します。

憲法で武力を放棄している日本は、これに手を出すことができません。

李承晩ライン」で日本の漁民4000名を人質に取り(5名死亡)、言うことを聞かせたという「成功体験」にも味を占めているでしょう。

そうして日本のEEZを実効支配しようとしているのです。


マスメディアは韓国を「友好国」「大人気」ともてはやします。

しかし現状は中国や北朝鮮の手先であり、友人のふりをして近づいてくる敵なのです。

彼らは北朝鮮の核を守り、北朝鮮の船を守り、日本の偵察機に武器を向け、日本の島やEEZを奪います。

口先で「友達」と言えばマスメディアが実態を誤魔化してくれるので、舐め切ってやりたい放題しているのです。


全体主義ウイルスに侵されて、全体主義ゾンビとなってしまった韓国。

しかし日本にも同じウイルスが蔓延していますから、他人事ではありません。

このまま交流を続けていれば、日本もレッドチームに乗っ取られて米国と戦うことになります。

「今の日本に対する韓国の姿」は、「将来の米国に対する日本の姿」になりかねないのです。

まずは渡航ビザを再開するなど、早急に対策すべきと思います。




[参考図書]

ジャパンヘイターとサイコパス支配: 善意で滅ぶ先進国


(終)

2018年10月31日 (水)

対中政策50年ぶりの大転換 (7終)中国の戦略を見抜くための参考図書

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メルマガ版 『それを教えちゃマズイだろ!』

第89号 対中政策50年ぶりの大転換 (7終)中国の戦略を見抜くための参考図書

不定期発行
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                        安間 伸 
                        Shin Amma, CFA
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では最後に、中国の戦略を見抜くヒントとなる参考図書をご紹介します。

日本はこの分野で相当の積み重ねがあり、少なくとも西欧諸国よりは読者の裾野が広いと思います。

たとえばアマゾンの本で「史記」を検索すると約900、「孫子の兵法」500超がヒットします。

しかし今回紹介するものは、ごくベーシックなものです。

他の良書には申し訳ないのですが、ご容赦願います。



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1. 史記

2. 六韜(りくとう)・三略(さんりゃく)

3. 孫子の兵法

4. 資治通鑑(しじつがん)
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1. 史記 (司馬遷)
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歴史や古典は、まずマンガで概略を頭に入れてしまうとすんなり理解できます。

そこで「史記」の面白さ知るために、私がお薦めするのはこれ。

全10巻ですが、1巻から5巻まで合わせた大合本(kindle版)が無料で読めることがあります。

なんと太っ腹!

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史記 大合本1 1~5巻収録 Kindle版

史記 大合本2 6~10巻収録 Kindle版

---------------------------------------

これを読むと、策略が次々に展開されます。

仲直りの酒宴を開いて殺す。

講和を結んだ後に背後から襲う。

敵の名将・名軍師を罠にかけて敵の王自身に殺させる。

毒殺・謀殺・替え玉・偽手紙・自作自演・乗っ取り・裏切り・讒言なんでもあり。

はいはい、まさに中国ですねー」という感じ。

これを2500年以上前からやっていたのですから、古代中国はいろんな意味で凄かったのです。


特に呉の伍子胥(ごししょ)・孫子と、越の范蠡(はんれい)の駆け引きに痺れます。

敵に貢物をして腑抜けにしたり、米を借りて育たない種籾で返したり、戦争ばかりするよう煽ったり。

范蠡は引退時のリスク管理も見事だったそうで、見習いたいですね。


有名な故事ことわざの由来も盛りだくさんです。

漢文の授業で苦労している人も、これならスラスラと頭に入るでしょう。

ただしちょっと大人向けのシーンがありますので、子供に読ませるときは注意してください。


=======================================
2. 六韜(りくとう)・三略(さんりゃく)
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「敵の中でバカが権力を持つように仕向けよ。そうすればやがて滅ぶ」

で有名になった六韜です。

今の先進国ではそんな人々が権力を握っているような気がしてなりません。

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六韜 (中公文庫)

三略 (中公文庫BIBLIO S)

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3. 孫子の兵法
=======================================

孫子の兵法は数多くありますので、好きなものを読めばよいと思います。

あまり有名でない計略も、それなりに奥が深いです。

私はこんな感じのやつを、古本屋で買って読んだ記憶があります。

---------------------------------------
孫子

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4. 資治通鑑(しじつがん) 司馬光
=======================================

ピルズベリー氏によると、毛沢東や中国の指導者たちがこれをじっくり読み込んでいるとか。

紀元前403年の戦国時代の始まりから、959年の北宋建国前年までの1362年間を収録した帝王学の書、らしいです。

私は世界史で名前を知っているぐらいですが、実際に読んだ人は少ないかもしれません。

アマゾンで検索しても、28件しかヒットしないのです。

この本には何か大きな秘密があるのではないかと感じ、図書館に行って借りてみました。

---------------------------------------
資治通鑑選(1980年) 中国古典文学大系
平凡社
リンクなし
---------------------------------------

抄訳のはずなのに、けっこうヘビーです。

なかなか進まないので挫折しそうになります。

そこで、「読みやすい」というレビューが目立つこれに惹かれます。

 ↓ ↓ ↓

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徳田本電子版 全訳資治通鑑 1 戦国時代 Kindle版
司馬 光 (著), 徳田 隆 (翻訳)

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徳田さんという方が訳しているのでしょうか。

時代のニーズをとらえた、ありがたいチャレンジです。

実は資治通鑑でヒットする28件のうち、ほとんどがこのシリーズなのです。

しかし現在「22」までシリーズが出ていますが、資治通鑑294巻のうち巻69で三国時代まで終わったところ。

単純計算でまだ4分の3が残っていることになります。

この先を楽しみにしていますが、まともに全巻買うとかなりの金額になります。

kindle unlimitedに入って一気に読むか…。

(実は私、読み放題に入ったらそれだけで人生が終わりそうな気がして避けていたのです)


資治通鑑に関しては私も調査中ですので、進展があったら追記いたします。


(終)




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2018年10月30日 (火)

対中政策50年ぶりの大転換 (6)北京の罠に日本が自滅する日

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第88号 対中政策50年ぶりの大転換 (6)北京の罠に日本が自滅する日

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今回のタイトル「北京の罠に日本が自滅する日」は、1980年に大和啓一郎氏が書いた著作です。

この方はその後、平松茂雄(ひらまつ しげお)のお名前で中国関連の本を多数、記して言います。

当時私は中学生でしたが、中国ブーム・シルクロードブームの真っ盛りでした。

そのような世相に真っ向から反対する本だったので、強く印象に残っていました。


同時期に読んで面白かったのは、小室直樹氏の「ソビエト帝国の崩壊 - 瀕死のクマが世界であがく」。

私がこの著者たちの洞察力に驚愕するのは、ずっと後になってからのことです。

それぞれ中国の軍事的脅威が明らかになる20年以上前、ソ連崩壊の10年以上前に書かれたものですからね。


しかし小室さんはともかく、平松さんのほうはあまり世間に知られていないのではないかと思います。

(私がテレビを見ないだけで、失礼なことを言っているかもしれませんが)

2006年の「中国は日本を併合する」が話題になったぐらいでしょうか。

実は私も平松さんと「北京の罠に日本が自滅する日」の大和啓一郎氏がつながっていませんでした。

93年の段階で中国の海洋戦略について書いているのは本当にすごいと思います。

私はずっと後になって「ソ連崩壊 → 北方背後の懸念なし → 海洋進出本格化 → シーレーンで日米と衝突」と気付いたぐらいですから。


そして、このような人物がいることを世間に知られないようにするのが「統一戦線工作」のキモなのです。

マスメディア・教育機関・役所に圧力をかけ、自分の戦略を見抜く賢者を「自主的に」排除させます。

そうすれば、勝利はおのずと転がり込んでくるでしょう。

なにしろ相手は自分が攻撃されていること自体に気付いてないのですから、何をやられたかわからないまま死んでゆくのです。


その代わり、自分に都合の良い人物をカリスマとして祭り上げさせます。

まさに「六韜」に書いてあるように、スパイや無能を敵国で出世させて滅ぼすのです。

A新聞の尾崎秀実

が、近衛内閣のブレーンとして日本を敗戦に導いたように。

親中憎日の「外交の天才」

が、米国で半世紀も影響力を振るっていたように。

マスメディアを支配し、権威付けし、世論を操り、相手の力を利用し、抵抗させないまま殺すのです。

中国の古典は、これを「上策」としています。



さて今月、安倍総理は久々に訪中して各種協力を約束してきました。

米欧が団結して中国共産党に立ち向かおうとしているこの時期に、なぜそんな危険なことをするのかと思います。

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安倍総理の訪中(全体概要)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_004452.html#section2
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中国はピンチに陥ると、日本に甘い声をかけて利用しようとします。

欧米から得られなくなった資金や技術を、日本から得ようと思っているのでしょう。

いま欧米では、中国の軍事侵略・民族宗教弾圧・臓器ビジネスに対する批判が高まっています。

そこに日本が接近すれば、「裏切り」であり「抜け駆け」と思われるでしょう。

そこで中国は「離間の計」にかけ、欧米と争わせるのです。

結果として中国を包囲するはずが、日本が袋叩きにされています。


米中・日米国交回復(1972年)のもそう。

天安門事件後の天皇訪中(1992年)と制裁解除の時もそう。

仲良くしようと近づいて、その言葉を真に受けた間抜けを犠牲にして自分だけ生き残るのです。


日本が3兆円の通貨スワップを組んだところで、尖閣への侵略は止まりません。

単に敵を助けて、攻撃を招くだけです。

今回ようやくODAを止めたことが、厳しい態度を示したとでも思っているのでしょうか。

米国が台湾を守る姿勢を強めているので、先に日本から尖閣を取るほうが簡単だと思っているでしょう。

現状では日本が最も「柔らかい土」であり「鎖の最も弱い部分(ウイーケストリンク)」です。

安倍政権ですらそうなのですから、もはや生存本能が失われていることすら気付かない危険な状態だと思います。


(本文終わり。最後は参考図書です)




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2018年10月29日 (月)

対中政策50年ぶりの大転換 (5)統一戦線工作は中国の古典そのまま

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第87号 対中政策50年ぶりの大転換 (5)統一戦線工作は中国の古典そのまま

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古森義久氏によると、いま米国では「統一戦線工作」という言葉が頻繁に語られているようです。

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【古森義久のあめりかノート】中国の「統一戦線工作」が浮き彫りに
産経新聞2018.9.23 10:11
https://www.sankei.com/world/news/180923/wor1809230013-n1.html
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(略)

  • 中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた。
     
  • 各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新(しん)疆(きょう)ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対してとくに圧力をかけてきた。
     
  • その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う。
     
この報告の作成の中心となった若手の女性米国人学者、アナスタシャ・ロイドダムジャノビク氏はこうした工作の結果、米国の大学や学者が中国の反発を恐れて「自己検閲」をすることの危険をとくに強調していた。
 
こうした実態は実は前から知られてきた。だがそれが公式の調査報告として集大成されて発表されることが、これまでなら考えられなかったのだ。(略)

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知っている人々からすると、「何を今さら」という感じでしょう。

その工作は何十年も前から、学校だけでなくマスメディア・宗教・企業・各国政府・国際機関など、世界中のあらゆる組織に対して行われています。

日本の国益を害したり、自分の会社を潰したり、ジャーナリストの役割を捨てても中国に奉仕する人々がいるのはそのためです。


彼らには「預かった権力を公正に使う」「世界や子孫に役立つ仕事をする」という感覚がありません。

仕事もせずに、いやがらせ・策略・暴力を繰り返します。

公権力や公的資産を私物化し、他国や他人を支配しようと日夜努力しているのです。


それを知らない人々は、悪意に満ちた集団が自分の隣に居ることに気付きません。

会社や団体が乗っ取られ、狂ってゆくことを止められません。

中国の「国防動員法」により、いつでも兵士として働く人々が先進国に雪崩れ込んでいます。

日本の2008年国籍法改正では、「未成年を認知する」だけで何億人もの「日本人」を発生させることができるようになりました。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji163.html

日本語を話さず日本に住んだこともない人々が、日本の選挙権を持ち社会保障を受ける権利を得たということです。

民主的なシステムを悪用され、人権無視の独裁国家に支配されてしまうのです。

これに気付いて発言する人は次々に葬られ、誰も口を開くことができなくなります。

武器を使わない侵略は、継続的に行われているということです。
 
 

しかしこれらの手口は、特に新しくはありません。

中国の古典に繰り返し出てきている「常套手段」なのです。

=======================================
瞞天過海(まんてんかかい)

何食わない顔で敵を騙す
=======================================
借刀殺人(しゃくとうさつじん)

自分で直接手を下すことなく、他者の力を借りて攻撃する
(例)韓国や北朝鮮や自称リベラルを焚きつけて、日本を攻撃させる
=======================================
笑裏蔵刀(しょうりぞうとう)

敵を攻撃する準備として、まずは友好的に接近したり停戦して慢心させる
(例)まさに今、中国が日本に仕掛けている罠
=======================================
反客為主(はんかくいしゅ)

敵にいったん服従して臣下となり、内部から乗っ取りをかける
(例)米中国交回復や移民政策のこと
=======================================
美人計(びじんけい)

色仕掛けで相手の戦意を蕩かせてしまう。
(例)ハニートラップのこと
=======================================
韜光養晦(とうこうようかい)

爪を隠し、才能を覆い隠し、敵の油断を誘う
(例)これによって米国から援助を引き出し続けた
=======================================
二虎競食(にこきょうしょく)

敵同士を争わせ、弱らせたところで残った方を仕留める
(例)米露・米欧・日米対立を煽るのがこれ
=======================================
交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。
交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。
そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。
そしてやがては滅ぶ (六韜)

(例)これをやられて、各国で中国シンパが出世して権力を振るっている。
=======================================
鼎の軽重を問うな(かなえのけいちょうをとうな)

王座を狙っていることを気付かれないようにしろ
(例)しかし慢心した中国はうっかり問うてしまったようで…
=======================================


このように中国の戦略には、必ず元ネタとなる故事・ことわざがあります。

特に凄いのは、邪魔な人物を敵自身に処分させるための策略「離間の計」(りかんのけい)です。

呉王・夫差が自分を盛り立てた名将・伍子胥を殺すよう、(越の范蠡が)仕向けたように。

項羽のもとから名参謀の范増が去るよう(劉邦軍の陳平が)仕向けたように。

自分の意志でそうしていると錯覚しながら、いいように操られているのです。


中国の戦略を早くから見破っている人々は、日本にも大勢いました。

しかし政権やマスメディアの中枢に、その意見が取り上げられることはありませんでした。

「有用な人物を失脚させ、害のある人物(意見)を採用させる」

このようにして相手の正常な判断を狂わせることが中国の策略です。

だからこそ各国マスメディアは大事なことを報道せず、反米・反日・反自由主義に狂っているのです。

 

 
以前にも日本は、共産スパイに「誘導」されて道を誤ったことがあります。

1941年9月にはドイツ人ゾルゲやA新聞の尾崎秀実などを中心に、ソ連のスパイたちがマスメディアに紛れ込んで工作していたことが発覚しました(ゾルゲ事件)

尾崎はブレーンとして近衛内閣に入り込み、日中戦争を泥沼化させました。世論を煽って(ソ連ではなく)米国と戦争するよう仕向けました。わざと日本を敗戦に追い込み、混乱に乗じて共産革命を起こそうとしたのです(敗戦革命論)。

しかしすでに真珠湾攻撃の予定日までに3ヶ月を切っていたことから、この事件は伏せられたまま対米戦へと突き進みました。

ゾルゲと尾崎は死刑になりましたが、その後ソ連から正式に勲章を与えられています。れっきとした史実でありながら、マスメディアが決して語らない黒歴史なのです。


米国はようやくこの罠に気付き、国を挙げて戦うことを決めました。

一方、日本はまだ騙され続けたいようです。

中国からの接近に安倍首相が応えることは、日本を滅ぼす致命的なミスとなりかねません。

 

(続く)




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2018年10月28日 (日)

対中政策50年ぶりの大転換 (4)「China 2049」で知る対中援助の裏事情

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第86号 対中政策50年ぶりの大転換 (4)「China 2049」で知る対中援助の裏事情

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                        Shin Amma, CFA
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マイケル・ピルズベリー著「China 2049」は必読です。

過去50年の米中関係そして国際情勢を確認することができます。

日本側から見たものとはまた違った風景であり、別の視点から「事件」の答え合わせをするドラマのようです。

このメルマガやブログを読んでいる人にとっては既知のことも多いでしょうが、それだけに意外な事実を知ったときは驚愕します。

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「China 2049」
マイケル・ピルズベリー著
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ピルズベリー氏の何がすごいかというと、まず

「かつて自分はバリバリ親中派で、米国の利益になると思って中国を大国にするために何十年も働きました」

「しかし中国が発展成長すれば米国の良きパートナーになるという前提そのものが間違っていました」

と認めている点です。

そして「俺は長いこと騙されていたから、これから気を付けようぜ」と呼びかけています。

そこには米国に対する忠誠心や、自分の間違いを認める潔さがあります。

なかなかできることではありません。


この本を読むと、中国に対して米国が大規模な援助を続けたことがわかります。

「プレゼント」と表現された援助の中には、たとえば技術協力・情報提供・軍事行動の黙認などが含まれます。

WTOへの加盟、最恵国待遇などの恩恵も与えました。

米国の省庁・世界銀行なども次々に助言を行い、中国を大きくする手助けをしました。

これらの援助は秘密裏に行われたものも多く、私が知らなかったことも数多く書いてありました。

「そんなことまでしていたのか!」と驚きの連続です。

なるほど、米国がこれぐらい徹底して支援すれば成長するわけだと思います。


私が知らなかったことのうち、特に驚いたのは以下のようなことでした。

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「世界の覇権を握る」という中国の野望にソ連は早くから気付いており、1960年代からその危険性を米国に警告していた。

しかし米国側はそれを無視し、中国への大規模な支援を何十年も続けた。
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さすがロシア。相手の意図を的確に見抜いて、敵味方を間違えることがありません。

日本とは国益が衝突することが多い国ですが、諜報・謀略を得意とするだけはあると思います。

(まあ、経済では全く相手にならないという理由もあるのですがね)

しかし米国側はその「助言」を信用せず、中国を援助する道を選びました。

その結果、ソ連は1991年に崩壊。

中国は世界第二位の経済大国へと飛躍。

敵である米国の力を利用して、中国は歴史的な天敵である北方異民族を屈服させることができました。

背後の脅威がなくなったため、1990年代から海洋への軍事進出が加速しました。


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ニクソンが中国を訪れたのではなく、中国がニクソンのところにやってきた。
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1972年の米中国交回復は、1969年あたりから中国が裏で強く働きかけた結果ということです。

私も「中国と利害が一致したのだろうな」とは思っていたのですが、ニクソンは「最初そんなつもりは全くなかった」と知って驚きました。

ソ連との緊張を緩和する気マンマンだったのに、いつの間にかソ連を包囲するために中国に援助しまくるようになったとのこと。

「何を言っているのか わからねーと思うが、おれも 何をされたのか わからなかった」ポルナレフ状態ということです。

しかし実はこれ、心理学でよく知られた手口なのです。

相手に働きかけて小さな(しかし公式な)行動を起こさせることによって、相手は「それを自分自身が望んでやっている」と錯覚します。

そして周囲もそのように見なします。

するとそこから要求を徐々にエスカレートさせても、相手はそれを次々に受け入れてしまうのです。

なぜなら「自分から喜んでそれをやっている」と思い込んでいますし、「これまでの奉仕を無駄にしたくない」という心理が働くからです。

だから中国は、日本の要人を自国に「招待」します。

しかし自分から日本に来ることはありません。

これは上下関係を世界に見せつけると同時に、「自分から望んで中国に参上するのだ」と日本の要人たちの深層心理に刷り込む効果があります。


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ビル・クリントン大統領は1993年の就任当初、対中強硬派だった。

しかし側近たちの意見の相違に中国側がつけこみ、財界人からも利益を示すアプローチを続けた。

そして1993年末に「クリントン・クーデター」と呼ばれる反中姿勢の緩和にこぎつけ、彼は「中国の友人」と呼ばれるようになった。
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これも驚きでした。

我々の目から見ると、クリントンは徹頭徹尾の親中反日。

「ずぶずぶの中華献金まみれ」というイメージがあります。

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- 天安門事件を許し、
- チベット・東トルキスタン弾圧を許し、
- フィリピンから軍を撤退して中国にスプラトリー諸島侵攻のチャンスを提供
- 中国が台湾の選挙に圧力をかけることを黙認
- WTOに加盟させ、
- 同盟国の日本を潰そうと通商問題で執拗に圧力をかける
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そんなクリントンも最初は対中強硬派だったというのです。

そんな人物を「改心」させたことは、中国にとって自慢なのでしょう。




ピルズベリー氏が中国に対して「おかしい」と感じたのは、2006年ぐらいからだそうです。

そこから10年、この本を書くまでにかかっているわけです。

さらに3年以上かかって、「中国に騙されていた!」が米国のコンセンサスとなりつつあります。

なぜならトランプ政権から次々に対中強硬派が追い出された後にもかかわらず、態度が厳しくなるばかりだからです。

超党派で中国の不公正貿易・少数民族弾圧・臓器移植疑惑を非難する会合が開かれています。

親中反日で有名な米民主党ですら、盛大に手のひら返しをしています。

もはや米国は挙国戦時態勢なのです。


ピルズベリー氏は

「中国の戦略は春秋戦国時代(B.C.8世紀からB.C.3世紀)の教えに沿っている。その真意を理解するのに苦労した」

とも書いています。

西洋人だとそうかもしれません。

むしろ日本人のほうが、彼らの戦略や思考回路をすんなり理解できるでしょう(共感するかは別ですが)。


というのも日本人は幼い頃から、中国の故事成語・ことわざ・古典に慣れ親しんでいるからです。

そこから教訓を得て人生やビジネスに生かすための本が数多く出版され、根強い人気ジャンルになっています。

彼らが各国に仕掛けている統一戦線工作は、そのまんま「史記」であり「孫子の兵法」であり「六韜」です。

彼らの「他人を支配し権力を握る戦略」は、実に2000年以上も前から変わっていないのです。


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(続く)




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